
信号が青に変わっても、私は振り返らない
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『信号が青に変わっても、私は振り返らない』は日本語の小説です。当サイトで第1話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約386字
郡司千明(くんじ ちあき)が酔った夜、私は初めて彼の代わりに車を運転した。
運転席に座ると、車載ディスプレイにメッセージが表示された。
【おかえりなさい、奥様】
私は一瞬きょとんとして、思わず頬を緩めた。私に内緒で、登録名をこんなふうに変えていたんだ。
けれど次の瞬間、シートが自動で前に動き、ルームミラーが下を向いた。エアコンの設定温度は26度に切り替わり、スピーカーから小形咲実(おがた えみ)のいちばん好きな曲が流れ始める。
笑顔がゆっくりと消えた。
私はエアコンを26度にしないし、シートをこんなに前へ出すこともない。
シートのメモリー設定を開くと、登録されていた名前は3つだけだった。
【千明】
【奥様】
【チビちゃん】
指先が冷たくなった。最後の名前を選ぶと、シートがゆっくり後ろへ下がり、腰のサポートがせり上がった。
ぴったりだった。
――これが、私の位置だ。
翌日、私は千明に尋ねた。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み1話
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