六年の誤った愛第1話
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妊娠三ヶ月の私が突然、耐え難い腹痛に襲われ、下腹部から鮮血がサラサラと流れ出した。
私は意識を失う寸前で、江口望月(えぐち みつき)に助けを求めるため電話をかけた。
電話がつながると、向こうから苛立った声が聞こえた。「また何かあったのか?」
私は意識が遠のき、助けを求めようと口を開けたが、突然、彼の幼馴染である周防花音(すおう かのん)の笑い声が聞こえた。「今日は誰にも邪魔させないからね」
次の瞬間、電話は冷酷に切られた。
再び目を覚ました時、私の腹はすっかり平らになっていた。
花音のインスタを開くと、写真の中で二人はしっかりと手を握り合っていた。
そして、彼女の手首には、江口家の伝家のブレスレットがつけられている。
キャプションには【ある人が、このブレスレットだけが私にふさわしいって言ってたから、遠慮せずに受け取っちゃったわ】と書かれていた。
* * *
妊娠三ヶ月の私が突然、耐え難い腹痛に襲われ、下腹部から鮮血がサラサラと流れ出した。
私は意識を失う寸前で、江口望月(えぐち みつき)に助けを求めるため電話をかけた。
電話がつながると、向こうから苛立った声が聞こえた。「また何かあったのか?」
私は意識が遠のき、助けを求めようと口を開けたが、突然、彼の幼馴染である周防花音(すおう かのん)の笑い声が聞こえた。「今日は誰にも邪魔させないからね」
次の瞬間、電話は冷酷に切られた。
再び目を覚ました時、私の腹はすっかり平らになっていた。
花音のインスタを開くと、写真の中で二人はしっかりと手を握り合っていた。
そして、彼女の手首には、江口家の伝家のブレスレットがつけられている。
キャプションには【ある人が、このブレスレットだけが私にふさわしいって言ってたから、遠慮せずに受け取っちゃったわ】と書かれていた。
もし以前の私なら、この投稿を見た瞬間、すぐに望月へ電話してヒステリックに問い詰めていた。
しかし今回は、私の心が信じられないほど静かだ。まるで子どもの死と一緒に、望月への感情まで消えてしまったかのようだ。
私はそっと平らになったお腹を撫でた。数時間前まで、子どもが生まれたらどんな顔をしているか想像していた。
望月に似るのか、それとも私に似るのか、そんなことを考えていた。
そのときの私は、顔は望月似で、性格は私に似ればいいと思っていた。そうすれば、二人の良いところを受け継ぐことができるから。
だが今は、私の腹は平らで、私と血でつながっていた命の鼓動はもう感じられない。
私は望月を丸六年も愛し続けた。彼に一目惚れした私は、三年ほどしつこく絡みつき、ようやく彼の愛を勝ち取った。
望月が私にプロポーズした日、私は本当に嬉しかった。なぜなら、彼がようやく私に感動し、私を愛するようになったから、私と結婚する気になったのだろうと思っていたからだ。
だがその夜、上機嫌な私は結婚の日取りを相談しようと書斎へ向かった時、彼が電話しているのを聞いてしまった。
電話の相手である望月の友人は、不思議そうに言っていた。「花音さんが海外に行ったくらいで、八つ当たりみたいに誰かと結婚する気か?そんなことしていいのか?花音さんが帰ってきたらどうするんだ?
それに、神原思美(かんばら ことみ)は、三年間も腰巾着みたいにお前にしつこく絡みついてた。今さらプロポーズなんてしたら、今後振り切るのがもっと厄介になるぞ」
私はドアの外に立って待ちながら、望月が否定する言葉を聞きたかった。彼が私を愛しているから結婚するんだと言ってほしかった。
しかし室内はしばらく静まり返り、やがて彼の苛立った声が響いた。
「俺が誰と結婚しようが俺の勝手だ」
そして、屋内からライターの音が聞こえ、ほのかに煙草の匂いが漂ってきた。
確かに、望月は煙草を吸わない人だ。
その時、私は思った。望月はまだ私の良さに気づいていないだけだ。私たちが結婚すれば、毎日一緒に過ごすうちにきっと私を愛してくれるだろう。
だが今、私はようやく気づいた。感情というものは、ただ一方的に与え続けたところで、必ずしも同じだけの返報を得られるわけではない。
望月は冷酷な人間だ。どんなに愛を注いでも、私を愛するなんて絶対にあり得ない。
私が弱った体を引きずりながら家に帰ると、ドアを開けた瞬間、望月が新聞を手に持ってソファに寄りかかっているのが見えた。
ドアの音を聞いた彼は、私を見ようとすることなく、目を一度も上げなかった。
「マッサージして」
私は彼の頼みを聞かず、ソファの反対側に行って座り、そのまま休むことにした。
望月は不機嫌そうに眉間を揉んだ。
「わかったよ、悪かったって。昨日は花音の誕生日だったんだ。俺が盛り下げるわけにいかないだろ。
俺だって疲れてるんだ。少しは気を遣ってくれ」
以前、望月が仕事で長時間座って肩や首に負担がかかるのが気になった。そのため、私は指圧師に頼んで、肩や首の疲れを和らげるマッサージ方法を教わった。
家に帰るたび、私は彼にマッサージをして、少しでも楽になれるようにできる限りのことをしてあげていた。
だが今の私は、ただ静かに言った。
「望月、私たち別れましょう」
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