君と酔いしれる千夜第2話
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璃音は確かに貧しかったが、学費は問題ではなかった。
なぜなら、母親が亡くなる前に彼女に残してくれたお金があったからだ。それをずっと大切に貯めて、江坂家では一銭も使わずにきた。
それに加えて、この数年アルバイトで稼いだお金と、毎年得ていた奨学金をかき集めれば、なんとか海外での一年間の学費が揃う。
留学先では半分働きながら残りの年の学費を稼ぐつもりだった。苦しい日々になるだろうが、卒業までの辛抱だ。そうすれば全てが好転するはずだ。
留学申請書類を提出した後、璃音は教室に戻り英単語の暗記を始めた。
しかし、しばらくすると瑛士が不機嫌そうな顔で彼女の手から英語の教科書を奪い取った。
「何を覚えてるんだ?まさか海外に逃げる気か?」
彼は嘲笑うと、璃音の教科書をゴミ箱に投げ捨てた。
「おとなしく俺の側にいろ。そんな役立たずなもの覚えるより、夜のお相手の仕方でも勉強しろよ」
そう言いながら、大きな手で彼女の細い腰を掴み、制服の中に手を忍ばせた……
後ろから下品な笑い声が聞こえ、瑛士の仲間たちが口笛を吹いた。
「瑛士さん、自習中からそんなことして、あとで大変なことにならないですか?
後ろの席広いですよ。二人で実戦練習してみては?
それとも裏山に行くか?昔は夜の自習のたびに璃音と行ってたんでしょ?」
「なるほど、璃音の体つきがよくなったのは瑛士さんの日々の努力の賜物か……」
周りの下卑た笑い声に、璃音は恥ずかしさと怒りで顔を真っ赤にした。瑛士の腕から逃れ、うつむいたままゴミ箱から教科書を拾い上げた。
そして席に戻り、再び単語を覚え始めた。
その瞬間、瑛士の表情が凶悪なものに変わった。
唇の端を引き攣らせ、笑っているのか怒っているのか分からない表情で言った。「璃音、随分と生意気になったな!
自分で飛び立ちたいのか?いいだろう。今日から俺はお前の面倒は見ない。一人でどこまで持つか、見物だ」
そう言い捨てると、冷ややかな表情で教室を出て行った。
その日の放課後、璃音はトイレで不良たちに囲まれた。
「お前が三年の栗林か?すげー淫乱で、毎日男とヤってるって聞いたぞ」
「ハハハ、先輩、三年の先輩たちだけじゃなくて、たまには俺たち二年の後輩とも遊んでよ」
不良たちは下卑た笑みを浮かべながら、璃音の制服に手を伸ばした。
璃音は必死に抵抗したが、女の子一人では大勢の男たちには太刀打ちできなかった。
あっという間に地面に押し倒され、制服は引き裂かれ、白い背中が露わになった。
絶望の表情を浮かべる璃音。逃れられず、ただ涙を流すしかなかった。
そのとき、颯爽と現れた長身の人影。璃音に覆いかぶさっていた不良を蹴り飛ばした。
瑛士だった。
また救世主のように現れた彼は、たった一人で五人の不良たちを血まみれにした。
「消えろ」瑛士は獣のような赤い目で睨みつけ、恐ろしいオーラを放った。「二度と顔を見せるな。次は容赦しないぞ」
不良たちは這うようにして逃げ出した。瑛士は地面に倒れた璃音を抱き起こした。
自分の学ランを脱ぎ、小柄な璃音に羽織らせた。
男性の香り、ウッディな冷たい香りが漂ってきた。
瑛士は意地悪そうに笑った。「おいおい、一日も離れてないのにこんなに酷い目に遭うのか?」
璃音は目を真っ赤にして、泣き出しそうになった。
でも我慢した。瑛士は潔癖症だから、涙や鼻水が服に付いたら怒るかもしれない。
昨日の夜、ただキスしただけで怒鳴られたのだから……
そのとき、瑛士の仲間が慌てて駆け寄ってきた。「瑛士さん!夏木が足首を捻挫したみたいです。見てやってください!」
「あいつ、何て不注意な」瑛士は呟きながらも、すぐに璃音を置いて仲間と一緒に晴香を探しに行った。
璃音はついに感情を抑えきれず、涙が溢れ出した。
さっき不良たちに押し倒された時、膝がガラスの破片で切れていた。両足は血だらけなのに、瑛士は軽い捻挫の晴香を背負って保健室へ行ってしまった。
璃音は何も言わず、足を引きずりながら学校の外の薬局へ向かった。薬を買い、血で染まったズボンをまくり上げ、歯を食いしばって傷の手当てをした。
そのとき、スマホが震えた。晴香から動画が送られてきた。
動画の中で、瑛士の仲間が大笑いしていた。「瑛士さん、あんたってマジでゲスだな!二年の後輩使って璃音を襲わせ、そこをヒーロー気取りで助けに行くとか、マジでサイテー!」
「ハハハハ、こうやってヒーローになれば、璃音はもっと瑛士さんに夢中になるっしょ」
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