入籍の日、婚約者は秘書と裏切りのキスを交わした第3話
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「何してるんだ!?」
私が写真を破いているのを見て、英二は怒鳴り声を上げ、駆け寄ってくる。その顔には緊張と悲しみが浮かんでいる。
すでに焼け焦げてしまった写真まで、必死に救おうとする。
しかし、炎はすでに高く燃え上がっている。
近づくことさえできない。
「なぜだ?なぜこんなことをするんだ!」
英二は怒りに満ちた目で私を見つめ、その目は瞬く間に赤くなり、声の終わりは微かに震えていた。
その感情は、とても演技とは思えない。
しかし、なぜか私は、それがおかしく思える。
こんなにも写真を大切にしているのに、生きている私の気持ちには、全く無頓着なのだから。
確かにおかしい。
私は無表情に彼の手から写真を取り上げ、火鉢に投げ込む。
「もう愛していない人の写真を残しておいて、何の意味があるの?」
英二は一瞬、呆然とした。
「ま、まだあの日のことで怒ってるのか?」
私が口を開く前に、彼は怒って叫ぶ。
「一体どうしたいんだ!?
もう説明しただろ!二日後には婚姻届を出しに行くって約束もした!まだ何が不満なんだ!?」
向こうが怒れば怒るほど、私は逆に冷静になっている。
平然と笑いながら言った。
「それなら、なおさらこの写真が残っている理由はないじゃない?
婚姻届を出したら、旅行にも行けるし、ウェディング写真もたくさん撮れるじゃない?」
私の態度の変化が、彼には予想外だったようだ。
英二は一瞬、戸惑い、私が言った言葉を口の中で繰り返す。
「旅行……」
何かを思いついたように、すぐに頷く。
「それもいいな。ちょうど友香も旅行に行きたいって言ってたし、その時、一緒に行こう」
その言葉は、すでにボロボロだった私の心に、さらに深くナイフを突き刺した。
今の私は、彼に何を言っても、まず友香のことを思い浮かべるようだ。
夫婦二人の旅行や、ウェディング写真の撮影でさえ、あの友香を連れて行こうとする。
これが英二という人間。
私は心の中で、自分の愚かさを罵る。
こういう人間だと分かっていたのに、まだ期待を抱いていたなんて。
本当に愚かだ。
深夜、賢一から電話がかかってくる。
「今、オークションに参加してるんだ。俺たちの結婚指輪を買おうと思ってね。そしたら、俺が一番愛する人に、自らつけてあげるよ」
彼の声は、いつもの落ち着きとは違い、少しお茶目な響きがある。
私は何も考えずに、承諾した。
電話の向こうは少し黙り、不満げに言う。
「俺に何か言いたいことはないのか?」
私は真剣に考えてから、ため息をつく。
「やっぱり、あなたが帰ってきてから話すわ」
「それもそうだな」
少し間を置いて、賢一は続ける。
「結婚するっていうことの意味、分かってるよな?」
何を心配しているのかは分かっている。
私はかつて、英二を深く愛していたから。
賢一が不安になるのも無理はない。
「分かってるわ」
私は真剣な声で言う。
「あなたを選んだからには、もう他の考えは一切ない」
「それならいい。会えるのを楽しみにしてる」
賢一は急に機嫌が良くなり、楽しそうな声で電話を切った。
シャワーを浴びた後、スマホのメールボックスに新しいメールが届いていることに気づいた。
なんと、音楽交流会からの招待状だ。
しかも、招待状は明日には届くという。
私の心は、珍しく高揚している。
ずっと音楽の夢があったけれど、英二を助けるために、それを諦めて彼の会社に入った。
今、こんなチャンスが目の前にあるのだから、もう逃したくない。
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