娘の作品が受賞、なのに署名はクラスメイト第3話
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永井先生は私の方を見て、不満を抑えながら深々と頭を下げた。
「結奈さんのお母さん、昨日は感情的になってしまい、大変申し訳ありませんでした。今後このようなことがないよう十分に注意いたしますので、どうかお許しください」
その謝罪を聞いても、私は腕を組んだまま何も答えなかった。
すると、園長先生が話を引き継いだ。
「今回の件があった以上、今年の優秀教師には選ばれないと思いなさい。
それから、明日の授業中に結奈さんにきちんと謝ること。
次に同じような問題を起こしたら、この職場を辞めてもらいますよ」
永井先生はその言葉に一瞬顔を歪めたが、何も言い返さなかった。
園長先生は私に向き直り、こう言った。
「先生たちの言動を今後厳しく管理しますので、白石さん、この件はこれで……」
つまり、この話をこれ以上大事にしないでほしい、という意味だった。
娘もあと半年で卒園を迎える。今転園させても、新しい環境に馴染むのは難しいだろう。
一応、謝罪も処分も行われた以上、私はこれ以上追及するのをやめ、保護者グループでの公開謝罪を受けることで手を打つことにした。
その後数日間、娘を幼稚園に送るたび、永井先生の態度が以前とは明らかに変わったのを感じた。
親切になり、娘にも特に気を配るようになった。
娘も、「先生が直接謝ってくれたよ」や「授業中に褒められることが増えた」と嬉しそうに話してくれた。
少しずつ、娘は学校や絵を描くことへの興味を取り戻し始めた。
その姿を見て、私もようやく安心できた。
しかし、ある日、私のスマホに「県児童美術コンクール受賞作品」の記事の通知が届いた。
何気なく開いてみると、金賞受賞作品の欄に娘が先日提出した手作りポスターが掲載されていた。
だが、そこに記載されていた署名は、娘のクラスメートである男の子の名前だった。
慌てて以前撮影していた娘の作品の写真を確認し、比較してみた。
完全に同じではなかったが、構図も要素もそのままで、一部の細かい部分だけが書き換えられていた。
明らかに高度な模倣だった。
私は以前の娘が言っていた「永井先生が絵をゴミ箱に捨てた」という話を思い出し、急いで永井先生に連絡を取った。
しかし、メッセージは一切無視された。
その間にも、保護者グループでは全員が発言禁止にされている中、永井先生だけが次々とメッセージを送り続けていた。
怒りが頂点に達した私は、直接彼女に電話をかけた。
事情を説明すると、永井先生は面倒くさそうに答えた。
「子どもたちは同じような年齢ですし、考えることが似ていても不思議ではないですよね?
お送りいただいた写真も確認しましたが、私は似ているとは思いませんでした」
さらにこう付け加えた。
「コンクールの結果に不満があるなら、直接主催者に問い合わせてください。
結奈さんのお母さん、これ以上教員を困らせるのはやめてください」
完全に挑発的な態度だった。
おそらく、私に証拠がないと思っているのだろう。
私が返答する間もなく、電話が一方的に切られた。
その直後、保護者グループに永井先生から新しいメッセージが届いた。
「西園寺陽斗くんが県児童美術コンクールで金賞を受賞したことをお祝いして、明日は当園で『小さなアーティストの作品展』を開催いたします。
全ての子どもたちの作品が展示されますので、保護者の皆さん、ぜひお越しください!」
私は言葉を失った。
娘が自分の作品に他人の名前が書かれて展示されるのを見たら、どれほど傷つくか想像もできなかった。
すぐに園長先生に電話をかけたが、返ってきたのは曖昧な返答だった。
「写真一枚では証拠にはなりませんし、既に展覧会の告知も済んでいますので、急な変更は難しいです。
結奈さんのお母さん、焦らず、私たちが調査を進めてから必ず説明をします」
その場しのぎの言葉に私は怒りを覚えた。
一度信じたのに、また同じような対応をされるとは。
「この展覧会を中止させてやる!」
私は心にそう決めた。
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