人獣の結婚と転生の姫第2話
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父は私の選択に不満を覚えたようだったが、私の決意を悟ると、それ以上は何も言わなかった。
ただ深く溜息をつき、慰めるように口を開いた。
「蛇族へ嫁いで、もし辛いことがあったら、容瑶に助けてもらうといい」
だが白容瑶は、私が蛇族を選んだと知るや否や、堪えきれずに嘲笑した。
「お姉様、いくら墨景様を逃したからって、衰退した蛇族を選ぶなんて馬鹿げてるわ。
子供を産む前に飢え死にでもしたらどうするの?今の蛇族なんて食うに困ってるって聞いたわよ。
狼族はとてつもない財力があるから、お風呂の水だって貴重な薬湯で作られているの。
お姉様の生活があまりに苦しかったら、残り物を少し分けてあげてもいいよ」
言い終えるや、下僕たちの視線も顧みず、口元を押さえて高らかに笑った。
白容瑶は狼族の豊かな資源と、墨景の一途さに盲信しているのだろう。だから自分はすぐにでも子を授かれると思い込んでいる。
だが、彼女は知らない。人と獣の間に子供を授かるのは元々困難なことであり、墨景は子孫に対し並々ならぬ執着を持っていたことを。
半年経っても妊娠の兆候が見えなかった時、墨景は子供ができない怒りを私にぶつけ始め、昼夜を問わず私を苦しめた。
私が秘法を使って妊娠し、天澤を産み、狼族が支配者の地位を手に入れるまで、墨景は私を解放しなかった。
私は静かに微笑んだ。
「私のことは心配せずともいいわ。自ら選んだ夫ならば、悔いることはないでしょう?」
「貧乏者を選んで、なにを得意げになってるのよ!」
私がまるで動じぬことに、白容瑶は苛立ち、卓上の菓子をひっくり返した。
「次の支配者を産むのはこの私!必ず一番に子を授かってみせる!」
私はその狂態を相手にする気もなく、三日後の婚儀に向けて準備を始めた。
白容瑶の言うことで一つだけ正しいことがあった。蛇族は確かにとても貧しかった。
彼らが婚儀の衣装代さえ出せないのではないかと心配した私は、自分で前もって用意することにした。
だが、その夜、時野が自ら家を訪れ、私に花嫁衣裳を届けてくれた。
その時、私は初めて時野の顔をじっくりと見た。
血の気を失ったように白い肌、切れ長の目には威厳が漂い、深緑の瞳は底知れぬ深さを秘めている。
しかし目尻にある小さな泣きぼくろが、その冷たい美貌に微かな艶を添えていた。
箱を開けると、深い緑色の床に裾を引きずる薄布の衣装が入っていた。胸元には、幽かに光を放つ蛇の鱗が飾られていた。
こんなにも美しい衣装を見たことがなかった私は、思わず見惚れてしまった。
「白様、これは我ら蛇族の職人が心を込めて仕立てた服です。上に飾られた鱗は、我々一族が捧げた祝福でございます」
時野の声は淡々としており、まるで花嫁となるのが私ではないかのように距離を置いた響きを帯びていた。
「人と蛇族の婚姻はこれが初めてです。至らぬところがあれば、遠慮なく仰ってください」
「ありがとう、とても気に入りました」
私が衣装を片付けようとした時、白容瑶が墨景の腕に絡みつきながら得意げに入ってきた。
「お姉様、まさかその一着だけじゃないでしょうね?墨景様は私に十着も用意してくれたのよ」
墨景の眼差しは愛情に満ちて彼女を見つめている。
白容瑶はただ狼族が一途で情が深いことしか知らない。
しかし、その一途さは生物としての本能に由来するものであり、故に子孫を残すことにも強い執着を持つことを知らなかった。
もしずっと子供が生まれなければ、墨景は白容瑶をこんなにも寵愛するだろうか?
時野は蛇模様の杖を握る手を止め、私を真っ直ぐに見据え、厳かに言った。
「蛇族との結婚は本当にご不本意でしょうが、誓います。この時野は一生、必ずや白若様を裏切りません」
白容瑶は鼻で笑った。
「口先だけなら誰だって言えるわ。結局は子を産めるかどうかでしょ?」
彼女の言葉は「子を産むこと」に執着し続けていた。前世で不妊の烙印を押されたことが、今もなお心に刺さっているのだろう。
だからこそ、結婚もしていないうちから墨景の屋敷に転がり込み、妊娠に躍起になっているのだ。
「容瑶、自分の結婚に心を砕きなさい。さもなければ、私の婚約者にまで目をつけていると誤解されるわよ」
私は微笑を浮かべ、時野の手を取ってその場を後にした。
背後からは白容瑶が墨景に甘える声が聞こえ、耳の端に「妊娠」「子供」という言葉が何度も刺さった。
――愚かな妹よ。せっかく人生をやり直しても、頭の中は相変わらず「母は子によって貴ばれる」という狭い観念のままなのだ。
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