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ピンク狂いの夫に、最高の「破滅」を第2話

この話は約1978字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

女はSNSでこれ見よがしに戦果をひけらかしていた。

添えられた言葉はどれも、見るに堪えないものだった。

【ワンちゃん調教マニュアル】

【今日のワンちゃん、ちょっと悪い子かも】

【みんな、今日はワンちゃんとお散歩してきたよ。みんなも行った?】

過去の投稿を遡る指先が摩擦で熱くなるほどだった。全身が業火に焼かれるようで、私は立っていることさえ辛かった。

信じられなかった。十数年もの間、私の前では禁欲的なほど真面目だった達也に、こんな倒錯した趣味があったなんて。

以前、達也と一緒にネットでこの手の連中を見かけた時のことを思い出した。あの時、彼は露骨に顔をしかめて、「うわ、頭おかしいんじゃないか」と吐き捨てていたはずだ。

しかし、一ヶ月前の投稿まで遡ると、彼女は有頂天でこう書き込んでいた。

【ずーっと狙ってた高嶺の花のクールな年上の彼がついに私のワンちゃんになってくれるって!みんな、これ夢じゃないよね?!】

脳裏に、あの日の記憶がフラッシュバックした。

あの日の達也は異様なほど興奮していた。長年の結婚生活で、夜の営みなど事務的になりがちだった彼が、その日に限って能動的で、まるで何かに浮かれるように私を貪り、激しく求めてきた。

出張帰りだったから、久しぶりの再会で燃え上がっているのだとばかり思っていた。

今ようやく理由が分かった。あの日が、彼が「人間」として振る舞った最後の日だったのだ。

ピンク色のアイコンはまだ通知を飛ばし続けていた。二人の会話内容は、反吐が出るほど甘ったるかった。

トイレから物音が聞こえ、私は咄嗟にパソコンを閉じてベッドに倒れ込んだ。

達也が戻り、隣に横たわった。一言も発さない寝室の静寂が耳に痛く、眠気など微塵も訪れなかった。

脳裏に、彼と共に歩んできた日々の記憶がまるで走馬灯のように駆け巡り始めた。

私と達也は互いに長く過酷な不遇の時代を経て出会った。私たちは手を取り合い、互いの人生の全ての節目を見届けてきた。

私は彼に寄り添い続けた。無一文から、今や億単位の資産を持つ成功者になるまで。 そして、何でも語り合える唯一無二のパートナーから、同床異夢の他人になるまで。

十八歳の時、達也は熱烈な眼差しで片膝をついた。

「杏奈、俺と結婚してくれ。俺の人生には君しかいない」

今、三十四歳になった彼は背を向け、スマホの微かな光が天井を、そして私の目に溜まった涙を照らしていた。

どうしても分からない。なぜ達也は突然こうなってしまったのか?

彼が隠すのが上手すぎたのか、それとも私が彼を本当の意味で理解していなかったのか?

外でキスするのも躊躇い、手を繋ぐだけで顔を赤くしていたあの男は私の記憶の中で死んでしまったようだ。

一睡もできずに朝を迎え、達也が出勤した後、私は起き上がった。

スマホにはアシスタントから調査資料が届いていた。

そこに写る女の若い顔を何度も見返し、見間違いではないことを確認した。

この女はかつて私と達也が共に学費を支援していた少女――佐々木愛梨(ささき あいか)だった。

七年前、十三歳だった彼女に、私と達也は会いに行ったことがあった。

彼女は私の手を握り、こっそりとこう言った。「お姉ちゃん、お兄ちゃん、本当にありがとう。二人とも私の父と母みたい」

今、二十歳になった彼女はもう栄養失調の少女ではない。艶やかで、あざといほどの女になっていた。

あんな環境に身を置く愛梨が、悪い男に狙われたりしないかと、私はずっと案じていた。

それに「もし誰かに虐められたら、すぐに私に言うのよ」と口酸っぱく言い聞かせてさえいた。

それなのに、まさかその悪い男が毎晩私の隣で寝息を立てていたなんて!

二人がいつ、どうやって一線を越えたのか。私は記憶をまさぐり始めた。達也が愛梨に手を出したその時、彼女はいったい何歳だった?

考えれば考えるほど、胃の腑が裏返りそうだ。

たまらずゴミ箱を抱えて激しく嘔吐した。

胃液を吐き尽くしてリビングに行くと、テーブルの上にはピンク色のマグカップが置かれ、中には達也が温めた牛乳が入っていた。

私は乳糖不耐症だ。なのに、愛梨はSNSでこう言及していた。【ワンちゃんのミルクは一滴残らず、全部私のもの】

また吐いた。

牛乳を床に払い落とした。ガラスの砕ける音も私の心を鎮めることはできなかった。

手当たり次第にピンク色の物を叩き割った後、ようやく理性が戻ってきた。ボロボロになったピンク色のソファに座り、アシスタントに電話をかけた。

「離婚協議書を作成して。大至急」

アシスタントは私の声が枯れていることに気づき、気遣わしげに言った。

「社長、大丈夫ですか?」

最も信頼していた二人に背中から刺された。大丈夫なわけがない。

だが、感傷に浸っている時間はなかった。

「最高の敏腕弁護士と私立探偵を手配して」

アシスタントの声が引き締まった。

「承知いたしました。決して失望させません!」

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