家を出た全国トップ、逆転人生の幕開け第2話
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頭がいい。
子どもの頃から、ずっと言われてきた言葉だ。
結衣は私より顔がかわいくて、愛嬌もあった。
私が唯一自慢できるのは、頭の良さだけ。
教科書を読めばすぐに公式を覚え、問題を見ればすぐ解ける。
でも、親たちはちっとも私を可愛がってくれなかった。
私と同じように頭のいい駿は、両親の誇りだった。
なのに私に対して、母はいつも困ったようにため息をついた。
「女の子なのに、そんなに賢くてどうするの?
結衣みたいに少し抜けているくらいが、可愛くていいのに」
いつしかこの言葉が、みんなが結衣をひいきする言い訳になっていた。
寧々は頭がいいから、一人でも大丈夫、だとか。
だから新しい文房具は、まず結衣へ。
新しい服も、まず結衣へ。
両親の愛情まで、先に結衣に向かうのだ。
駿なら褒められるはずの賢さが、私にとっては愛されない原因となった。
そんなある日、私は一つ上の先輩、冬馬と出会った。
その時の彼はまだ、結衣に会ったことがなかった。
私の話を聞いて、彼は眉をひそめて言った。
「頭が悪い方が可愛がられるなんて、変な理屈だろ?
寧々、賢いことは悪いことじゃない」
そしてそのあと、彼は結衣と知り合った。
それから、彼は何度も私の前で笑顔で言った。
「お前の妹は、なんだかドジで可愛いね」
それでも私は、冬馬が好きだった。
彼は唯一、賢いことは悪いことじゃないと教えてくれた人だったから。
なのに今は、彼までもがそんなふうに言うなんて。
リビングが静まり返った。
駿が真っ先に沈黙を破り、いらだたしげにテーブルを叩いた。
「寧々、なんか言えよ。
お父さんとお母さんは家族のためを思って言ってるんだ。お前を困らせようなんて思ってない」
私は目を伏せ、喉の奥が詰まった。
しばらくして、小さく「うん」とだけ言った。
みんなは安堵して、それぞれ背後に隠していたプレゼントの袋を出した。
「よし、もうそんな顔をするな。
ほら、卒業祝いだ。
結衣にもお前にも準備したんだ。これで、もうひいきだなんて言うなよ」
目の前の4つのプレゼントを見て、目頭が熱くなった。
何なの、これ。
一度ひどいことを言って、あとからプレゼントで喜ばせるの?
しかも、私は一目で分かってしまった。
結衣の目の前には最新のスマホ、ノートPC、限定品のバッグ、そして行きたがっていたコンサートのチケット。
それに対して私に手渡されたのは、安物の万年筆と本、普通のトートバッグ、タグが外された服1枚だけ。
私はそれらを受け取ると、すぐ席を立った。
「寧々」
母が呼び止めて、迷った末に言った。「ごはん、今日はみんなと一緒に食べていかないの?」
思わず心の中で笑った。
ここは、私の家なのに。
家族と一緒にご飯を食べることさえ、特別なことのように言われるなんて。
込み上げる思いを飲み込んで、私は首を振った。
「ううん、大丈夫」
家を出ると、プレゼントをすべて近くのゴミ箱に投げ捨てた。
そして帰りのバスの中で、結衣のインスタを見た。
【邪魔者がいなくなって、やっとご飯が美味しく食べられる】
投稿の写真には、楽しそうに食卓を囲む家族と、冬馬の姿があった。
テーブルの上にはカニやエビ、海鮮料理がずらりと並んでいた……
それら全て、私がアレルギーで食べられないものだった。
この瞬間、お母さんの誘いを断って正解だったと思った。
もし一緒に食卓を囲んでいたら、それこそ笑いものにされるだけだった。
テーブルの料理の中で、私が食べられるのは白米一杯だけだから。
アパートに戻ると、荷物の整理を始めた。
リビングに置いた人形の向きを変え、壁のほうを向かせた。
壁の目立つ場所に、一枚のハガキが貼られていた。
結衣と会う前に、冬馬が私にくれたものだ。
そこには東都文華大学の図書館の写真が印刷されていて、その下には彼の綺麗な筆跡があった。
【寧々、大学で待ってるからな】
私はそれを壁から引き剥がし、真っ二つに破り捨てた。
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