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今度こそ、幸せな道を歩もう第1話

この話は約1533字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

生まれ変わった私は、心に固く誓った。

もう二度と、幼なじみの芹澤和也(せりざわ かずや)に執着しない。彼に縋りついて生きるのは、もうやめにすると。

だから――

彼の誕生日の日、会場の前に、私と犬が立ち入り禁止という看板が置かれ、私は潔くハワイへのチケットを取り、遠く離れようと決めた。

「お前の匂いがするだけで、吐き気がする」と吐き捨てられれば、黙って家を出た。

「卒業したら、同じ空気を吸うのも嫌だ」と言われれば、さっさと別の街に引っ越した。

「お前がいると、大切な彼女が誤解する」と言われたら、頷いて、数日後には新しい恋人との交際を公表した。

そう――今回は、私は前世の私とは正反対の道を歩くことにした。

なぜなら――

前世、私は和也と結婚したが、彼が愛している女が自殺した。

彼は私を犯人だと決めつけては日々責め立て、ついには私を自殺に追い込んだ。

だからこそ、今度は静かに生きようと決めた。

新しい恋人と手を繋ぎ、やっと自由になれたと思ったそのとき――

道の真ん中に立ちふさがる和也がいた。

赤く充血した目で、私を睨みつけながら叫ぶ。

「あゆみ、お前が戻ってきてくれるなら……今までの冗談も裏切りも、全部許してやるよ」

* * *

【藤原あゆみと犬、立入禁止】

その懐かしい看板を目にした瞬間、涙があふれた。

悲しさではない。うれし涙だった。

――藤原あゆみ(ふじはら あゆみ)。それは、私の名前。

今まさに「犬」と並べて侮辱されているのに、私は心底から嬉しかった。

なぜなら、私は――生き返ったのだ。

しかも、婚約者・芹澤和也(せりざわ かずや)の誕生日当日にタイムスリップした。

誰の目から見ても、私は和也に釣り合わない存在だった。

家柄も、容姿も、何もかもが天と地ほど違っていた。

彼は江北市・芹澤家の跡取り息子。私は親もいない孤児。

ただの子ども時代の冗談で交わされた婚約が、二十年以上も私たちを縛っていた。

みんなが和也に同情している。

もちろん、彼自身も。

だから彼は、私がパーティーに入れないよう、家の前にこの看板を立てたのだ。

「藤原、悪いけど今日は入れてやることはできない。これは和也さんが決めたことだ。

お前ならわかってくれるだろ?無理に入ったら、ますます立場が悪くなるだけさ」

玄関の前に立つのは和也の取り巻きたち。彼らは冷たい目で私を追い返そうとしている。

両脇には、電気警棒を持った警備員。

まるで、私が犯罪者であるかのような扱いだ。

それほどまでに、和也は私を忌み嫌っていた。

前の人生でも、私はこの宴に参加できなかった。

玄関先にしゃがみ込み、朝から晩まで、犬のようにひたすら待ち続けた。

結局寒さに凍え、高熱で倒れた。

和也の両親がこのことを聞くと、息子を叱り、結婚式を早めるよう強く勧めた。

そして結婚の日。

和也の初恋・伊藤菜々子(いとう ななこ)が崖から飛び降り、命を落とした。

それ以来、和也とその取り巻きたちは、私を「殺人犯」だと決めつけた。

彼は復讐の名のもとに、私を冷たく虐げ続け――

無視し、拒絶し、痛めつけた。

私は何度も離婚を願い出たが、すべて却下された。

「お前が死ぬまで俺は離婚なんかしない」と、彼が言った。

その言葉のとおり、私はただの物のように扱われ、二十年間朽ち果てるように生きた。

そして最後、心を壊し、海へと身を投げた。

けれど――その死の間際。

私は信じがたい光景を目にした。

菜々子が帰国し、堂々と和也と再会したのだ。

彼女は死んでいなかった。むしろ生き生きと輝き、世界的に有名なデザイナーにまでなっていた。

和也と彼女は人々の祝福を浴び、「ようやく結ばれた恋」として謳われた。

最初から最後まで――私だけが騙され、卑屈な思いをしていた。

だから、今度こそ、私は私の人生を取り戻す。

和也には近づかない。絶対に。

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