ニップレスを女友達に渡した婚約者第1話
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私・高瀬美緒(たかせ みお)は婚約者の友人たちとの食事会で、彼の女友達がブラジャーをつけておらず、服の上から乳首が浮いていることに気づいた。
こっそり教えるべきか迷っていると、婚約者の黒瀬蒼佑(くろせ そうすけ)は険しい顔で私のバッグをつかみ、女友達の相原夏希(あいはら なつき)を連れて店を出た。
二人がもみ合うようにして戻ってきたとき、夏希の胸にはすでにニップレスが貼られていた。
「忘れたくらいで何よ。女だって自由でいいでしょ。あたしの胸くらい好きにさせてよ。この古くさい男!」
夏希は蒼佑の手をつかみ、自分の胸に押し当てた。
「ほら、ほとんど平らじゃん。あんたより小さいくらいなのに、ニップレスなんか要る?」
蒼佑は顔をしかめた。
「黙れ。いいから、ちゃんと貼ってろ」
バッグを確かめると、予備のニップレスがなくなっていた。
ようやく気づいた蒼佑が言った。
「お前のを夏希に使わせた。新しいのは俺が買うから」
私は彼を見つめて笑い、すぐに自分がつけていたニップレスを剥がした。
「嫌。今すぐ返して」
* * *
二枚のニップレスが、ぺたりと床に落ちた。
個室は、突然音を消されたように静まり返った。みんな、見るべきか目をそらすべきか分からずにいた。
蒼佑は眉をひそめた。普段は控えめな私が、こんな大胆なことをするとは思っていなかったらしい。
「ニップレス二枚くらいで、そこまでするか?普段から自分のものにはうるさいけど、そんな安物まで惜しむとは思わなかった」
蒼佑は、自分が悪いとは少しも思っていなかった。ただ私がけちで、物を貸したくないだけだと思っていた。
夏希は蒼佑の肩を叩くと、服の中に手を入れ、ニップレスを剥がして私に差し出した。
「はい、美緒さん。蒼佑が悪かった。代わりに謝るよ。あたしは別に貼らなくてよかったのに、こいつがトイレの前に立って、貼るまで出さないって言うからさ」
「お前ら、後ろ向け!」
蒼佑が仲間たちを怒鳴りつけた。次の瞬間には自分の上着を脱ぎ、夏希の体をしっかり包んでいた。
「頼むから、少しは普通の女らしくしてくれないか?」
夏希は不満そうに口を尖らせた。
「普通の女って、どんなの?」
彼女は私をちらりと見ると、汚いものでも見たように鼻を鳴らした。
「ああいうのなら、あたしのことは男だと思ってて」
蒼佑の態度からは、ほかの女を守り、独占したいという気持ちが透けて見えた。
急に、何もかもがどうでもよくなった。
私はソファに置かれていた蒼佑のショルダーバッグを手に取り、中身を床にぶちまけた。
夏希のために用意したアレルギー薬、携帯扇風機、タンポンが次々と転がった。
一方、今朝、風邪薬を持ってきてほしいと何度も頼んだのに、蒼佑は今まで一度も思い出さなかった。
「そこまで物忘れがひどいなら、普通かどうか以前の問題ね。早めに病院で診てもらったら?今からそんな調子じゃ、老後は認知症まっしぐらよ」
私はニップレスを蒼佑のバッグに押し込み、それを彼の顔に投げつけて歩き出した。
「人が使ったものなんて気持ち悪いから、あげる。これからは自分のバッグから出してあげて。二度と私のバッグを勝手に開けないで」
今日から蒼佑のバッグには、夏希用のニップレスまで加わるのだろう。
店を出たところで、蒼佑が追いつき、私の腕をつかんだ。
「いったい何をそんなに怒ってるんだよ。夏希が忘れっぽくて、細かいことを気にしない奴だって知ってるだろ?」
私が黙っていると、彼は声をやわらげた。
「次からはお前のを使わない。俺が買いに行く。それでいいだろ?」
ここまで言っても、蒼佑は私が怒っている理由を理解していなかった。
「結婚前、最後の独身パーティーなんだ。今日くらい顔を立ててくれないか?」
私は彼の手を振り払った。
「蒼佑、あなたは何度も私の許容範囲を越えてきた。夏希と二人でやっておきたいことが、まだ山ほどあるんじゃない?」
彼は眉を寄せた。本当に意味が分からないらしい。
「式場を決める日は、私一人で下見に行った。あなたは夏希と二人で、結婚前に二人で行く最後のスポーツ観戦だと言ったから。
ブライダルチェックの日程も、二人で最後に雪山の日の出を見に行く約束があるから延期した。
婚約の食事会に遅れたのも、二人で見る最後の映画が終わっていなかったからだった。
二人きりでやりたいことが済んだら、今度はみんなで最後の独身パーティー?何をするにも、夏希がいないと駄目なのね」
私は彼の目を見つめ、少しでも反省や後ろめたさがないか探した。だが、何もなかった。
蒼佑はようやく納得したように、両手を広げた。
「俺たちは子どもの頃から、兄弟みたいに育ったんだぞ。あいつにまで嫉妬するのか?」
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