プログラムされた恋第1話
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8年間、私は長瀬深のそばにいた。この日、彼が私とシステムのやり取りを見てしまった。
冗談めかして、「私はあなたを落とすために来たのよ」と言った。
それ以来、彼は家に帰らなくなり、かつての優しい彼氏の面影は全くなくなってしまった。
彼は私を自分のそばに置いておきながら、仲間たちに私を侮辱させ、他の女と仲睦まじくする様子を無理やり見せつけた。
でも、彼を落とすというのは嘘だった。
私の本当の任務はもう終わっていて、そろそろ潮時なのだ。
* * *
この世界の時間で言うと、私はもう8年も長瀬深と一緒にいる。
今日、私の誕生日なのに、もう夜8時だというのに長瀬深はまだ帰ってこない。
彼の姿を見つけたのは、皮肉にもインスタだった。女を両脇に抱え、いかにも楽しそうな顔をしていた。
真相は分かっていても、私は長瀬深にメッセージを送って、帰って来るのかどうか聞いてみた。
長瀬深はすぐに返信してきた。
ビデオ通話で、長瀬深はカメラの角度を調整して、部屋にいる全員の顔が映るようにした。
薄着の女たちに混じって、にやにやと下卑た笑いを浮かべる男たち。その光景を、私は画面越しに見ていた。
長瀬深はまたカメラを自分に向け、軽薄な口調で「キスして」と言った。
すぐに二人の女がカメラに近寄り、長瀬深の両頬にキスをした。
女たちはわざわざ私に、「お姉さん、私たちが社長と一緒だから、心配しないで!」と声をかけてきた。
長瀬深は満足げに笑った。
わざわざ動画を送ってきて、不愉快な気分にさせるなんて、私には何も言えなかった。
半年前までは誰からも理想の恋人だった長瀬深だが、今では彼の友人たちが私を見る目に憐れみしか感じられない。
......
長瀬深はこの物語の社長である主人公。彼がヒロインと出会う前に財産を築き上げるのが私の任務だ。
私が長瀬深と出会った頃は、彼は奨学金で生活する貧しい大学生だった。
長瀬深の育った環境が彼に与えた影響は、貧困だけでなく、性格の奥底にある劣等感と頑固さもあった。
当時の6畳ワンルームで、私はいつか長瀬深が腹黒く、偏執的な社長になるだろうと予感していた。
長瀬深が私に惹かれたのは、とても突然だった。
関係を維持して、任務をスムーズに進めるために、私は長瀬深の恋人になった。
先月、私とシステムのやり取りを長瀬深に見られてしまい、本当の任務がバレるのが怖くて、彼を落とすのが任務だと嘘をついた。
それから、長瀬深の私への態度は180度変わってしまった。
どんな女でも家に連れ込み、私の前でわざと親密な仕草をするようになった。
辛くないなんて嘘だ。8年も一緒にいれば、石ころでも情が移るものだ。
8年間の気持ちが、どうしてこんなにもあっさり変わってしまうのか、私には理解できない。
たとえ私が彼の気持ちを裏切ったと思っても、これほどまでに彼の仕事に尽くしてきた私と、もっと穏便に別れるべきだった。
それなのに、わざわざ女を連れてきて、私を不快にさせ、恥をかかせようとするのだ。
任務において、情に流されることが一番いけないと、改めて思い知らされた。
幸い、本当の任務を彼には話していなかった。そうでなければ、無事にここを離れられるかどうかも分からなかった。
長瀬深から送られてきた動画を見て、私はショックを受け、ためらいながら言った。
「今日、私の誕生日なんだけど......」
長瀬深は「誕生日だからどうだっていうんだ」と返してきた。
私は自嘲気味に笑った。彼が変わってくれるなんて、期待を抱いていた自分が馬鹿らしい。
私はスマホの電源を切り、テーブルに並んだ手料理に箸をつけた。
少し食べ始めたところで、また長瀬深からメッセージが届いた。「酒飲んだから運転できない。迎えに来てくれ」
あの部屋にいる女たちに会いたくはなかったけれど、彼の友人たちはろくな奴らじゃないから、何かあったら大変だと思った。
確か長瀬深は最近、あるプロジェクトを進めていたはずだ。彼がそれを成功させれば、私の任務も完了する。
もう少しの辛抱だ。長瀬深も、私がいなくなるのを待っているだろう。
......
個室のドアを開けると、煙がもうもうと立ち込めていて、まるで仙人の修行場のようだった。
私が姿を現すと、すぐに誰かが「二ノ宮さん!」と叫んだ。
そして、意味ありげな笑いが聞こえてきた。
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