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僕が去ると、元妻の会社は潰れた第1話

この話は約2314字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

7歳のあの年、母が連れて帰ってきたハンサムなおじさんが、僕にマンゴーを一箱くれた。

あの日、父は、夢中でマンゴーを食べている僕を見つめると、離婚届に署名し、ビルから飛び降りた。

それ以来、マンゴーは僕の一生のトラウマとなった。

だから、結婚の日、妻の林田美咲(はやしだ みさき)に言ったんだ。

「もし離婚したくなったら、マンゴーを一つくれればそれでいい」

妻は何も言わずに僕を抱きしめてくれた。それ以来、マンゴーは彼女にとっても触れることのできないものとなった。

結婚して五年目のクリスマスイブ、妻の幼なじみが、彼女のデスクの上にマンゴーを一つ置いた。

その日、妻は幼なじみである井頭伸也(いがしら しんや)との絶縁を宣言し、彼を会社から追い出した。

あの日、僕は心の底から思った――彼女こそが、運命の人だと。

それから半年後、僕は海外から十億円規模の契約をまとめて帰国した。

祝賀会の席で、妻が一杯のドリンクを差し出してきた。

半分ほど飲んだところで、あの会社を追い出された妻の幼なじみが、僕の背後に立ち、にやにやしながら言った。

「マンゴージュース、うまいか?」

僕は信じられない思いで美咲を見つめた。彼女は笑いをこらえながら言う。

「怒らないで、伸也がどうしてもあなたにドッキリを仕掛けたいって言うから。

マンゴーを食べさせたわけではないの。ただマンゴージュースを一杯渡しただけよ。

やっぱり、伸也の言う通りだね。マンゴーを食べられないなんて、ちょっとおかしいわ!ほら、さっきまであんなに美味しそうに飲んでたじゃない!」

冷たい表情で、僕は残ったマンゴージュースを彼女の顔にぶちまけ、そのまま背を向けて立ち去った。

この世に、決して冗談にしてはいけないことがある。

マンゴーも、そして僕が離婚を口にしたことも、絶対に冗談なんかじゃない。

* * *

7歳のあの年、母が連れて帰ってきたハンサムなおじさんが、僕にマンゴーを一箱くれた。

あの日、父は、夢中でマンゴーを食べている僕を見つめると、離婚届に署名し、ビルから飛び降りた。

それ以来、マンゴーは僕の一生のトラウマとなった。

だから、結婚の日、妻の林田美咲(はやしだ みさき)に言ったんだ。

「もし離婚したくなったら、マンゴーを一つくれればそれでいい」

妻は何も言わずに僕を抱きしめてくれた。それ以来、マンゴーは彼女にとっても触れることのできないものとなった。

結婚して五年目のクリスマスイブ、妻の幼なじみが、彼女のデスクの上にマンゴーを一つ置いた。

その日、妻は幼なじみである井頭伸也(いがしら しんや)との絶縁を宣言し、彼を会社から追い出した。

あの日、僕は心の底から思った――彼女こそが、運命の人だと。

それから半年後、僕は海外から十億円規模の契約をまとめて帰国した。

祝賀会の席で、妻が一杯のドリンクを差し出してきた。

半分ほど飲んだところで、あの会社を追い出された妻の幼なじみが、僕の背後に立ち、にやにやしながら言った。

「マンゴージュース、うまいか?」

僕は信じられない思いで美咲を見つめた。彼女は笑いをこらえながら言う。

「怒らないで、伸也がどうしてもあなたにドッキリを仕掛けたいって言うから。

マンゴーを食べさせたわけではないの。ただマンゴージュースを一杯渡しただけよ。

やっぱり、伸也の言う通りだね。マンゴーを食べられないなんて、ちょっとおかしいわ!ほら、さっきまであんなに美味しそうに飲んでたじゃない!」

冷たい表情で、僕は残ったマンゴージュースを彼女の顔にぶちまけ、そのまま背を向けて立ち去った。

この世に、決して冗談にしてはいけないことがある。

マンゴーも、そして僕が離婚を口にしたことも、絶対に冗談なんかじゃない。

……

「久我健太(くが けんた)さんですね。ストレスが原因で胃の状態が悪化していますよ。今後、体に合わないものは無理に摂らないでください。次に同じことがあれば、胃の切除が必要な事態にもなりかねません。

経過を見るため、今日は一泊の入院をお願いします。ご家族には連絡してください」

医者の言葉を聞いて、僕は黙り込んだ。

新しいプロジェクトのために、海外で三十九日間、昼夜問わず働き続け、ようやく無事に帰ってきた。

まさか、美咲のあの祝賀会の一杯のマンゴージュースで、病院送りになるとは思わなかった。

つい、トップに固定したLINEを開き、文字打ったところで違和感が頭をよぎった。

よく見れば、やはり相手は美咲だ。しかし、彼女はアイコンを変えていた。

緑色のマンゴーの絵に。

チャット画面を見つめてぼんやりしていると、美咲から電話がかかってきた。

スマホから聞こえた女の声は、氷のように冷たい。

「もう家に着いたのに、あなた、今どこ?」

僕は黙り込んだ。

いつもならすぐに彼女を許して、何事もなかったように話題を変えていたが、今夜は、どう言葉を発していいのか分からなくなった。

美咲の声に苛立ちが混じる。

「健太、いつまで拗ねてるつもり?」

「病院だ」

美咲は沈黙した。彼女が僕の体を気にかけたことなど一度もない。

まさか自分の一杯のマンゴージュースが、僕を病院送りにしたとは思いもしないだろう。

「病院で待ってて。すぐ行くから」

彼女のことなど構っていられない。

体がいうことをきかない。動く気力さえ湧いてこない。

時がゆっくりと過ぎていく。医者の回診が三度もあったというのに、美咲はついに現れなかった。

寝る前、最後にスマホをチェックした時、伸也のSNS投稿が目に入った。

【ケガをするたび、お姫様が魔法みたいに現れてくれるんだ。ほんと最高~】

添えられた写真には、美咲が彼に絆創膏を貼っている様子が写っていた。

伸也のアイコンは黄色いマンゴー。

可愛いのに、吐き気を催す。

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