和紙文入籍の日、婚約者は秘書と裏切りのキスを交わした · 第3話設定≡

入籍の日、婚約者は秘書と裏切りのキスを交わした第3話

この話は約1383字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

「何してるんだ!?」

私が写真を破いているのを見て、英二は怒鳴り声を上げ、駆け寄ってくる。その顔には緊張と悲しみが浮かんでいる。

すでに焼け焦げてしまった写真まで、必死に救おうとする。

しかし、炎はすでに高く燃え上がっている。

近づくことさえできない。

「なぜだ?なぜこんなことをするんだ!」

英二は怒りに満ちた目で私を見つめ、その目は瞬く間に赤くなり、声の終わりは微かに震えていた。

その感情は、とても演技とは思えない。

しかし、なぜか私は、それがおかしく思える。

こんなにも写真を大切にしているのに、生きている私の気持ちには、全く無頓着なのだから。

確かにおかしい。

私は無表情に彼の手から写真を取り上げ、火鉢に投げ込む。

「もう愛していない人の写真を残しておいて、何の意味があるの?」

英二は一瞬、呆然とした。

「ま、まだあの日のことで怒ってるのか?」

私が口を開く前に、彼は怒って叫ぶ。

「一体どうしたいんだ!?

もう説明しただろ!二日後には婚姻届を出しに行くって約束もした!まだ何が不満なんだ!?」

向こうが怒れば怒るほど、私は逆に冷静になっている。

平然と笑いながら言った。

「それなら、なおさらこの写真が残っている理由はないじゃない?

婚姻届を出したら、旅行にも行けるし、ウェディング写真もたくさん撮れるじゃない?」

私の態度の変化が、彼には予想外だったようだ。

英二は一瞬、戸惑い、私が言った言葉を口の中で繰り返す。

「旅行……」

何かを思いついたように、すぐに頷く。

「それもいいな。ちょうど友香も旅行に行きたいって言ってたし、その時、一緒に行こう」

その言葉は、すでにボロボロだった私の心に、さらに深くナイフを突き刺した。

今の私は、彼に何を言っても、まず友香のことを思い浮かべるようだ。

夫婦二人の旅行や、ウェディング写真の撮影でさえ、あの友香を連れて行こうとする。

これが英二という人間。

私は心の中で、自分の愚かさを罵る。

こういう人間だと分かっていたのに、まだ期待を抱いていたなんて。

本当に愚かだ。

深夜、賢一から電話がかかってくる。

「今、オークションに参加してるんだ。俺たちの結婚指輪を買おうと思ってね。そしたら、俺が一番愛する人に、自らつけてあげるよ」

彼の声は、いつもの落ち着きとは違い、少しお茶目な響きがある。

私は何も考えずに、承諾した。

電話の向こうは少し黙り、不満げに言う。

「俺に何か言いたいことはないのか?」

私は真剣に考えてから、ため息をつく。

「やっぱり、あなたが帰ってきてから話すわ」

「それもそうだな」

少し間を置いて、賢一は続ける。

「結婚するっていうことの意味、分かってるよな?」

何を心配しているのかは分かっている。

私はかつて、英二を深く愛していたから。

賢一が不安になるのも無理はない。

「分かってるわ」

私は真剣な声で言う。

「あなたを選んだからには、もう他の考えは一切ない」

「それならいい。会えるのを楽しみにしてる」

賢一は急に機嫌が良くなり、楽しそうな声で電話を切った。

シャワーを浴びた後、スマホのメールボックスに新しいメールが届いていることに気づいた。

なんと、音楽交流会からの招待状だ。

しかも、招待状は明日には届くという。

私の心は、珍しく高揚している。

ずっと音楽の夢があったけれど、英二を助けるために、それを諦めて彼の会社に入った。

今、こんなチャンスが目の前にあるのだから、もう逃したくない。

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