八年の愛、儚く散りて第3話
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翌日、息子の骨壺を選んでおいた墓地に運び、埋葬の準備をした。
蒼介には知らせなかった。
私の心の中で、彼は息子を間接的に殺した犯人だ。
来られたら息子の来世への道が汚される。
だが世の中にこんな偶然があるとは思わなかった。墓地で蒼介と優芽に出くわすなんて。
「蒼介さん、ココはどこに埋葬しましょう?犬を人間と同じように埋葬すると、来世で人間に生まれ変われるって聞いたわ。風水のいい墓地を選ばなきゃ」
優芽は骨壺を抱きながら、蒼介に向かってペラペラと喋っている。
私は相手にするつもりはなかった。だが蒼介が私に気づいた。
彼は眉をひそめ、目に苛立ちの色が過った。まるで私が振り払えない厄介者であるかのように。
「何でお前がここにいるんだ?」
蒼介は昨日、優芽の犬が死んだと私に話していた。だから当然のように、私がここにいるのは彼を尾行したからだと思い込んでいる。
私は彼と話したくなかった。背を向けて立ち去ろうとした。
だが優芽が申し訳なさそうな表情を作って、私の前に立ちはだかった。
「遥さん、一昨日は私にとっては家族同然だった小さい頃から育てていた愛犬が死んでしまって、あまりに悲しくて蒼介さんに電話してしまったわ。
今日も愛犬を埋葬するために付き添ってもらっているの。蒼介さんを責めないであげて」
優芽のこの猫被りは一目で見抜ける。以前なら、彼女が蒼介の会社で働いていることを配慮して、表立って指摘しなかっただけだ。だが今は彼女の相手をする気分じゃない。
「それで?私に線香でも上げろというの?」
「遥、何てことを言うんだ。そんな皮肉を言う必要があるのか?」
蒼介は優芽を庇うように後ろに下がらせた。まるで私が牙を剥く怪物であるかのように。
以前なら胸が痛んで、彼と言い争っていただろう。だが今は、もう彼と関わりたくない。
背を向けて彼の言葉には答えなかった。
優芽が蒼介の袖を引いた。
「蒼介さん、先に墓地を探しましょう。もしかしたら遥さんは心配しているだけかもしれないわ」
だが蒼介は珍しく優芽の言葉を聞かず、私に向かって語気を和らげた。
「陽太の誕生日のことは俺が悪かった。家に帰ったら陽太に謝る。
優芽とは何もなかった事は約束する。もう怒るなよ、な?」
彼は今でも私が嫉妬して機嫌を損ねていると思っているのだろう。だからご機嫌を取るように謝っている。
以前なら、私はとっくに心を許していただろう。
だが今回、蒼介が本当に謝るべき相手はもういない。
そして私も彼を許すこともない。永遠に。
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