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夫に幼なじみの足を洗えと言われた第1話

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結婚30周年の記念日。

私は久しぶりにショッピングモールへ行き、白いワンピースを買った。

若い頃、白が大好きだった。

だが、子どもを産んでからというもの、夫の百瀬謹也(ももせ きんや)が白いワンピースを着ることを許してくれなかった。

彼は妊娠でたるんだ私のお腹を嫌がり、「黒なら着痩せするから」と言って、黒い服ばかり着るように強要してきた。

その後、謹也の幼馴染である篠崎眉子(しのざき まゆこ)が離婚し、我が家に転がり込んできた。

それ以来、七人分の食事、洗濯、掃除などを一手に引き受けるだけでなく、眉子の身の回りの世話までさせられるハメになった。

彼女は「洗濯機だと生地が傷むから」と言い張り、自分の服を手洗いするよう命じてきた。

「外で買った朝食は不健康だ」とケチをつけ、毎朝四時に起きて、手の込んだ五品の朝食を作るよう押し付けてきた。

息子の百瀬凜(ももせ りん)も、私の崩れた体型のせいで友人の前で肩身が狭いと、しょっちゅう私を責め立てた。

こうして私は文句一つ言わず、まるで馬車馬のように働き続けた。

気がつけば、三十年が過ぎていた。

夫が私に「眉子の足を洗え」と言い放った今日までは。

丹念にケアされた眉子の顔を見た瞬間、私はもう、これ以上我慢する必要なんてないと思った。

「離婚しましょう」

謹也は驚いて立ち上がった。

「離婚だって?たかが足を洗うくらいで、そうする必要がある?」

「ええ、あるよ」

* * *

結婚30周年の記念日。

私・花村佳澄(はなむら かすみ)は久しぶりにショッピングモールへ行き、白いワンピースを買った。

若い頃、白が大好きだった。

だが、子どもを産んでからというもの、夫の百瀬謹也(ももせ きんや)が白いワンピースを着ることを許してくれなかった。

彼は妊娠でたるんだ私のお腹を嫌がり、「黒なら着痩せするから」と言って、黒い服ばかり着るように強要してきた。

その後、謹也の幼馴染である篠崎眉子(しのざき まゆこ)が離婚し、我が家に転がり込んできた。

それ以来、七人分の食事、洗濯、掃除などを一手に引き受けるだけでなく、眉子の身の回りの世話までさせられるハメになった。

彼女は「洗濯機だと生地が傷むから」と言い張り、自分の服を手洗いするよう命じてきた。

「外で買った朝食は不健康だ」とケチをつけ、毎朝四時に起きて、手の込んだ五品の朝食を作るよう押し付けてきた。

息子の百瀬凜(ももせ りん)も、私の崩れた体型のせいで友人の前で肩身が狭いと、しょっちゅう私を責め立てた。

こうして私は文句一つ言わず、まるで馬車馬のように働き続けた。

気がつけば、三十年が過ぎていた。

夫が私に「眉子の足を洗え」と言い放った今日までは。

丹念にケアされた眉子の顔を見た瞬間、私はもう、これ以上我慢する必要なんてないと思った。

「離婚しましょう」

謹也は驚いて立ち上がった。

「離婚だって?たかが足を洗うくらいで、そうする必要がある?」

「ええ、あるよ」

謹也は信じられないといった目で私を見つめ、すぐに苦笑いを浮かべた。

「ずっと欲しがっていた腕輪を眉子にあげたからか?」

その腕輪は義母から代々伝わる家宝だった。

代々受け継がれてきたもので、最も孝行な嫁にだけ譲ると義母は言っていた。

この何年も、出勤前に早起きして家族全員の朝食を作り続けた。

昼休みのわずか一時間の間に帰宅して食事を作り、食卓に溢れんばかりの料理を並べたというのに、急ぐあまり自分はいつも数口かきこむだけで済ませていた。

義母が寝たきりになってからは、私が実の娘よりも彼女を甲斐甲斐しく世話をした。

義妹は下の世話を嫌がって寄り付かなかったが、おむつ替えから清拭まで、すべて私が一人でやってきた。

腕輪の値打ちなど気にしていなかった。

ただ、これだけ尽くしてきたのだから、せめて認めてほしかった。

いつか義母がこの腕輪を私の手に渡してくれる日を、ずっと待ち望んでいた。

それなのに、結局腕輪を手に入れたのは私ではなく、眉子だった。

眉子の手首に光る腕輪を見た瞬間、ぼうっとしてしまった。

謹也の声が、私を記憶の底から引き戻した。

「そんなに腕輪が欲しければ、買ってやってもいい。

ただ、毎日あんなに家事があるんだから、ぶつけたり傷つけたりしたらもったいないだろう」

百瀬家にお金がないわけではない。

「お手伝いさんにわざわざ汚れ仕事やきつい仕事ばかりを頼むのは、気が引ける」と、眉子が言い張ったのだ。

この二人は有名な音楽家で、指が命だった。

だから家のことは何もかも、私一人の肩にのしかかってきた。

自分の荒れて腫れた手を見下ろして、私は改めてはっきりと言った。

「離婚するわ」

謹也は私の目にかかるこぼれ髪をそっと払い、なだめるように優しい声で言った。

「もう、そんなに拗ねるなよ。孫がいてもおかしくない歳なんだから、いつまでわがままを言うんだ。

眉子は体型を維持しなければならないから、かがむのが大変なんだ。先にあの子の足を洗ってやってくれ。

お湯が冷めてしまう」

息子の凜もすかさず同調した。

「早く洗ってよ母さん。六時にはレストランで記念日のお祝いがあるんだから」

離婚しようという固い決意が、その瞬間、揺らいだ。

今日が結婚記念日だということを、ちゃんと覚えていてくれていたのだ。

胸が高鳴り、寝室に飛び込んで、数日前に買っておいた白いワンピースを取り出した。

裾には可愛らしいレースがあしらわれている。

体型が崩れてからというもの、何年もワンピースなんて着ていなかった。

あのとき売り場のスタッフが、私が選んでいた黒いスラックスをそっと下げて、代わりにこのワンピースを手渡してくれたのだ。

明るい笑顔でこう言いながら。

「さっきからこのワンピースをずっと気にしていらっしゃるのに気づいていました。

お洋服は必ずしもパンツじゃなくていいんですよ、ワンピースだっていいじゃないですか。

このワンピース、絶対お似合いになると思います」

試着室の鏡の前に立って、白いワンピースをまとった自分を見ていたら、三十年前にふっと戻ったような気がした。

あの頃の私もかなりきれいだった。

舞台に立って、観客たちも、みんな私に喝采を送ってくれていた。

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