婚約者は妹に腎臓を与え、私は命を落とした第1話
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私は双子の妹と一緒に生まれ、二人とも重度の腎臓病を患っていた。
ようやく二つのドナー腎臓が見つかり、私と妹がそれぞれ移植手術を受けるはずだった。
けれど妹は、私の婚約者の胸で泣き崩れ、二つとも自分に譲ってほしいと訴えた。
私はそれを拒んだが、婚約者は私を家に閉じ込め、妹に両方の腎臓を移植させた。
彼は私の顎を掴み、冷たく警告した。
「君の病歴は妹ほど長くない。彼女はただ普通に生きたいだけなんだ。君が少し我慢して、次のドナーを待つくらい、できないのか?」
でも彼は知らなかった。私はもう次のドナーなんて待てられない。
なぜなら――私はもうすぐ、死ぬのだから。
* * *
腎臓のドナーが二人分見つかり、私も妹も移植手術が受けられると知ったとき、私は嬉しさのあまり涙を流した。
三年間も待って、冬木澄人(ふゆき すみと)との結婚式は延期に次ぐ延期。やっと腎移植を終えたら、もう何の負い目もなく、彼と結婚できる――そう思っていた。
結婚式の夢に浸っていたその時、妹の早瀬恵理(はやせ えり)が突然、ドサッと私の目の前に跪いた。
「お姉ちゃん……何年も病気で苦しんできたから、普通の体で生きるってどんな感じか、私も体験してみたいの。ねえ、二つの腎臓、全部私に譲ってくれない?」
私は呆然とした。まさか恵理がそんなことを言うなんて、信じられなかった。
私が何も言えずにいると、恵理はズボンの裾をつかんで、声を震わせながら懇願した。
「お姉ちゃん……私はあなたより十年も長く辛い思いをしてきたの。ただ、普通の人みたいに生きてみたいの……
お願い、二つとも私に譲って。次のドナーが見つかるまで待って。お姉ちゃんのことは、お義兄さんが絶対に助けてくれるから……」
恵理は昔からわがままで、病気を理由に何でも私から奪おうとしてきた。でも、まさか腎臓まで……
私は彼女の手を振り払って、一語一語をはっきりと言い放った。
「この二つの腎臓は、もともと一人に一つって決まってたの。君が両方欲しがっても、病院が許さないわ。
それに私だって、やっと見つかったドナーなのよ。手術して、澄人と結婚するためにずっと待ってたんだから。
まして次のドナーが見つかる保証なんてどこにもない。恵理、君には一つで十分でしょ」
私がそう言い終わると同時に、一人の人影が飛び込んできて、地面に蹲っていた恵理をそっと抱き起こした。そして私に怒鳴った。
「早瀬棠乃(はやせ とうの)、どうして恵理を地面に倒れたままにしておくんだ。彼女は重い病気なんだぞ。殺す気か?」
私は自分の婚約者が恵理を必死にかばう姿を無表情で見つめ、胸に苦いものが込み上げた。
――いつからだろう、澄人が恵理とこんなにも親しくなったのは。
恵理は泣きながら、澄人の胸に倒れ込み、まるで可哀そうなヒロインのように言った。
「澄人さん、お姉ちゃんを責めないで……お姉ちゃんは、ただ私に腎臓をあげたくないだけなの……
私は死ぬしかないわ。普通の人みたいに生きられないなら、生きてる意味なんてない……」
その言葉を耳にした母が玄関から入ってきて、ためらうことなく私の頬を叩いた。そして怒鳴りつけた。
「どうしてこんな冷酷な娘に育ったのよ!妹を死なせたいなんて!
子どもの頃からずる賢くて、いつも恵理をいじめてた。今、腎臓が見つかったっていうのに、まだ妹に渡したくないなんて。あんたの腹の中は真っ黒なの、わかってるわよ!」
澄人は私が叩かれるのを見て、眉をひそめてこちらに来ようとしたが、恵理がその腕を掴んで止めた。
恵理はさらに悲しそうに泣き出した。
「お母さん、私が死んでも、元気にしてね……こんなに愛してくれたのに、私は親孝行もできなくて……ごめんなさい……」
「澄人さん、腎臓を探してくれてありがとう……私にはもったいないご恩だったわ……来世で、必ず返すから……」
恵理が「死にたい」と騒ぎ、母は慌てて彼女を抱きしめて、「ダメよ、やめて!君は私の命より大切な子なんだから……」と何度も必死に叫んだ。
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