子どもを蒸し殺した夫、地獄の後悔第3話
この話は約1538字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
ついに迅と充希が、サウナ室のドアを開けた。
ドアが開いた瞬間、二人の目に飛び込んだのは、子どもたちがぐったりと床に倒れている姿だった。
全身にはひどいやけどの水ぶくれが広がり、小さな顔は息が詰まって青紫色に変わっていた。
その光景を見た瞬間、私の目の前は真っ暗になり、私はそのまままっすぐ床へ崩れ落ちた。
意識が遠のく中、充希が迅より先に駆け寄っていくのが見えた。
彼女は子どもたちの鼻先に手を伸ばした。そして、もう息をしていないことに気づいた。
それなのに、次の瞬間、彼女は耳をつんざくような悲鳴を上げた。
「早く救急車を呼んで!まだ息がある!」
そして床に倒れている私を指さし、迅に向かって泣き叫んだ。
「迅、温度はちゃんと設定してたのに、さっきまでは何ともなかったでしょう。なのに、どうして急にこんなことになったの。
雪乃さんまで、よりにもよってこんなときに気を失っちゃって。
まさか……」
その先は言わなかった。
けれど、その言葉に込められた意味は、あまりにも明白だった。
「なんて悪女だ!自分の子どもまで利用するのか!」
迅は、信じた。
彼は意識のない私を容赦なく蹴りつけると、私の生き死にさえ顧みず、そのまま子どもたちを連れて救急車に乗り込んだ。
目を覚ますと、私は寝室のベッドに寝かされていた。
目を開けた途端、迅の真っ赤に充血した目と正面からぶつかった。
彼は私の首をいきなりつかみ、そのままベッドから引きずり起こした。
「まだのうのうと寝ていられるのか!子どもたちは今、ICUで蘇生中だ!全部お前のせいだ!」
彼は怒り狂った獣のように、正気を失って怒鳴り散らした。
「この頭のおかしい女!あの子たちに何かあったら、お前も道連れにしてやる!」
息が詰まり、私は必死に彼の腕を叩いた。
「病院……病院に行かせて……子どもたちに会いたい……」
彼は私を突き放し、私はベッドの上に激しく叩きつけられた。
「お前にその資格はない!」
彼は寝室の外へ出ると、ドアを外から鍵で閉めた。
「お前が罪を償うまで、子どもたちには会わせない!」
私は閉じ込められた。
どれだけ泣き叫んでも、どれだけドアを叩いても、外からは何の反応も返ってこなかった。
しばらくして、スマホが一度だけ震えた。
メッセージだった。送り主は充希だった。
そこには病院からの危篤の知らせの写真が添えられていた。写真はぶれていたが、「危篤」の二文字だけはやけに鮮明だった。
その下には、さらに一文。
【医者がかなり危ない状態だって。覚悟しておいたほうがいいって言われたわ。雪乃さん、あの子たち、あなたの子どもでしょう?迅の気を引きたいからって、どうしてこんなことができるの】
一文字一文字が、罪をすべて私になすりつけてきた。
二日間閉じ込められたあと、ようやく部屋のドアが開いた。
迅が入口に立っていた。ひどくやつれていたが、その目に宿る憎しみは少しも薄れていなかった。
「出ろ」
彼の声はかすれていた。
私は二人のボディーガードに両脇を抱えられ、そのまま階下のリビングへ連れて行かれた。
リビングには人があふれていた。牧野家の親族や、親しい知人たちだった。
その中央には、私の双子の遺影が大きく飾られていた。
写真の中で、あの子たちは無邪気に笑っていた。
充希は迅の隣に立ち、彼に何かを小声でささやいた。
迅はうなずいた。
そして私の前まで歩いてきた。
「充希が、子どもたちのためにも供養の席を設けるべきだと言っていた。
それに、お前もみんなの前でちゃんと罪を償えるだろ」
私は彼を見た。
ただただ、滑稽で、やるせなかった。
こんな馬鹿げた言い分を、彼は本気で信じているのだ。
彼は私の腕をつかむと、乱暴に床へ押し倒した。ちょうど子どもたちの遺影の正面だった。
「ひざまずけ!子どもたちに、お前の罪を懺悔しろ!」
縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)
第4話は公式アプリで
当サイトでの試し読みはここまでです。アプリをインストールし、下のアプリ用コードを入力すると、この作品の第4話からそのまま読み進められます。
R72932- 下のボタンから公式アプリをインストールします(無料)。
- アプリを開き、「コードを入力」にこのコードを入れると、この作品が本棚に入ります。
作品ページへ戻る 当サイトに掲載しているのは試し読みの章だけです。