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初恋の女のために息子すら見殺しにする気?第1話

この話は約2014字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

5年もの間、逃れ続けていた連続殺人鬼に、息子が拉致された。

息子の体に時限爆弾が巻きつけられ、残り10分となった時、犯人は最後通告を突きつけてきた。

「お前の夫をここへ呼んでこい。さもなくば、息子を吹き飛ばすぞ!」

私の母はあらゆる人脈を使い、特殊急襲部隊(SAT)を総動員して強行突破の準備を進めた。

義父母も、孫の命を救うためならと全財産を差し出して犯人との交渉を試みようとしていた。

私・結城沙耶(ゆうき さや)は震える唇を噛み締め、夫の九条誠(くじょう まこと)に何度も何度も電話をかけ続け、ようやく繋がった。

だが、私の話を聞き終えた彼の声は、ひどく冷たかった。

「沙耶、玲奈の家に泥棒が入ったんだ。警察が来るまで離れられないんだ。

それが終わり次第、すぐにそっちに行く。

安心しろ、犯人が会いたいのはこの俺だ。俺が行く前に、りくに手を出すはずがない」

電話の向こうから、かすかに西園寺玲奈(さいおんじ れな)の声が聞こえてくる。

「誠、私……すごく怖いわ……」

電話はそのまま切られてしまった。

時間は過ぎ去り、やがてカウントダウンは残り10秒を切った。

爆弾のカウントダウンを見つめながら、私は底知れぬ絶望の淵に突き落とされた。

誠……あなたが到着する頃には、息子はもう……

* * *

誠が言い終わるや否や、隣にいた母が激怒した。

「待つってどういうこと!爆弾があなたを待ってくれるとでも思ってるの!」

誠はさらに不機嫌そうに顔をしかめた。

「お義母さん、沙耶はただの経営者ですが、鑑識課長であるあなたが分からないわけないでしょう?

犯人が会いたいのはこの俺です。俺がそこに着く前に爆発することはありませんよ。

少し遅れたところで大丈夫ですよ」

周囲の警察官たちもその言葉を聞いて、説得に入ろうとした。

「九条さん、爆弾が本物だと確認が取れました……」

しかしその時、電話の向こうから同時に玲奈の泣き声が響いた。

「誠、外に誰かいるの!また泥棒が戻ってきたのかも!」

電話が切れた。

警察官たちは信じられないというように顔を見合わせ、一斉にタブレットの画面に視線を戻した。

犯人が送ってくるリアルタイムの映像の中で、りくはすでに泣き疲れてぐったりしていた。

「ママ、パパはどうしてまだ助けに来てくれないの?」

胸を鈍器で殴られたような衝撃に、私は震えながら顔を上げた。

犯人が送ってきた位置情報によれば、奴がりくと共にいるのは、この廃墟と化したデパートの屋上だった。

息を切らして駆けつけてきた義父母も、私たちのただならぬ表情を見て血相を変えた。

「誠はまだ着いてないのか?」

私がどうすべきか必死に考えていると、母が歯軋りしながら言った。

「誠の奴、一体何を考えてるの!実の息子が爆死させられようとしているのに、あの玲奈とかいう女に付き添ってるのよ!」

義父の顔色は土気色に変わり、自ら誠に電話をかけようとした。

義母はショックで息を呑み、目を真っ赤にした。

「またあの女か!あの女はろくでもないって、私ずっと言ってたのに!」

その場の全員が息を呑み、義父を見つめた。

しかし、電話は切られてしまった。

義父が何度か悪態をついた直後、私のスマホが震えた。

誠からボイスメッセージが届いたのだ。

「沙耶、こっちの警察の話じゃ、すぐそこまで来てるらしい。

もうすぐそっちに向かうから、何度も電話してくるな。

それに、親父やお袋をそそのかして電話させるのもやめろ!」

私は音声入力のボタンを押した。

必死に冷静さを保とうとしたが、口を開くとやはり声がひどく震えた。

「誠、りくの命はあなたにかかってるのよ。あと9分しかないの。

お願いだから、りくを助けに来て……」

送信して数秒後、誠から返信が来た。

そこから聞こえてきたのは、なんと玲奈の泣き声だった。

「ごめんなさい、沙耶さん。全部私のせいなの……私、本当に怖くて……」

そしてメッセージの最後には、誠の優しい慰めの声が混ざっていた。

「お前は昔から気が小さいからな。

自分のせいにすることはないさ。心配するな、俺がついているから」

私はめまいを覚え、目の前が暗くなりそうだった。

またそのセリフだ。

何が気が小さいからだ!

私たちの結婚式の真っ最中にも、彼はタキシード姿のまま彼女の家へゴキブリを退治しに行った。

私がりくを出産する時も、彼は私を置き去りにして、彼女の車の追突事故の処理に駆けつけた。

そして今、実の息子の命が彼に懸かっているというのに、初恋の女のために、私たちにもう少し待てと言うのだ!

義父母はあまりの怒りに言葉も出ないようだった。

母は私の腰を後ろから支え、低い声で言った。

「落ち着きなさい。特殊急襲部隊はすべて手配済みよ。

誠が間に合わなければ、強行突破するわ!」

だが、一人の警察官が反対した。

「いけません!犯人は複数の場所にセンサーを仕掛けています。

強行突破しようとすれば、お子様に仕掛けられた爆弾がその場で起爆してしまいますよ!」

爆弾が爆発すれば、りくは吹き飛んでしまう!

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