俺様社長とのハピエン後、愛は奈落へ第2話
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夜の食事の時、啓太は私に無理やりご飯を食べさせようとした。
彼は優しい顔つきでスプーンを持ち、私に食べさせようとしながら言った。「ちゃんと食べないと、体に良くないだろ?」
私の体が悪くなったら、智子に健康な臓器を提供できなくなるもんね。そういうことでしょ?
目の前で優しく微笑む、完璧に偽装されたその顔を見て、また吐き気を催した。
トイレに駆け込み、中から鍵をかけた。ドアの外から聞こえる啓太の声は無視して、さっき食べたものを全部吐き出した。
ポケットの中のスマホが、不意に一度震えた。
【本当にここを離れる覚悟はできてるんですか?】
スマホを握りしめると、啓太の冷たい言葉が脳裏に蘇った。
【ええ、一刻も早くお願いします】
すぐに、啓太が使用人に鍵を持ってこさせてドアを開けた。彼は眉間にしわを寄せて言った。「また吐いたのか?前に処方した体にいい薬はもうやめて、新しい方を飲みなさい」
毎日啓太は私を騙している。私に飲ませているのはホルモン剤なのに、体にいい薬だと言い張るのだ。
かつては、本気で啓太との子供が欲しいと願っていた。だからどんなに苦い薬でも、希望を胸に笑顔で飲み込めたのに。
今思えば、なんて馬鹿だったんだろう。
私は無表情に顔を上げて啓太を見た。「私、もうすぐ死ぬんでしう?本当のことを教えて。あと、どれくらい生きられるの?」
いつも落ち着いている啓太の顔に、一瞬だけ動揺が走った。彼は急に私を抱きしめ、必死な声で言った。「馬鹿なこと言うな。お前はずっと俺のそばにいるんだぞ」
啓太の愛の言葉はいつも甘くて優しい。この2年、私が妊娠の話をするたびに、彼は「辛い思いをさせたくないから」といつも言っていた。
本当は、私がもう子供を産めない体だと知っていたくせに。それなのに、毎日私が苦くてまずい薬を飲むのを黙って見ていたんだ。
子供が生まれたら、三人で幸せに暮らす……そんな夢を見ながら。
でも、それでよかったのかもしれない。子供がいなければ、私たちの間にはもう何のしがらみもない。
これで、きれいさっぱり啓太のもとを去ることができる。
寝る前、啓太は何かに取り憑かれたように、しつこく私を求めてきた。そして二度と「死ぬ」なんて言うな、と命令した。
私は無感情にそれを受け入れた。全てが終わり、隣で啓太が寝息を立て始めると、私はベッドサイドに置かれていた彼のスマホを手に取り、バスルームへ向かった。
啓太のスマホのロック解除のパスワードは私の誕生日。だから、今まで彼のスマホを疑うことなんて一度もなかった。啓太はきっと、私のそういうところを利用していたんだろう。
ラインを開くと、啓太が智子を「みーちゃん」という名前で登録していることに気がついた。
みーちゃん。
それは、啓太がベッドで私を情熱的に抱きしめるときに、ささやく名前だった。
啓太が呼んでいたのは、初めから私じゃなかったんだ。彼はただ、私を智子の身代わりにして、自分を慰めていただけだった。
なんて、滑稽なんだろう。
震える指先で、二人のトーク履歴を開いた。
そこで初めて知った。
私がホルモン剤の副作用で毎日吐き気に苦しんでいたとき、啓太は智子のために慈善団体を立ち上げていた。善い行いをすれば徳が積まれ、智子がこの先も健康でいられると願って。
智子のために徳を積むっていうなら、彼らが私にしたこの仕打ちは、一体どうやって償うつもりなんだろう?
目から涙がこぼれ落ちた。私は唇を固く噛みしめ、一枚一枚、二人の会話をスクリーンショットしていく。心はもう、痛みで麻痺していた。
私はすぐに病院へ行き、精密検査を受けた。
医者は私の検査結果を見ながら、眉をひそめた。「一体、何回手術したんですか?腎臓が一つないし、子宮もない、肝臓にも損傷の跡がありますよ」
私は力なく笑った。「たくさん、もう覚えていません。この体で、あとどれくらい生きられますか?」
医者ははっきりとは言わず、ため息をついた。そして、あまり思いつめないで、心を穏やかに過ごすようにと私を諭した。
病院を出た私は、正式に離婚の話をするため、啓太の会社に向かった。
受付の秘書に止められたので、私は啓太の妻だと名乗った。
秘書は私を軽蔑したように言った。「三浦夫人になりたい人なんて掃いて捨てるほどいますよ。あなたみたいな人が奥様なわけないでしょう。
本物の奥様なら、今、上の階にいらっしゃいますから」
思わず胸が締め付けられたようだった。その場で啓太に電話をかけたけど、彼は一向に出なかった。
秘書の顔には、さらに露骨な嘲笑が浮かんでいた。
私はロビーで静かに待ち続けた。かなり遅い時間になって、エレベーターから啓太が智子を抱きかかえて出てくるのが見えた。
目が合った瞬間、啓太は少し気まずそうにした。「お前……どうしてここに?あ、いや、智子が足を捻挫しちゃってさ。妊婦さんだし、一人じゃ動けないから。
ちょっと手を貸してただけなんだ」
智子は啓太の腕に寄り添ったまま、穏やかに微笑んだ。「泉、うちの人が海外出張中でね。だから啓太をちょっとお借りしちゃった」
私の頭の中は、「妊婦」という言葉だけでいっぱいになった。
智子は、私の体から奪った子宮で、妊娠したんだ。
胸が鋭い棘でえぐられるような激痛に襲われ、息もできなくなった。「啓太、話があるの」
「話なら後だ。智子がお腹を空かせている。先にお母さんの家へ帰ってご飯にしよう」
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