妊娠七ヶ月、夫がナイトランにはまっちゃった第3話
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指先に力が入りすぎて、爪の色まで変わっていた。下腹も、きゅっと痛んだ。
子供ができたとき、あんなに喜んでくれたのに……
高級ホテルでお祝いまでしてくれて、私への気遣いだって、それまでの何倍も増えていったのに……
だから、本気で信じていた。
彼も同じ気持ちで、この子の誕生を待っているのだと。
けれど、私は間違っていた。
あれはただ、裏切りのあとに残った、罪悪感のほころびにすぎなかった。
ベッドに倒れ込んだまま、涙が後から後から溢れ続けた。
大きく張ったお腹に手を添えながら、今までにないほどの絶望感を味わっている。
「……ママは、どうしたらいいの?」
情けない考えが、ほんの一瞬だけ胸をかすめた。
もし、あの二人がまだ、「最後の一線」を越えていなかったら……と。
そんなわずかな期待も、次の投稿であっさりと打ち砕かれた。
【妻に悪いとは思ってるよ。でも十ヶ月とか、さすがに我慢できないだろ??
しかもあの若い子が甘えてくるし、妻と電話してるときもいつも抱きついてくるし……
あんなの断れねーよな??分かるだろ(笑)】
文字を読んだだけで、胃がひっくり返った。
洗面所へと駆け込むなり、ひどくみっともない音を立てて吐いた。
——思い当たる。
電話の途中で、彼が急に黙り込むときがあった。
理由を聞けば、「何でもないよ。帰ったら何作ろうかなって考えてた」と、いつもの優しい声音で言う。
彼の嘘が、そんなにもうまかった。
赤ちゃんのために選んだものを嬉しそうに話していたその裏で、彼は別の女の機嫌を取っていたのだ。
怒りも、悲しみも、全部通り越して——
胸の奥が、静かに、冷たく沈んでいく。
コメント欄は、みるみるうちに荒れていった。
【クズ。ほんと消えてほしい】
【奥さん気づいて!!マジで見てられない】
【最低。なんでバレないと思えるわけ?】
三十分ほど経って、隼人がまた返信を送ってきた。
【俺との結婚は両親に反対されたんだけど、嫁は勝手に婚姻届出したんだよ。
妊娠七ヶ月じゃ中絶なんて無理だし、離婚しても実家は絶対助けない。
母子家庭でどうやって生きてくんの?
だから万が一バレたとしても、ひとしきり泣いて騒がせてやればいい。俺がしっかり謝れば済むことだ。
安心して家庭に戻るために、あの若い子にもマンション買ってやるつもりだ。604号室、ちょうどあいつの誕生日な。それが今まで付き合ってくれたお礼だ。
両方にちゃんと筋通してんだし、俺ってむしろいい男じゃね?(笑)】
この何年間、積み上げてきたすべてが、音もなく崩れ落ちてゆく。
私の弱さも。
私の愛情も。
全部、彼に都合よく使われていたのだ。
その投稿の中でも、一文だけはどうしても引っかかった。
「ひとしきり泣いて騒がせてやればいい」?
そんなもので何が済めると思うの?
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