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二人の愛は、もう遠い過去になった第2話

この話は約1897字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

【花火だけじゃないよ。ドローンで描いた銀河に、街中の大型ビジョンを使った告白、空を埋め尽くすバラの花びら、それに最高級の10カラットダイヤモンド】

【半月後の結婚式では、どんなサプライズが待ってるんだろう。今から楽しみすぎる!】

けれど、心変わりした男に何を期待するというのだろう。

家に帰ると、珍しく恭平がいた。

私を見るなり、待ちかねていたようについてきた。

「詩乃、珍しいものを手に入れたんだ」

手品でもするように、彼の手のひらにルビーのペンダントが現れた。

深紅の輝きは美しかったが、石の端に黒い内包物が筋のように走っているのが惜しかった。

私が眉をひそめると、恭平は慌てて説明した。

「詩乃、これはめったに採れない天然のルビーなんだ。この黒い筋も、石の個性を生かすために、あえて残したらしい。『どんな闇の中でも消えない、永遠の愛』を表してるんだって」

彼はどこまでも優しく、まるで私しか目に入っていないように見えた。

けれど、襟元についた口紅の跡だけが、ひどく目についた。

私は喜んだふりをして、ペンダントを受け取った。

恭平はすぐに謝り、会社で用事ができたから、もう一度出かけなければならないと言った。それでも夕食までには帰るつもりらしい。

私はそっけなく「分かった」と答えた。

ところが、彼が出ていってから30分もたたないうちに、秘書の彩香がSNSに別のルビーのペンダントを投稿した。

美しいカットが施された上質な品で、石には黒い内包物ひとつなく、鮮やかな深紅の輝きを放っていた。

そこには、こんな文章が添えられていた。

【もともとは二つあったんだけど、もう一つは質がよくないからって、こっちを選んでくれたの。身につけるなら、少しでもいいものじゃないとね。今はもう、私一人の体じゃないから】

頭を殴られたような衝撃を受け、しばらく何も考えられなかった。

二人の間には、すでに子どもまでいたのだ。

恭平にとって私は、彩香がいらないと判断したものを与えておけばいい存在だったらしい。

ぼんやりしていて足首をひねった拍子に、恭平から初めて贈られたハイヒールのヒールが折れた。

しばらくして、私は涙を拭い、その靴を捨てた。

そして、半月後にC国へ向かう航空券を予約した。

……

深夜、恭平からメッセージが届いた。

仕事で深刻な問題が起きたため、今夜は帰れないという。

けれど本当は、ずっと彩香のそばにいるのだと分かっていた。

私はスマホを開き、自分名義で登録していたサービスを一つずつ解約した。

恭平から贈られた宝石類もすべてまとめ、オークション会社に連絡した。

電話を切った直後、彩香からDMが届いた。

【あなたたちが結婚していても、彼が大切にしているのは私とこの子よ】

送られてきた動画には、つわりで青ざめた彩香と、まだ膨らんでもいない彼女のお腹に親しげに耳を当てる恭平が映っていた。

「いい子だから、ママを困らせるなよ。生まれてきたら、パパがお仕置きするぞ」

彩香はおかしそうに彼を見た。

「まだこんなに小さいのに、分かるわけないでしょ?」

恭平は彩香を抱き寄せた。

「俺の子なんだから、当然分かる。大変だったな」

彩香は「大したことない」と言いながらも、目に涙を浮かべた。

「こんなにいい子なのに、私と一緒に隠されたまま、何の立場も与えてもらえないのね」

恭平の顔が曇った。

「子どもは当然、城戸家の子として引き取る。いい子にして、俺の言うことを聞いていれば、詩乃が持っているものは、お前にも同じように与える。逆らったらどうなるか、分かってるな」

私は心の中で冷笑した。

ほかの女との間に子どもまでつくっておきながら、今さら何が一途な愛だ。

動画を閉じると、ふつふつと怒りが込み上げてきた。

悪いのは彼女のほうなのに、どうしてあれほど堂々としていられるのだろう。

私はすぐに言い返した。

【あなたが産んだ子だって、いずれ私を母親と呼ぶことになるのに、何がそんなに嬉しいの?】

彩香は腹を立てたのか、しばらく返事をしなかった。

ところが少しすると、通知が鳴りやまないほど次々とメッセージが届き、二人の親密な姿を収めた大量の写真や動画が送られてきた。

車内、オフィス、部屋、芝生の上、さらには私たちの寝室で撮られたものまであった。

あまりの気持ち悪さに、私はその場で吐いた。

そのまま自分の荷物をゲストルームへ移した。

翌日、恭平から城戸家の食事会に来るよう連絡があった。

自分は仕事で忙しいため、夜になったら一人で本邸へ来てほしいという。

約束より1時間早く車で本邸に着くと、恭平が彩香を支えながら車から降ろしているところだった。

私に気づくなり、彼は慌てて手を離し、こちらへ歩み寄って説明した。

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