両親に手術台へ縛りつけられ、弟に腎臓を提供させられた第3話
この話は約2005字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
両親が寝食を忘れて世話を焼いたおかげで、手術が成功した強はすぐに退院した。
退院の日、両親は口が開きっぱなしになるほど嬉しそうに忙しく動き回り、帽子を被せ、服を整え、些細なことでも手を抜かない。
家に連れて帰られた後、僕はふと意識が遠くなるのを感じた。
昔、両親は「兄なんだから弟を助けてやれ」と言って、強がまだ高校を出ていない頃に、僕の全財産をはたいてこの家を買い、彼に贈るよう強要した。
リフォーム代も、後のローンも全部僕持ちだった。
僕は馬鹿みたいに承知してしまい、家は僕が買ったのに、住む機会は指で数えるほどしかなかった。
鍵ひとつだって渡されなかった。
死ぬ直前まで、僕は安いアパートに住んでいて、だから陽奈との結婚も進まなかったのだ。
僕自分の金で買ったソファに、両親と弟は涼しい顔で座っている。
支払いをしたのが誰なのか、誰も思い出さない。
テーブルの上のサクランボは、僕が果物屋の前を通っても手が出せなかった代物だ。彼らはそれを当たり前のようにおいしそうに頬張っている。
一瞬にして現実が歪む。これが、貧乏だと泣いて、毎月給料の半分以上を家に送れと頼んでいた両親なのか。
外で節約しろと小言を言いながら、僕の金で自分たちの望む生活をしている。
胸の内が冷たくなり、言葉が出ない。
強は母が差し出す果物を口に放り込みながら、心配そうに言った。
「父さん、兄さんが退院したら、家に来て騒ぎを起こしたりしないかな。近所に見られたら格好悪いよ」
服を片付けていた父はこれを聞き、ポケットの中の物を乱暴に取り出してテーブルに投げつけた。眉をひそめて言った。
「あいつに何の面目があって騒ぐっていうんだ。お前が手術台でどれだけ待たされたと思ってる。責任を追及しないで済んだだけでも十分だ。怒る権利ぐらいあるだろう。
強、安心しろ。一盛が帰ってきたら跪かせて謝らせてやる」
「いつも病気を装って同情を買ってるだけだ。そんなの聞き飽きたよ」
彼らの僕への批判を聞きながら、滑稽でさえある気分になった。
僕が病を装うって?家族のために少しでも多く給料を稼ぐために、定時で帰ったことなんてほとんどなかった。
毎日残業し、首も腰も壊れるほど働いたのは全部、彼らのためだ。
結局、良いことなど一つもなく、非難ばかりを浴びせられた。
腹が立って、かえって笑いが込み上げてきた。彼らの目には、僕はそういう人間だったのか。
さらに数言、僕への不満を述べた後、すぐに食事が用意された。湯気の立つ豪勢な食卓を見ても、僕の心はただ冷たく沈んだ。
僕が家にいる時は、家事はすべて僕一人で請け負っていた。両親は「自分たちは年を取っているし、弟は料理ができないから」と、この役割を当然のように兄である僕に押し付けたのだ。
まさか、両親は料理ができないのではなく、僕に作ってくれなかっただけだったとは。
強が座るやいなや、両親は彼の皿に次々と大皿から山盛りの料理をよそっていく。
空だった器に、ほんの数秒で山のように盛られた。両親は更に念を押した。
「強、たくさん食べなさい。大病の後は栄養をつけないと」
強は申し訳なさそうな顔をしつつも箸を止めない。少しためらいながら言った。
「父さん母さん、こんな高いものを買ってくれなくても……お金、ないんじゃないの?」
この言葉を言う時、その目には計算高い光が一瞬走った。案の定、また両親の財布を当てにしているらしい。
父は箸を置き、嘲るように笑って言った。
「大丈夫だ。お前の分は、一盛にもっと残業させれば何とかなる。どうせたいしたことじゃない。
お前の兄さん、前にうちに何十万円貯めてあるって言ってただろ?あれも全部お前のためになるって思えばいい」
その言葉を聞いて、僕の中で波が押し寄せた。まさか両親が、僕の最後の蓄えまでも吸い尽くすつもりなのか。血を吸い尽くすまで満足しないのか。
強は何十万円という言葉を聞くと、急に媚びた笑顔を浮かべて頼んだ。
「父さん、母さん、最近手持ちがちょっと厳しいんだ。先にお金貸してくれない?」
母はそれを聞くと、迷わず携帯を取り出して僕の番号を押した。
「強、何てことを言うの!兄さんの金はあなたの金じゃないの?必要なら今すぐ、彼に銀行カードを届けさせよう。返さなくても構わないわ!」
だが僕はもう何日も前に死んでいるので、当然電話は繋がらない。何度も鳴らしては無情な不在音。
母の顔色が急に変わった。電話に向かって激しく罵った。
「恩知らず!電話も出ないのか。たかが腎臓一つでそこまでやる必要があるのか?親の恩を忘れたのか?!」
僕がまだ電話に出ないのを見て、母は連絡先リストをさっとスクロールし、ようやく陽奈の番号を見つけた。電話がつながった瞬間、母はすぐにイライラした口調で声を張り上げた。
「もしもし!あんた……!一盛をあんたのところに隠してるでしょ?一盛に言って!もしこれ以上電話に出ないなら、私たちはもうあんたを息子とは認めないって!」
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