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ニップレスを女友達に渡した婚約者第3話

この話は約1852字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

私は涙を拭き、用意していた招待状を破り捨てた。それから式場に電話をかけた。

「結婚披露宴をキャンセルしたいのですが」

……

ところが、蒼佑は間もなく沈んだ顔で戻ってきた。ソファに崩れるように座り、そのまま黙り込んだ。

不思議に思って尋ねた。

「バスケに行ったんじゃなかったの?」

彼は苛立たしげにクッションを投げた。

「聞きたいことがあるなら、はっきり聞けよ。遠回しに探るのはやめろ。俺が来ると知った途端、夏希は帰ったよ。これで満足か?」

突然怒鳴られ、私は言葉を失った。

自分でも思いがけず声を荒らげたのか、蒼佑は気まずそうに髪をかき上げた。

「悪かった、美緒。ちょっと取り乱しただけだ。お前に八つ当たりするつもりはなかった。ただ、あいつとの関係がこんなことになって、まだ気持ちの整理がついてなくて」

私はそれ以上何も言わず、ゲストルームへ向かった。

「好きなだけ引きずってれば。私はもう寝るから」

リビングの明かりは消えず、蒼佑は夜中まで座り続けていた。

右下腹部を鋭い痛みが貫き、私は目を覚ました。

冷や汗を流しながら、弱々しい声で蒼佑の名を呼んだ。

彼はドアを開け、汗だくの私を見ると、慌てて体を起こした。

「すぐ病院へ行くぞ!」

だが、上着を着せようとしたところで、仲間から電話がかかってきた。

彼が何度切っても、またすぐにかかってきた。

苛立った蒼佑は電話に出るなり怒鳴った。

「こんな夜中に何だよ!美緒が具合悪くて、それどころじゃ――」

「夏希が……いや、いい。そっちは美緒さんについててやれ!」

蒼佑の手から、私の上着が滑り落ちた。

「夏希がどうした?ちゃんと言え!」

「酔いつぶれて、お前の名前を呼びながら泣いてる。誰が止めても聞かないんだ!」

蒼佑は私の上に上着を放り、リビングから鎮痛剤を持ってきた。

「美緒、これを飲んで少し我慢してくれないか?たぶん胃腸炎だ。夏希を落ち着かせたら、すぐ戻って病院へ連れていく」

目の前が白くなるほど痛かった。私は震える手で彼の服をつかんだ。

「痛いの。お願いだから、病院へ連れていって」

だが彼は妙に冷静な顔で、私の指から服を抜き取った。

「美緒、あとで土下座だって何だってする。でも今は、夏希のところへ行かないと駄目なんだ。あいつが俺を必要としたら、必ず駆けつけるって誓った」

ドアが激しい音を立てて閉まった。

階下まで下りた蒼佑から、メッセージが届いた。

【美緒、水を用意するのを忘れた。悪いけど、自分でくんでくれ】

次の瞬間、私のスマホは電池が切れた。

服が汗で濡れるほどの痛みに耐えながら、私はベッドから転がり落ちた。床を這って玄関を出ると、隣の佐藤のドアを叩いた。

玄関先で倒れた私を見て、佐藤は仰天した。すぐに私を抱き上げ、車で病院へ運んでくれた。

救急処置室のベッドで、私は痛みのあまり何度も吐いた。

佐藤が蒼佑に電話をかけ、急性虫垂炎で手術になると伝えていた。

だが彼は数秒迷っただけで、きっぱり答えた。

「佐藤さん、今はそっちへ行けません。美緒をお願いします。必要な同意書には俺が署名します。手術で何があっても、すべて俺が責任を取りますから!」

痛いのに、なぜか笑いたくなった。笑うたびに涙が流れた。

やがて意識を失い、次に目を覚ましたときには手術が終わっていた。

蒼佑は私のベッドのそばで、楽しそうにスマホを触っていた。私が目を開けたことにも気づいていなかった。

唇をなめ、何度もつばをのみ込み、シャツのボタンを緩めて大きく息をしていた。

静まり返った白い病室で、彼の抑えきれない興奮だけがひどく生々しく見えた。

腹部の傷が鈍く痛み、私は思わず小さくうめいた。

蒼佑はようやく我に返り、名残惜しそうにスマホを伏せた。どうしていいか分からない顔で私を見た。

「美緒、水を飲むか?持ってくる」

画面はまだ消えていなかった。何気なく目を向けた私は、氷の中へ突き落とされたように凍りついた。

トーク画面には、露出の激しいコスプレ写真が何枚も並んでいた。

いつもの少年のような格好とは違い、夏希はウィッグとバニーガールの衣装を身につけ、テーブルにうつ伏せになって尻を突き出していた。

【前のより、こっちのほうがいいでしょ。あんたも悩殺できそう?】

蒼佑はこう返していた。

【やばい。そんなの見せられたら、こっちまで熱くなる】

【犬の真似したら、もっときれいなのを送って冷ましてあげる】

【ワン、ワン】

実際、蒼佑は落ち着かない様子で、何度もつばをのみ込んでいた。

彼はしどろもどろになりながら「医師を呼んでくる」と言い、よろめくように病室から逃げ出した。

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