和紙文二度目の人生、裏切りヒモ男の援助をやめた · 第3話設定≡

二度目の人生、裏切りヒモ男の援助をやめた第3話

この話は約1821字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

竜也は、私が飛び降りようとした動画をすべて撮影し、それをネット上に投稿して、こんな文章を添えた。

【独占欲が爆発する彼女を持つと、どうなるか?ただ病気の友達の看病に行くだけなのに、彼女は死ぬと脅して引き止めようとするんだ!】

この動画は拡散され、たちまちネット上は炎上騒ぎになった。

【別れろ、絶対別れた方がいい!こんな粘着質な女が彼女とか、怖すぎるだろ!】

【看病に行くだけで飛び降りるなんて、かまちょすぎて理解できない。画面越しでも窒息しそうになったわ!】

少しして、竜也はすぐさまそのコメント欄で一番高評価を得ていた書き込みに返信した。

【みなさんの言う通り、もうあの女とは別れた。今は新しい彼女を病院から連れ帰っているところだ】

添付された写真には、竜也と篠のツーショットがあった。二人の頬にはハートの半分ずつが描かれ、ぴったりと寄り添っていた。

フォロワーたちは【おめでとうございます】と祝福の言葉を連ねた。

私はそれを見て、滑稽で笑いがこみ上げた。

写真の中の篠は、血色も良く、どこからどう見ても元気そうだ。

病気なんかじゃない。これは私と竜也の結婚式を台無しにするために、篠が考えた常套手段だ。

病気のフリなんて何度も繰り返しているのに、竜也は一度も疑うことなく、逆に私の方を心が汚れている、篠を悪く思っていると責めるのだ。

以前の私はそれで悔し泣きをしていたけれど、今はもう分かった。竜也は見抜けないのではなく、確信犯で篠を贔屓しているのだと。

今回竜也が自ら私をネットで炎上させ、コメント欄に篠との交際公表の写真を貼ったのも、私が昔のように問い詰めるのを待ち、彼がそれを上から目線で論破し、その流れで自分に都合よく喧嘩を収めようという意図だろう。

でも今回は、竜也のくだらない芝居なんて無視することにした。彼からの通知を全てオフにし、両親に電話をかけた。

二人にとってみれば、私は一昨日大喧嘩をしたばかりだ。

でも、私にとってはもう何10年も会っていなかったのだ。

「お父さん、お母さん。もう迷いは吹っ切れたよ。あの政略結婚の話、受けることにするわ」

私の言葉に、受話器の向こうの両親は明らかに絶句していた。

それもそうだ。昨日まで縁を切るとまで言って、家出をしてまで竜也との結婚を貫こうとしていたんだから。

父の中島慎吾(なかじま しんご)は私のただならぬ気配を感じ取ったのか、慌てて聞き返してきた。

「玲奈、一体何があったんだ?」

私が答えるより先に、母の中島恵(なかじま めぐみ)が声を上げた。スマホを奪い取るようにし、声には恐怖の色が混ざっている。

「玲奈!ネットのニュース見たわよ!谷口さんのせいで、飛び降りそうになったの!?

どうしてそんな馬鹿なことするの?男一人のために人生を投げ出そうとするなんて。

幸い何事もなく済んだけど、玲奈、私とお父さんがどれだけ心配したと思ってるの!」

前世で、私が亡くなったあとに一日で白髪になり、さらに竜也に酸素マスクを外され、死にきれずに無念の中で逝った両親のことを思うと、鼻の奥がツンとして、罪悪感でいっぱいになった。

今まで散々二人を困らせてきた。でももう二度とそんなことはしない。

親孝行をして、これからは二人を安心させて生きていきたい。

「お父さん、お母さん。ごめんなさい。私が浅はかだったの。

でも、もう目が覚めて、竜也とは別れた。二人が言った通りね。身分違いの恋なんて長く続くはずがないわ。

だから、政略結婚を受け入れる。二人が決めた相手と結婚するわ」

今回は、燃え上がるような愛情なんて必要ない。夫婦として互いに尊重し合い、穏やかな人生を送ることができれば、それだけで十分だ。

電話を切ると、すでに夜も遅い時間になっていた。

私は恋愛で荒れ果てた自分の仕事を必死に立て直していて、気がついたら寝過ごしてしまった。

慌てて会社へ向かう。今日は200億のプロジェクトが動く、大事な日なのだ。

会社に駆け込むと、秘書の鈴木美月(すずき みつき)から報告を受けた。顧客はすでに会議室で、竜也のチームから案件の説明を受けているという。

嫌な予感が頭をよぎった。うっかりしていた、竜也は私の秘書同様で、篠はこのプロジェクトの名目上の企画担当者だ。

会議室の扉を勢いよく開けると、竜也が契約書を顧客に投げつけ、声を荒らげていた。

「篠が病気の体で徹夜して仕上げた企画書に、何故ケチをつけるんですか?せっかく汗水垂らして作ったものを無駄にするつもりですか?」

縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)

第4話は公式アプリで

当サイトでの試し読みはここまでです。アプリをインストールし、下のアプリ用コードを入力すると、この作品の第4話からそのまま読み進められます。

R33622
  1. 下のボタンから公式アプリをインストールします(無料)。
  2. アプリを開き、「コードを入力」にこのコードを入れると、この作品が本棚に入ります。
iPhone・iPad
で入手
Android
で入手

アプリで第4話を読む

作品ページへ戻る 当サイトに掲載しているのは試し読みの章だけです。