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初恋の女のために息子すら見殺しにする気?第2話

この話は約1911字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

私は歯を食いしばって立ち上がり、スマホ画面に表示された目的地を睨みつけた。

数ヶ月前、私とりくは嵐の夜に同時に高熱を出した。

誠の車は車検に出していたため、私の車で病院へ連れて行ってほしいと頼んだ。

だが彼は、ベッドで寝返りを打ちながら言った。

「こんな土砂降りの中、車の運転は危ないだろう」

私は唇を噛み、自分で運転しようとした。

だがマンションを出た直後、誠が急いで追いかけてきて、私たちを車から降ろしたのだ。

雷が鳴っていて玲奈が怯えているから、彼女のそばにいなければならないと。

私はりくを片手で抱きかかえ、もう片方の手で強風に煽られる傘を必死に支えながら、かすれた声で彼に問い詰めた。

「じゃあ、私たちは?ここに取り残されて死ねって言うの?」

半開きになった車のドア越しに、誠は熱にうなされるりくと、高熱で真っ赤になった私の顔を見て、その目に、一瞬だけ痛ましいような色が過った。

だが次の瞬間、彼のスマホが鳴り、画面に玲奈の名前が見えた途端、彼は迷わずドアを閉めた。

「とりあえずりくを家に連れて帰って寝かせろ。明日迎えに来るから」

誠にとって、私とりくの命など、玲奈の足元にも及ばないのだろう。

「ここが玲奈の家の住所よ。全速で飛ばせば、ここから6分で着くわ」

母は頷いた。

「分かった。近くの警察官に、誠をこちらへ連れてこさせる!」

義母は胸を押さえた。

「じゃあ、私たちは今、ここでただ待つしかないの?」

私は顔を上げ、屋上を見つめた。

窓はすべてコンクリートで塞がれており、中の様子は全く分からない。

「犯人に伝えて。私が上に上がって、りくの身代わりになるって」

交渉人がそれを伝えるが早いか、犯人の冷酷な声が響いた。

「お前と身代わりごっこをしてる暇はないんだよ。

残り時間は8分だ」

私は、頭を力なく垂れている息子の姿を見つめ、ぐっと拳を握りしめた。

その時、背後で母が驚きの声を上げた。

「引っ越したって、どういうこと!?」

私が慌てて近寄ると、現場の警察官の声が聞こえた。

「隣人によると、その部屋に住んでいた女性は先週引っ越したそうです。

ある男が引越しを手伝いに来て、『ここは手狭だから、大きな邸宅に住まわせる』と言っていたと……」

私は一瞬にして、背筋が凍るのを感じた。

あの嵐の日の後、玲奈が住んでいたのはなんと私たちの新居だったと知った。

誠が仕事をすべてストップさせ、心血を注いで内装を手掛けた家だ。

私が暇つぶしに描いた手書きのイラストをエレベーターのドアに貼り付けた。

サイドボードには、私の好きなお茶の葉をぎっしり詰めてくれた。

家の中の配色もすべて私の好みに合わせ、カーテンの柄も私のお気に入りのものを選んでくれた。

誰もが、彼は私を心底愛しているのだと言っていた。

私も、その家で子どもを育てながら、彼と一生を共にするのだと信じ切っていた。

だが結婚後、彼は突然海沿いは湿気が多くて体に障るだの、会社からも遠いだのと難癖をつけ、どうしてもそこへ引っ越そうとしなかった。

私も仕事が忙しく、そのことはすっかり忘れていた。

まさか彼が、とっくに初恋の女をあの家に住まわせ、私が夢見た幸せをそっくりそのまま味あわせていたとは夢にも思わなかった。

そして今度は「狭い」と言って、彼女を大きな家へと住まわせたというのか。

考える暇もなく、私はうつむいて誠に電話をかけた。

連続で7回鳴らして、ようやく彼は面倒くさそうに電話に出た。

「また何なんだ?こっちにもやっと警察が到着したところだ」

私は息を荒げ、懇願するように言った。

「今どこなの?警察が着いたなら、今すぐ……」

「ダメだ。この警察官は若すぎる」

彼は私の言葉を遮ったが、私は一瞬意味が理解できなかった。

「……何ですって?」

誠は答えなかったが、電話の向こうから玲奈の声が聞こえた。

「誠、私、若い警察官を家に入れるのは怖いわ。

あの人たちガサツだし、もし家の中のものを壊されたら誰が責任とるの?

知り合いのベテランの警察官を呼んだの。私、その人しか信用できない」

誠は一切の躊躇なく承諾した。

「分かった。じゃあ、もう少しだけ待とう」

私は全身の血が凍りついたように固まってしまった。

タブレットのリアルタイムの映像の中では、りくが長時間縛られ続け、唇は真っ白になっていた。

私はスマホを握りしめ、こらえきれずに怒鳴った。

「誠!あと6分で爆発するって言ってるのに、あの女と一緒にまだ待つって言うの!?

りくはあなたの実の息子でしょう!?あの子の命は、あなたにとってそんなにどうでもいいものなの!?」

誠が反射的に何か言い返そうとしたが、玲奈がそれを止めた。

「沙耶さんにちゃんと説明してあげて。

彼女はただ、りく君のことが心配でたまらないだけよ」

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