双子の娘を失い、冷徹な夫は狂った第3話
この話は約1624字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
「彼女たちを殺したのはあなたよ!父親の資格なんてない!」
司はすっかり放心状態になった。
その時、寧々は色気を漂わせ、司の後ろから歩み出てきた。
「あなた、ただ司の気を引こうと芝居を打っているだけでしょ。司は詩乃と望美の実の父親よ。もし彼女たちが亡くなったのなら、なぜ司に知らせに来る人が一人もいないの?
わざと骨壺を二つ持ってきて、司をだまそうとしているのね。
こんなこと、司は騙せても、私には騙せないわ!」
司は彼女の言葉を聞き、私を見る眼差しが鋭く変わった。
「なんて意地悪な。俺を騙そうとしたんだな!」
「私、今すぐこの骨壺を割ってやる。これ以上演技はしないで!」
言い終わると、寧々は骨壺に近づいた。
私は彼女に一発、平手で叩いた。
「これから先私の娘に触れることを許さない!」
「このあばずれ女!寧々を叩くな!」
司は寧々をかばい、私を殺すかのような眼差しで見つめている。
この二人が私の娘たちを殺したのだ。ずっと前から叩き潰したかったのだ。
私はもう一度、寧々を押した。すると彼女はわざと倒れ、司に助けを求めた。
「司、沙耶が私を殺そうとしているの!」
私は悲しく笑い、冷ややかに笑い、さらに自嘲して笑った。彼女の芝居をただ眺めている。
しかし、司は彼女が芝居をしているのがまるで分からないようで、飛びかかって私の拳を押さえようとした。
私は一振りで払いのけた。
すると……
ガシャンと、家の中に鋭い音が響いた。司は激怒のあまり、何かを叩き割ったらしい。
寧々は私の気が散った隙に、一突きに私を押し倒した。
私は地面を二回転がり、ソファーにぶつかってやっと止まった。
起き上がると、部屋中に粉が舞い、床には砕けた陶磁器の破片が転がっている。
私は慌てて骨壺の方を振り返った。詩乃の骨壺が、もうそこにはない。
頭が一瞬、真っ白になった。呼吸さえ忘れ、心臓が動くたび激しく痛んできた。
「あっ!
詩乃!
私の詩乃……
詩乃はもう痛い思いをして死んだのに、その骨まで散らすの?ひどすぎるよ!」
私は慌てて起き上がり、飛び上がって宙に舞う遺骨を捕まえようとした。
だが、ほとんど無駄だ。
私はしゃがみ込み、地面の遺骨を拾い集めるだけだ。ただ、涙がぼろぼろと遺骨の上に落ちていった。
詩乃はもう死んでいる。これっぽっちの骨も残せないようにはしない。
司は私の必死な姿を見て、足を少し動かし、ためらっているかのようだ。
「こんなに芝居が上手だとは思わなかったわ。女優になれればよかったのに」
寧々は冷ややかに皮肉を言い、もう一つの、望美の骨壺も持ち上げ、高くかざした。
そして両手を緩めた。
ガシャン。
骨壺は砕け散り、望美の遺骨が一面に舞い落ちた。細かい灰は宙にまで舞い上がった。
私の頭は真っ白になった。まるで一粒一粒の遺骨がナイフになり、私の体に刺さってくるようだ。
あまりにも痛い。
その時、寧々は遺骨の上を踏みつけた。
「あなたの負けよ」
「死ね!」
私の目は一瞬、真っ赤になった。怒りに燃えている母親ほど絶望的で、恐ろしい存在があるだろうか。
この時、私の心にはただ一つの思いしかない。
寧々を殺す。
寧々は私の姿に怖がり、たじたじと後ずさった。
私が彼女に駆け寄る前に、ためらっていたように見えた司が、私の姿に激昂し、腕を組んで私を遮った。
「もういい加減にしろ。どこから持ってきた灰を二つ積み上げ、詩乃と望美の遺骨だと言い張るなんて。
そんなに二人の娘が死ねばいいのか!」
言い終わると、彼のスマホが鳴った。
司は私を一瞥し、歩いてスマホを取ると、彼の母親である藤原美代子(ふじわら みよこ)からの電話だと分かった。
「お母さん、何?」
「司ったら、家族のことを思っているの?こんな大変なことが起きたのに、私たちに知らせないなんて!」
司は訳が分からず、心臓が激しく跳ね出した。彼は真剣に私を見て、また砕けた二つの骨壺を見た。
「お母さん、一体何があった?」
「詩乃と望美が三日前、車に轢かれて亡くなったのよ。なんで私たちに教えてくれなかったの?」
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