声なき弁護士の華麗なる復讐第3話
この話は約2063字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
「何をぼんやりしているんだい?」
司は私の手からタブレットを抜き取り、莉愛の受賞ニュースの画面を消した。
「今夜、莉愛がプライベートな祝賀パーティーを開くんだ。君も一緒に行かないか?」
私は我に返った。朔也との面会の約束を思い出し、手話で断ろうとした。
司は私の意図を察し、私の手を押さえて腕の中に引き寄せ、優しい声で言った。
「行こうよ。一日中家に引きこもって誰にも会わないと、そのうち余計なことばかり考えてしまうよ。
安心して、俺がそばについているから。誰にも君をいじめさせたりしない」
そう言って、彼は私に断る隙を与えず、すぐに私のメイクや服装の準備を手配し始めた。
祝賀パーティーは最高級ホテルの宴会場で開かれ、まばゆい照明の下、多くの招待客で賑わっていた。
私たちが到着した時、莉愛は御曹司や令嬢たちに囲まれ、人目を引く存在になっていた。
私たちを見ると、彼女はすぐに人波を押し分けて歩み寄り、親しげに司の腕に抱きついた。
「お兄ちゃん、やっと来たのね。ずっと待ってたんだから」
彼女は私を司のそばから押し出し、私が完全に部外者のように脇に追いやられると、ようやく私に気づいたかのように装い、口元に意地の悪い笑みを浮かべた。
「雫、私の祝賀パーティーには来ないと思っていたわ。あなたからお祝いの言葉をもらうこともないだろうって。ああ、違ったわ。仮にあなたが来たとしても、お祝いの言葉を聞くことはできないんだったわね。
だって、あなたは声も出せないんだから!」
私は無意識に拳を強く握りしめた。
三年前に声が出なくなってから、莉愛は度々このことを持ち出して私を嘲笑してきた。
あの頃はただの嫌味だと思っていたが、今になってようやく理解した。彼女は見せつけていたのだ。
司が彼女のたった一言の嘘のために、躊躇なく私の声帯を摘出できるということを誇示していたのだ。
私は込み上げる感情を押し殺した。司が眉をひそめ、莉愛の額を軽く指で弾いて、呆れたように言うのが見えた。
「子供みたいに無茶苦茶なことを言うんじゃない」
莉愛は茶目っ気たっぷりに舌を出した。
二人のやり取りを見つめていた私の視線は、最終的に莉愛の首元で止まった。
そこにはピンクダイヤモンドのネックレスが輝いていた。鳩の卵ほどもあるペアシェイプのメインダイヤは、去年、司が世界的なオークションハウスで数億円を出して私のために落札してくれたものだった。
当時のそのピンクダイヤはまだルースで、司はわざわざデザイナーに依頼していた。
その後、私が二度ほど尋ねた時は、彼はまだ加工中だと答えていた。
まさか、とっくに莉愛の首に飾られていたとは思いもしなかった。
司は私の視線を追い、喉仏を動かすと、気まずそうに言った。
「雫、誤解しないでくれ。今日は莉愛が主役なんだ。パーティーにふさわしいジュエリーが足りなくてね。ちょうど昨日デザイナーがネックレスを届けてくれたから、一晩だけ彼女に貸したんだ。後で返してもらえば、君のものであることに変わりはないよ」
彼の言葉は反論の余地がないほどもっともらしく聞こえたが、私はただ滑稽に感じるだけだった。
莉愛は今をときめく女性スター、新進気鋭のトップシンガーだ。彼女の背後にはコラボレーションを望む有名ジュエリーブランドが列をなしているというのに、義理の兄が恋人に贈るはずのネックレスを借りる必要などどこにあるというのか。
それでも彼は与えたのだ。
そして後日、すでに莉愛の手に入れたネックレスが私の元に戻ってきたとしても、誰も彼が間違ったことをしたとは言えないのだ。
私は少しだけ口角を上げ、司に向けて手話で伝えた。
「大丈夫、莉愛にあげて」
もういらない。
莉愛はそれを見て得意げな色を浮かべ、傲慢な口調で言った。
「雫、私もただであなたの物をもらうわけにはいかないわ。特別にプレゼントを用意したの」
彼女は手を叩いてアシスタントを呼び、綺麗に包装された箱を受け取ると、私の前に差し出した。
私が受け取る前に、司が手を伸ばして受け取り、箱を開けて手のひらサイズの物を取り出した。
それは最近流行っているペット用のコミュニケーションボタンで、プラスチックのケースには可愛らしい骨のイラストがプリントされていた。
莉愛は笑顔で説明した。
「最近、犬を飼っている人がよく買ってるの。押すだけで『ご飯』とか『遊びに行く』って声が出るから、すごく便利なのよ。これを見た瞬間、雫にぴったりだと思ったわ。これがあれば、誰にも理解されない手話を使ってコミュニケーションを取らなくても済むでしょ」
彼女は弾むような声で言い、まるで私がようやく人とコミュニケーションを取れるようになったことを本当に喜んでいるかのようだった。
しかし、彼女が私を犬扱いしていることは明らかだった。
司はその屈辱的な意味に気づかないかのように、彼女の頭を撫でた。
「莉愛、よく気が利くね」
「それだけじゃないわ!わざわざ雫の声を録音しておいたのよ!」
莉愛はさらに甘い笑顔を浮かべ、指先でボタンを押した。
次の瞬間、鋭く悲惨な叫び声が突然宴会場に響き渡った。
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