婚約者が私に内緒で妊活した第3話
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私は美奈子の事務用のSNSアカウントを開き、スマホを突きつけた。
「葉山さん、あなたの事務所はネット上で評判が良く、フォロワーも数万人いるわね。そんなあなたがお客様に対してこんな態度を取っていると知られたら、どうなるかしら?」
「っ……!」美奈子の顔から血の気が引いた。
響も焦りだした。美奈子にとってこの仕事がどれほど大切にしているか知っているからだ。手に入れていないマンションのために、仕事を失うのは、割に合わない。
「結菜、落ち着けよ!葉山さんに悪気は……」
「悪気があろうとなかろうと関係ない」私は冷たく遮った。「謝罪して、自分の仕事をしっかりやりなさい。部外者のあなたに、私の家の設計をかき乱される筋合いなんてないの」
美奈子は屈辱に震えながらも、キャリアを失う恐怖に勝てず、歯を食いしばって絞り出した。「……申し訳ありません、国枝さん。不適切な発言でした」
響がフォローするように肩を抱こうとした。「結菜、彼女は少し言い方がストレートなだけなんだ。将来の僕たちの住まいのために……」
私は冷笑した。「あら?私たちの住まいのため?響、あなたは私の彼氏なのに、そんなに彼女をかばうなんて。知らない人が見たら、あなたたち二人に何か特別な関係があるんじゃないかって思うわよ」
この皮肉を込めた言葉に、美奈子の目が赤くなり、ついに涙をこぼした。「国枝さん、酷すぎますわ!専門家としてのアドバイスをしただけなのに、侮辱するなんて!」
彼女は泣きながら走り去った。
響はその後ろ姿を追いかけたくてたまらない様子で、私に苦し紛れの言い訳をした。「結菜、どうしちゃったんだよ。葉山さんは地方から上京してきて必死に頑張ってるんだ。少し優しくしてあげてもいいだろ」
彼は少し間を置き、さらに柔らかい口調で私をなだめようとした。「もういい、怒らないで。僕が一番愛しているのは君だ。リフォームが終わったら、すぐに結婚しよう。僕は……彼女に謝りに行って、気にしないでくれるよう頼んでくる」
そう言って、彼は待ちきれないように飛び出していった。
私はすぐにその後を追った。
中庭の物陰で、響が美奈子を抱き寄せ、首筋にキスをしているのが見えた。
「あんなに侮辱されたのに、あなたは見てるだけなのよ!」
響の手が美奈子の体に伸び、かすれた声でなだめている。「全部、君のためじゃないか。もう少しの辛抱だよ。あの家さえ手に入れば、あんな女、即座に叩き出してやるから」
「早くしてよ!」美奈子はしつこくせがんだ。
「わかってる。マンションのためじゃなきゃ、あんな女に触れるのも嫌だよ。美奈子、君が幼い頃から一緒に育った幼なじみで、僕が唯一結婚したい人なんだ。
それに、もう赤ちゃんを授かってるんだろう?まだ不安なのか?男に二言はないぞ」
幼なじみ……
なるほど。
壁に背を預け、心臓が張り裂けそうな痛みを感じた。
五年の想いが、こんなにも無駄だったなんて。
でも、結婚する前に正体を知ることができて、本当によかった。
私は皮肉な笑みを浮かべ、音もなく響と暮らしていた古い家に戻った。
そして、彼の私物を全てまとめて玄関先に放り出した、最後のメッセージを送った。
【荷物は全部玄関に置いてある。終わりだ】
しばらくして、情事が終わったのか、響から返信が来た。
【結菜、また何のワガママだ?】
【葉山さんを怒らせたから拗ねてるのか?5年も付き合って、結婚直前だぞ?】
さっきまで別の女と抱き合っていた男が、よくもまあこんな白々しいことを。
私は笑いながら返した。
【響】
【あなたの浮気に気づいてないとでも思ってるの?】
向こうで響が青ざめる様子が目に浮かぶようだった。
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