家を出た全国トップ、逆転人生の幕開け第3話
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翌日、私はいつものようにアルバイト先のカフェへ向かった。
いつもの仕事は、着ぐるみを着て店の前でチラシを配ることだ。
真冬だというのに、着ぐるみの中は蒸し暑く、私はだんだん息苦しくなった。
もう限界だった。私は頭の部分を外し、隅のほうへ移動して水を飲んだ。
「お姉さん?」
すると聞き慣れた声が後ろから聞こえた。
私は体をこわばらせ、ゆっくりと振り返った。
両親と駿、それに冬馬と結衣が近くに立っていた。
冬馬の両親までいたのだ。
駿と冬馬の手には、買い物袋がいっぱいぶら下がっていた。
結衣のために買ったものだと、聞かなくてもわかる。
汗だくの私を見ても、母の目には少しの気遣いもなかった。
そこにあったのは、冷ややかな怒りだけだ。
「寧々、お小遣いはあげているでしょ?
そんな姿でチラシ配りをして、一ノ瀬家があなたを粗末に扱っていると思われたいの?」
私は持っていたペットボトルを強く握りしめた。
「月5万円のお小遣いで、家賃と水道光熱費で全部なくなるのよ。
バイトをしなきゃ、生きていけないでしょ?」
駿は眉をひそめ、私を乱暴に突き飛ばした。
「ふざけるな!親に対してその口のきき方は何だ!」
冬馬は結衣の隣で、困ったような表情を浮かべた。
やがて、彼は非難するように口を開いた。
「寧々、お前は少し敏感すぎるんだ。結衣だってお小遣いは月5万円だ。足りなければ家族に頼めばいいだろ。お前の母親はいつもちゃんと出してくれているだろう?
お前が言わないから、足りていると思われているだけじゃないか。
今日のことはお前が悪い。ちゃんと謝らないと」
言葉が喉につかえて、何も言えなかった。
結衣のお小遣いは、母が毎月決まった日に、なんなら前倒しで彼女にあげていた。
でも私のお小遣いは、何度も催促してもなかなかもらえない月がほとんどだった。
月末ギリギリになって、ようやく施しのように渡されるだけだ。
本当に頼めば、お金を出してくれるの?
このようなことは何を言っても無駄だとは、わかっている。
返ってくるのは「欲張りだ」「わがままだ」という責める言葉だけだから。
私は冷たい表情で、再び着ぐるみの頭を被り直した。
「みんな帰って。仕事の邪魔よ」
重たい頭部をすっぽりとかぶると、視界は一気に暗くなった。
その瞬間、背中に強い衝撃を感じた。
「お母さんをいじめないで!」
分厚い着ぐるみの中で、少しぶつかるだけでも痛かった。
勢いよく押されたせいで、私は前のめりに転びそうになった。
額を着ぐるみの硬い部分に打ちつけ、一瞬目が眩んだ。
壁にすがりついても、なかなかめまいが治まらなかった。
しかし誰も私の心配などしてくれなかった。
母は結衣の手を取り、焦ったように声をかけた。
「結衣、手は痛くない?」
駿も顔をしかめた。
「あんな格好の奴を突き飛ばすなんて、結衣が怪我したらどうするんだ?」
冬馬は低い声で結衣をなだめた。
「大丈夫だよ。誰も結衣を責めないから」
皆が結衣を囲んでいる隙に、私はよろけながらその場を去った。
頬に何かが伝った。
それが汗なのか、涙なのかはわからなかった。
夕方には、打ちつけた額が大きく腫れあがっていた。
幸い、今日は給料日だった。
受け取ったばかりの給料袋を握りしめ、近くの屋台へと向かった。
温かいおでんを食べるのが楽しみだった。
考えるだけで、お腹が鳴りそうになった。
私は思わず口角を上げて、薄暗い屋台の明かりの中で店主にお金を差し出した。
しかしその瞬間、店主は私の手首を掴んだ。
「おい、冗談じゃないよな!」
店主は札を高く掲げ、不愉快そうな顔を見せた。
「身なりはいいのに、こんな子供だましでタダ食いしようってのか!」
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