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君を忘れた日第2話

この話は約1420字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

遥香は美咲がいつ帰ったのか分からなかった。

翌日の雄介は、やたらと優しくなっていた。階段を降りるのでさえ抱っこしたがる。

夕方になると、雄介から言い出した。「遥香、今夜の仕事はキャンセルした。チャリティオークションに付き合う」

遥香はプロの写真家で、業界では名の知れた存在だった。

毎年何枚かの作品をチャリティオークションに寄付して、イベントにも出席している。

今年は目覚めたばかりだったが、やはり招待状が届いていた。

二人はオークション会場に着くと、思いがけない人に出会った。

「先生!遥香さん!」小早川美咲が嬉しそうに駆け寄ってくる。「お二人もいらしてたんですね!」

雄介は少し眉をひそめた。「お前こそ何でここに?」

「私も写真を出品してるんです!」美咲は恥ずかしそうに頭を下げた。「実は遥香さんの影響で写真を始めて、賞までいただいたんです!」

そして星のような瞳で遥香を見つめる。

「遥香さんは私の憧れです。いつかあなたみたいになりたいです!」

私みたいに?

それとも私の代わりになりたいの?

遥香は皮肉に微笑んで、何も答えなかった。

オークションが始まった。

遥香と雄介は二階のVIP席に座り、美咲は一階の客席にいた。

今回のオークションで最も有名な写真家として、遥香の作品が最初に出品された。

「続いては夏野遥香さんの七年前の作品『記憶』です」

スクリーンに写真が映し出されると、雄介の顔が変わった。

「遥香!」彼は振り返って彼女を見る。「どうしてこの写真を売ったんだ?」

画面には海辺で握り合った手が写っていた。二人の薬指にはお揃いの結婚指輪。

雄介と遥香の愛の証。プロポーズの日に撮った大切な一枚だった。

遥香はこの作品を宝物のように大事にしていて、誰かが2億円出しても売らなかった。

なんのに今、売りに出している。

遥香は雄介を見上げて聞き返した。「雄介、あの日の約束覚えてる?」

雄介は即座に答えた。「もちろん。君だけを一生愛すって、絶対に裏切らないって約束した」

そう言ってから、少し後ろめたくなった。

もしや……遥香が何かに気づいて、この写真を売ったのだろうか?

慌てる雄介に、遥香は笑いかけた。

「そうね、覚えてるなら写真なんていらないでしょ。チャリティーに使った方がいい」

実現できない約束なら、写真を残す意味もない。

そんな本音は口にしなかった。

その時、会場では競りが始まっていた。

「1000万」

「2000万」

「3000万!」

さすが有名写真家だけあって、すぐに白熱した競りになった。

そこで雄介が札を上げた。

「2億!」

一桁違う金額に、会場がざわめいた。

雄介は遥香を見つめて真剣に言った。

「例えばそうだとしても、俺の君への約束だから、一生手元に置いておきたい」

拍手の中、雄介がこの写真を落札した。

知り合いたちが冗談を言う。

「結局夏野さんは2億円寄付したかっただけで、ついでに奥様とのラブラブぶりを見せつけたかっただけよね。私たちはみんな当て馬になっちゃった!」

みんなが笑ったが、遥香だけは心から笑えなかった。

オークションは続いた。

今夜は富裕層ばかりが集まっているため、主催者は一人一点までという制限を設けていた。

だから雄介は他の作品には興味を示さず、遥香のためにロンガンの皮を剥いて、一粒ずつ口に運んでくれた。

そんな時、司会者の声が響いた。

「続いては新進気鋭の写真家、小早川美咲さんの作品『夢』です!」

拍手と共にスクリーンが明るくなったが、次の瞬間、誰かが叫んだ。

「これは何だ!」

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