双子の娘を失い、冷徹な夫は狂った第1話
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子供の日、夫である藤原司(ふじわら つかさ)は双子の娘を迎えに行く途中、初恋の相手である須崎寧々(すざき ねね)から電話が来た。彼は子供たちを道端に置き去りにし、私、葉月沙耶(はづき さや)に迎えに行かせた。
私は取引先を放り出し、慌てて駆けつけた。
だが手遅れだった。長女はその場で車に撥ね飛ばされ、次女は私の腕の中で痛がり、「お父さん」と呼び続け、力尽きた。
結局、救急車も夫も来ないまま、次女も死んだ。
私は二人の娘の遺体を抱き、道端でわめき泣いた。
一方、寧々はSNSにこう投稿した。【一番の愛は、いつでも駆けつけてくれること。あなたがいてくれて、私は一番幸せだ】
文字の後には赤い唇のスタンプが六つ続いている。
写真は夫と彼女が寄り添い、頭の上で手を合わせハートを作っている。
私は絶望し、それをスクリーンショットし、彼に送った。【二人の娘より、彼女の方が大事?】
葬式の日になり、彼はいらだった感じで返した。【もう七歳なのに、まだ面倒見なきゃいけないのか?】
* * *
子供の日、夫である藤原司(ふじわら つかさ)は双子の娘を迎えに行く途中、初恋の相手である須崎寧々(すざき ねね)から電話が来た。彼は子供たちを道端に置き去りにし、私、葉月沙耶(はづき さや)に迎えに行かせた。
私は取引先を放り出し、慌てて駆けつけた。
だが手遅れだった。長女はその場で車に撥ね飛ばされ、次女は私の腕の中で痛がり、「お父さん」と呼び続け、力尽きた。
結局、救急車も夫も来ないまま、次女も死んだ。
私は二人の娘の遺体を抱き、道端でわめき泣いた。
一方、寧々はSNSにこう投稿した。【一番の愛は、いつでも駆けつけてくれること。あなたがいてくれて、私は一番幸せだ】
文字の後には赤い唇のスタンプが六つ続いている。
写真は夫と彼女が寄り添い、頭の上で手を合わせハートを作っている。
私は絶望し、それをスクリーンショットし、彼に送った。【二人の娘より、彼女の方が大事?】
葬式の日になり、彼はいらだった感じで返した。【もう七歳なのに、まだ面倒見なきゃいけないのか?寧々には俺が必要なんだ!】
【司、離婚しよう】
涙がまだ乾いていない私は、司にこのメッセージを送ると、スマホの電源を切った。
私は霊安室で娘の藤原詩乃(ふじわら しの)と藤原望美(ふじわら のぞみ)に付き添い、泣き続けた。涙はもはや枯れ果てている。
三日目になり、遺体は火葬された。
私が骨壺を抱えて家に戻った時、ちょうど司と寧々が互いに食べさせ合っている姿が目に入った。
二人の顔には甘い笑顔が溢れている。まるでこの家が私のものではなく、二人だけのものであるかのようだ。
以前なら、私はきっと司に話し合いを持ちかけ、娘たちへの影響を考えさせただろう。
だが、娘たちが亡くなってから、司は私の心の中で赤の他人になってしまった。彼と寧々がどうしようと、私には関係ない。
寧々は私を見ると、口の中の食べ物を噛みながら、あごを突き上げて私を見た。
極めて挑発的な態度だ。
彼女にはその資格があると、私は認めざるを得ない。
私と司が八年間結婚していても、彼は一度たりとも私に食べさせてくれたことがなかったからだ。
二人の子供たちでさえ、何度も懇願してやっと食べさせてもらえる程度だった。
寧々は再びあごを上げ、赤い唇を開き、司に食べさせるように合図した。
司は目いっぱいの愛おしさで彼女を見つめ、料理を箸で取って食べさせた。
食べさせ終わった直後、彼は後ろに誰かがいることに気づいた。
それが私だと分かると、彼の目の中の愛おしさも慈しみも、一気にうんざりした表情に変わった。
「よくも帰ってこられたな。この三日間、百回近く電話したのに、一度も出なかったじゃない!
ここが家だとまだ思っているのか!」
彼は眉をひそめ、何が起きても自分は悪くなく、すべて私のせいであるかのように振る舞った。
寧々の前でだけ、彼は良い男で、いつでも呼べばすぐ駆けつける優秀な彼氏になれるのだ。
「家のこと、分かっているの?」と、私は冷たく笑った。
司の心に少しでも家族のことを思ったなら、二人の娘を道端に置き去りにするなどできなかったはずだ。娘たちも車に撥ねられて死ぬことはなかった。
少しでも家に気をかけていたなら、子供たちに起きたことくらい分かるはずだ。
それにもかかわらず、娘たちが死んだばかりというのに、彼は初恋の相手を家に連れ込み、いちゃついている。
これが父親として、夫としてすることだろうか。
そう思うと、私の視線は一層冷たくなった。
司は冷ややかに私を一瞥した。
「そんな皮肉言うな。夜遅くまで家に帰らないのは君のほうだ!妻として、母親としての体裁がなっているのか?
それから、二人の娘をどこに連れて行った?」
「娘たちのことを聞く資格があるの?あなたの心の中では、この女の方が娘たちよりも大事なんでしょ?」
私はさらに皮肉った。
詩乃も望美もまだ七歳で、人生の楽しみも知らないまま、骨壺の中の一握りの灰になってしまった。
これほど残酷なことが、この世に他にあるだろうか。
「一度娘を迎えに行ってもらっただけだろ。そんなに根に持つな!それに寧々は当時すごく苦しかったし、誰も面倒を見ていなかったんだ。俺が付き添うのは当然だろ!」と、司はいらだった様子だ。
司の言葉が私の胸を刺した。
私の脳裏には、血まみれになって車に撥ねられた詩乃の姿が、そして望美が私の腕の中で血を吐きながら「お母さん、痛い、すごく痛い」と泣き叫ぶ姿が浮かんできた。
私の心は、今まさに血を流しているのだ。
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