今世では手放すことを決めた第3話
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部屋に戻ると、悠斗に関する古い品々を集めて、火の中に投げ込んだ。
炎が熱風を巻き上げて襲ってきたが、私は全身が、刺すような冷たさの氷水に浸かっているような気分だった。
その後数日間、庭では工事の音がずっと鳴り響いていた。
悠斗がかつて私のために手植えした庭に敷き詰められた白百合の花が、全て掘り起こされ、清香の最も好きな赤い薔薇に植え替えられた。
一緒にピアノを弾きながら、夕日を見たガラスの温室が叩き壊され、清香が運動しやすいプールに改築された。
私たちが心を確かめ合った藤の花でできたアーチすら取り除かれ、清香の愛する蓮の花の池に作り直された。
蓮の種を植えた日、清香が庭で突然私を呼び止めた。
彼女は顎を高く上げて、わざと薬指の指輪を私に見せびらかした。
「悠斗が部屋でこの指輪のデザインが描かれた図を見つけて、一目で未来の花嫁のために準備したものだって分かったんですって。
それで何晩も徹夜して自分で作って、プロポーズしてくれたの」
彼女は指を揺らした。「この指輪、素敵でしょ?」
飛ぶ鳥と魚のデザインは、私がかつて最も愛したデザインだった。
私は頷いて、真摯な口調で言った。「とても素敵。あなたの手にぴったりね」
清香の表情が突然曇った。「でも私は気に入らないの」
「このデザインが誰のために準備されたものか、あなたも私も分かってる」
彼女は鋭い眼差しで私を見つめた。
「あなたはいつも悠斗に興味がないって言うけど、彼の過去のあなたへの想いは、時限爆弾みたいなものよ。私は安心できない」
「それで、どうしたいの?」私は尋ねた。
「私は……」
言葉が終わらないうちに、清香は突然身を翻し、整備したばかりの蓮池の汚水の中に真っ直ぐに飛び込んだ。
私は大きな力で横に突き飛ばされ、よろめいて地面に倒れた。
足首に鋭い痛みが走り、手のひらが整備の時に砕けた石に擦れて、ヒリヒリとした痛みが腕を伝って広がった。
起き上がる前に、悠斗が狂ったように水に飛び込むのが見えた。
悠斗が清香を抱き上げ岸に上がった時、二人とも泥水にまみれて、みすぼらしい姿だった。
だが悠斗は自分のことなど構わず、慌てて清香の顔の泥を拭い、声は焦りに満ちていた。
「清香!大丈夫か?喉に水が入ったか?目は痛くないか?怪我は?」
清香はしばらくしてようやく首を横に振り、上目遣いに悠斗を見上げ、涙を流した。
「私は大丈夫……ただ、あなたがくれた指輪を誰かに池の中に投げ込まれて、拾いに行って落ちただけ」
そう言って、手を伸ばすと、指輪はもう影も形もなかった。
「悠斗、深月家は私を全く歓迎してないわ」彼女はむせび泣いた。
「一緒にアパートに戻りましょう?そこなら誰も私をいじめない……」
その可憐な様子が、瞬時に悠斗の心を掴んだ。
彼の目が冷たくなる。「誰が君の指輪を捨てた?いじめたって誰の事だ」
清香は唇を引き結んで何も言わず、ただ怯えたように私を一瞥した。その眼差しの恐怖と委縮が、暗示を明白にしていた。
私は腫れた足首を押さえ、信じられないという様子で口を開いた。
「私じゃない……」
悠斗は私に冷たい一瞥を投げかけた。その視線は氷のようで、全身が凍りつくようだった。
「私に指輪を奪う必要なんてないでしょ……」私は嗄れた声で説明した。
「自分の胸に手を当ててから考えるんだな」
悠斗はこの言葉を残すと、清香を抱き上げ、ボディガードに目配せした。
「蛍に水に入って探させろ」
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