初恋に溺れた夫、義母に追い出される第1話
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結婚して一年、私は妊娠した。
佐藤慎也(さとう しんや)は私をお姫様みたいに甘やかしてくれた。
お義父さんもお義母さんも佐藤家の恩人だと言ってくれていた。
私はずっと、こんな暖かい家族にめぐり会えて、自分はなんて幸せなのだろうと思っていた。
あの日、あんなことが起こるまでは。
私はやっと、すべては仕組まれた嘘だったと気づいたのであった。
* * *
結婚して一年、私は妊娠した。
佐藤慎也(さとう しんや)は私をお姫様みたいに甘やかしてくれた。
お義父さんもお義母さんも佐藤家の恩人だと言ってくれていた。
私はずっと、こんな暖かい家族にめぐり会えて、自分はなんて幸せなのだろうと思っていた。
あの日、あんなことが起こるまでは。
私はやっと、すべては仕組まれた嘘だったと気づいたのであった。
妊娠してから私はやたら眠くなるようになった。
一日二十四時間のうち、10時間以上寝てしまうこともザラだ。
その日は昼間に水を飲みすぎたせいか、眠っている途中で尿意で目が覚め、トイレへ行こうとベッドから起き上がろうとした。
しかし電気をつけると、隣で寝ているはずの慎也の姿がないことに気がついた。
名前を呼んでみたが返事がなく、部屋にいる気配もない。
スマホを見ると、すでに深夜一時をすぎていた。
こんな時間に、慎也はどこへ?
少し気にはなったが、深く考えずにトイレを済ませ、またベッドに戻って眠ろうとした。
でも、慎也が帰っていないせいか、どうにも落ち着かず、浅い眠りを繰り返した。
さらに夜も更けた頃、突然ベッドが沈む感覚と同時に、鼻先にふわりと桃の甘い香りが漂ってきた。
私は一瞬で目が覚め、胸の奥がドクンとはねた。
妊娠中は夫の浮気が増える、ネットでよく見る話だ。
妻が妊娠中は性行為が難しくなるため、外でつまみ食いする男がいると。
まさか、慎也も外で食べてきた?
いやそんなわけない、慎也は性欲に振り回されるタイプじゃないし、結婚後の頻度だって決して高くなかった。
でもじゃあ他に何が?
なによりあの香水の匂いはどう説明すれば?
考えているうちに、私はまた眠気に負けてしまった。
翌朝、目が覚めてから昨夜のことを聞くと、慎也は一瞬だけ固まり、それからすぐに「会社の同僚がどうしても急ぎの書類が必要だったから、夜中に届けに行ったんだ」と答えた。
説明自体はおかしくないが、どうしても胸のざわつきが消えなかった。
それから少し注意して様子を見ていると、確かに慎也は最近どこかおかしかった。
慎也の帰宅はどんどん遅くなり、家に戻ってからトイレに篭る時間もやたらと長くなった。
男の人にとってトイレは第二の家だという話は聞くが、それにしても長すぎる。
そして何より、私が近づくと、必ずと言っていいほどスマホの画面を切り替える。
あの夜のことと合わせて考えれば、怪しいとしか思えなかった。
そこで、慎也がシャワーを浴びるためにスマホを手放したタイミングを見計らい、私はこっそり中を確認したが、何も見つからなかった。
私の勘違い……?
そう思いかけた頃、慎也が「今日は残業だ」と言った日、帰ってきた彼の体からまたあの桃の香りがした。
とても薄い、洗い流した後のような残り香だったが、私はもともと嗅覚が鋭く、そのわずかな匂いをはっきりと感じ取った。
そしてその夜、ついに証拠を見つけた。
彼のラインが、パソコンの方でログアウトされていなかったのだ。
画面には、一番上に固定されたうさちゃんというアカウントとのトーク。
そこには最新の二つのメッセージが残っていた。
一つ目はうさちゃんの【もう、狂いそう】、そして慎也の返事は、【あと少し我慢して。仕事が終わったらすぐ会いに行く】。
私が震える指でチャット履歴を遡ろうとしたその瞬間、ラインが強制的にログアウトされた。
慎也がスマホ側で何か操作したのだとすぐに悟った。
彼はいつも慎重な人だ。
今回パソコンにログインしっぱなしにしていたのは、私が妊娠後期で、パソコンは放射線があるから触らないと思っていたからだろう。
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