両親に手術台へ縛りつけられ、弟に腎臓を提供させられた第1話
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弟の腎臓がんが末期になると、両親は僕に腎臓を提供しろと言った。
僕は言った、「僕にはもう腎臓が一つしかない。移植したら死ぬ」と。
しかし、両親は信じず、僕をそのまま手術台に縛りつけた。
「たかが腎臓一つじゃないか。どうしてそんなに意地悪なんだ?」
彼らは知らなかった。僕は嘘なんてついていなかった。
あの時、父さんが交通事故に遭ったとき、僕はすでに片方の腎臓を差し出していたのだ……
* * *
弟の腎臓がんが末期になると、両親は僕に腎臓を提供しろと言った。
僕は言った、「僕にはもう腎臓が一つしかない。移植したら死ぬ」と。
しかし、両親は信じず、僕をそのまま手術台に縛りつけた。
「たかが腎臓一つじゃないか。どうしてそんなに意地悪なんだ?」
彼らは知らなかった。僕は嘘なんてついていなかった。
あの時、父さんが交通事故に遭ったとき、僕はすでに片方の腎臓を差し出していたのだ。
僕は死んだ。実の両親の手によって。
……
目を開けたとき、僕はすでに手術室の外にいた。
父と母は落ち着かずに行ったり来たりし、「手術中」と灯る赤いランプを何度も見上げていた。
病室の扉が開いた瞬間、二人は勢いよく駆け寄った。
「先生、うちの息子はどうなりましたか!」
「ご安心ください。手術は無事に終わりました。腎臓の拒絶反応も見られません。容体は安定しています」
見知らぬ医師の顔を見たとき、僕はようやく悟った。
両親が待っていたのは僕ではなかったのだ。
苦笑がこぼれる。そうだ……物心ついたときから、彼らが僕を気にかけたことなんて一度もなかった。
僕はいつだって、いらないほうの子だった。
病室の奥から、弟の佐々木強(ささき つよし)がゆっくりとベッドに乗せられて出てきた。
両親は涙を流しながら彼のそばに駆け寄った。
「強、気分はどうだ?どこか痛くないか?」
強は弱々しく首を振りながら言った。
「父さん母さん、だいぶ楽になったよ。でも兄さんは……兄さんは大丈夫?僕のせいで怒ってないかな……」
その言葉を聞いた瞬間、両親の嬉しそうだった表情が一瞬で曇り、不満そうに言った。
「その話はもうやめて!たかが腎臓一つじゃない。あの子は自分の弟に一つ分けてあげることすら嫌がって!」
「お前が死にかけてるっていうのに、言い訳ばかりして嘘までついて拒むとは!」
「どうしてあんな冷たい子が生まれてきたんだか!もうあんな奴、うちの子じゃない!」
彼らの罵声を聞きながら、僕の止まった心臓が再び裂けるように痛んだ。
長年、僕がこの家に何を尽くそうと、彼らにとっては当然のことだった。
そうでなければ「親不孝者」の烙印を押される。
僕の体は震え、唇がわなないた。けれど、言葉は何ひとつ出てこなかった。
強はこれらの言葉を聞くと、やはりにっこりと笑い、すぐにまた心配そうな表情に戻って言った。
「僕の手術のために兄さんを縛りつけたなんて……兄さん、怒ってないかな……」
母は鼻で笑って言い捨てた。
「怒る?ふざけないで。あの子の食費も学費も全部、私たちが出してきたのよ。たかが腎臓ひとつで、恩返しもならないのよ!」
母の言葉に込められた、隠しようのない悪意と嫌悪を聞きながら、僕の意識は強が手術を受ける一時間前に引き戻された。
両親は「弟のお見舞いに行く」と言って僕を病院へ連れてきた。だが病室に入った途端、彼らの顔が変わった。
「準備しなさい。あんたの腎臓が強と適合したの。すぐに手術するわ」
この言葉がまさか実の親の口から出るとは思わなかった。僕は震えながら必死に拒んだ。
「いやだ!僕にはもう腎臓が一つしかないんだ!やったら死ぬ!」
次の瞬間、父が背後から僕の頭を殴りつけ、気絶させ、ロープで手術室に縛り付けた。
意識が遠のく中、冷たい声が聞こえた。
「たかが腎臓一つだろう?お前、そこまで身勝手にならないでくれ。
強はお前の弟だぞ。血のつながった弟を見捨てるのか?
拒むとわかってた。だからこそ準備しておいたんだ。本当にわがままな奴だ!こんな子に育てた覚えはない!」
僕は聞きたかった。弟が彼らの子なら、僕は違うというのか?
親子の情が大事だというなら、どうして僕にはその情がない?
しかし、まぶたはどんどん重くなり、体は動かなくなった。意識が完全に闇に沈むまで、僕はただ無力に流されていくしかなかった。
――そして再び目を覚ましたとき、僕はもう、この世のものではなかった。彷徨う魂となり、冷たい廊下の隅に立っていたのだ。
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