偽りの歓喜を、あなたから第1話
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仏にも
愛しき君にも
背かぬ道
この世にあらじと
嘆く心よ
詩はひどくロマンチックだが、早瀬若葉には関係ない。なぜなら、早瀬若葉の婚約者は、浮世離れした仏子だったから。
しかし、彼が還俗したのは彼女のためではなく、空色戒を破ったのも彼女のためではなかった。
仏子は決して心を動かさないだろうと彼女は思っていたが、後に、彼が心を動かさないのは、ただ彼女のためではなかったのだと知る。
だから、早瀬若葉は諦めた。
彼女は、江藤白夜を忘れるために、自らに七日間の猶予を与えた。
* * *
「若葉、あなたは本当に玲奈の代わりにダンマ女神となることを望むか?ダンマ女神となれば、生涯再婚は叶わず、あなたと江藤白夜の婚姻も無効となるが」
金色の仏像が並ぶ寺院の中、住職は老いていながらも慈悲深い声で問いかけた。
早瀬若葉(はやせ わかば)は殿内に跪き、眉間に朱砂の点を湛え、両手を合わせて心から敬虔に答えた。
「はい、承知しております」
どうせ江藤白夜(えとう びゃくや)が愛しているのは、自分ではない。
彼が愛しているのは、玲奈(れいな)だ。
それならば、彼女が二人の仲を成就させるのが一番だろう。
「住職、もう一つお願いがございます」
若葉は目を伏せ、それから低い声で告げた。
「正式にダンマ女神となる前に、このことを誰にも、玲奈にも、そして白夜にも伝えないでいただきたいのです」
住職は了承し、若葉には至親や最愛の人に別れを告げるため、たった七日間しか時間がないことを告げた。
七日後、彼女はもはや若葉ではなく、寺のダンマ女神となるのだ。
若葉が大殿から出ると、ふと顔を上げた先には雪のような白い影があった。
白夜が純白の汐蔵族の僧衣を纏い、長い廊下から歩いてくる。彼の肌もまた雪のような冷たい白で、ただその瞳だけは真夜中のように深く底が見えず、かすかに幽冷な光を宿していた。
「なぜここに?」
若葉を見るなり、白夜はわずかに眉をひそめた。
彼はまるで彼女に会いたくないようだった。
彼女が婚約者であるにもかかわらず。
心臓に突き刺すような痛みが走ったが、若葉はそれを見ないふりをして、無理に明るく笑った。
「お参りに来たのよ」
白夜の視線はさらに冷たくなった。明らかに彼女の言葉を信じていない。
それも当然だ。何年もの間、彼女はまるで小さな影のように、ずっと彼について回っていた。経典には全く興味がなかったのに、彼と共通の話題を増やそうと、厚い仏典を無理に読み、汐蔵族の先生を雇って汐蔵語まで習った……。
汐蔵語は学ぶのがとても難しかった。朝早くから夜遅くまで必死に暗記し、ようやく少し成果が出たところで、彼女は喜び勇んで仏堂に彼を訪ね、顔を赤らめて汐蔵語で告白したのだ。
しかし、その満ち足りた喜びは、最終的に彼の冷たい一言に変わっただけだった。
「それは信仰を冒涜する行為だ」
その頃の彼女はまだ幼く、理解できなかった。彼を好きになることが、どうして信仰の冒涜になるのだろうと?
後に彼女は悟った。彼は生まれながらにして仏陀の転生とされ、俗世を超越した仏子であり、諸仏の象徴なのだと。
そして、彼女の愛は私情であり、仏子への冒涜なのだと。
「白夜お兄さん!」
澄んだ女性の声が、銀の鈴のように心地よく響いた。
紅白の汐蔵族の僧衣を纏った玲奈が、廊下の反対側から走ってくる。彼女の足取りは軽やかで、まるで雀が跳ねるかのようだ。
「白夜お兄さん!やったね!師匠が還俗を許してくれたの!」
彼女は駆け寄り、白夜の腕の中に飛び込んだ。明るい表情には興奮が満ち溢れている。
玲奈を見て、白夜の眼差しも和らいだ。
「どうして?あなたはダンマ女神。あと七日で正式な儀式を控えているというのに、師匠が還俗を許すはずがない」
「師匠が言うには、私と同郷同月同日生まれのお姉さんが、私の代わりにダンマ女神になることを望んでくれたんですって」
玲奈は笑って答えた。
「それに、私はまだ俗世の縁が残っていて、仏の道には向いていないから、還俗を許してくださったのよ」
それを聞いて、白夜の穏やかだった瞳に、珍しく微かな光が宿った。
「本当か?それはよかった」
皆が言った。「仏子には七情六欲がなく、仏の心は平静であり、世俗の情愛が彼の心を揺るがすことはない」と。
若葉はそれを信じていた。
しかし今、白夜の瞳に宿る微かな光を見て、彼女は突然、自分がまるで笑い話のようだと感じた。
彼女の愛は、仏子にとって冒涜である。
では、仏子が煩悩に動かされたとしたら、それはどうなるというのだろう?
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