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ストロベリーフレーバーを好きの彼氏を捨てた第1話

この話は約2859字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

気持ちが最も高まったその瞬間、ふと、何かが違うと感じた。

私・根元詩織(ねもと しおり)は身を起こし、明かりをつけた。ゴミ箱の中に、この家では一度も買ったことのないストロベリーフレーバーのパッケージが見えた。

私は彼氏に、どこから来たのかと問いただした。

彼は一瞬固まり、それから私を抱きしめた。

「先週、飲みすぎてさ。あのクソどもが無理やり押しつけてきたんだよ。

あいつらのこと、お前も知ってるだろ。普段からろくなことしない連中だ。嫌なら捨てればいい」

彼のキスが、また強引に降ってきた。

たしかに商売の場では、下品な冗談が飛び交うことも多い。

ここでさらに問い詰めれば、むしろ空気の読めない女として雰囲気を壊すだけだ。

終わったあと、彼はシャワーを浴びに行った。

私は寝つき用の音楽を流そうと、Bluetoothイヤホンを手に取った。

そのとき、不意に若い女の子の甘えた声が聞こえてきた。

「だから言ったじゃないですか、彼女、いちごアレルギーだからってそんな騒ぐことはないって。ほら、同じように気持ちよさそうに声出してるじゃないですか?

わざわざ二人のために時間を計ってあげたんですよ。2時間23分だって。白野社長って、ほんと体力ありますね……」

私ははっと我に返った。

シャワーから出てきたばかりの彼を一瞥し、こう返した。

「私たちのために散財して盛り上げ役までしてくれるなんて、申し訳ないわね。いっそ直接来て、味わってもらえば?」

* * *

気持ちが最も高まったその瞬間、ふと、何かが違うと感じた。

私・根元詩織(ねもと しおり)は身を起こし、明かりをつけた。ゴミ箱の中に、この家では一度も買ったことのないストロベリーフレーバーのパッケージが見えた。

私は彼氏に、どこから来たのかと問いただした。

彼は一瞬固まり、それから私を抱きしめた。

「先週、飲みすぎてさ。あのクソどもが無理やり押しつけてきたんだよ。

あいつらのこと、お前も知ってるだろ。普段からろくなことしない連中だ。嫌なら捨てればいい」

彼のキスが、また強引に降ってきた。

たしかに商売の場では、下品な冗談が飛び交うことも多い。

ここでさらに問い詰めれば、むしろ空気の読めない女として雰囲気を壊すだけだ。

終わったあと、彼はシャワーを浴びに行った。

私は寝つき用の音楽を流そうと、Bluetoothイヤホンを手に取った。

そのとき、不意に若い女の子の甘えた声が聞こえてきた。

「だから言ったじゃないですか、彼女、いちごアレルギーだからってそんな騒ぐことはないって。ほら、同じように気持ちよさそうに声出してるじゃないですか?

わざわざ二人のために時間を計ってあげたんですよ。2時間23分だって。白野社長って、ほんと体力ありますね……」

私ははっと我に返った。

シャワーから出てきたばかりの彼を一瞥し、こう返した。

「私たちのために散財して盛り上げ役までしてくれるなんて、申し訳ないわね。いっそ直接来て、味わってもらえば?」

電話がプツンと切れた。

私がじっと見つめているのを見ると、白野和也(しらの かずや)はバスタオルをはだけた。

「まだ欲しいのか?」

「あなたのあの若い彼女、嫉妬しないの?」

私はイヤホンを指さして、彼に笑ってみせた。

「自動でそっちにつながってたよ」

彼ははっと何かに気づき、素早くスマホに目をやった。

そしてその場で固まり、喉仏が上下した。

私は彼が心の中で抱いた疑問に答えた。

「聞こえてたよ。ストロベリーフレーバーをわざと入れたのは彼女でしょ。

それに、あなたのこと褒めてたよ、持ち時間が長いって」

和也の顔つきがみるみる険しくなった。

「女の子にゴムを買わせるなんて、最低。次からは自分でお金出しなよ」

出て行こうとした瞬間、手首を彼につかまれた。

「会社のアシスタントの子だよ。いつも冗談ばっかり言うんだ。

でも安心して。お前が思ってるような関係じゃない。ただ社内の飲み会で王様ゲームに負けただけで、俺もズルするわけにはいかなくて……」

私の心は、さらに冷えきった。

彼はまともな言い訳を考える気すらないのだ。

「好きにすれば。引き出しに残ってるゴム、無駄にしないでね」

「詩織!」

和也の手に力がこもった。

「そこまでする?俺のスマホは好きに見ていい。それに、何でもお前に報告してるだろ。それでも俺をそこまで信用できないのか?」

私は彼の目尻に刻まれたしわを見つめた。

ふと、もう七年も経ったのだと思い出した。

彼のために、私は故郷の安定した仕事を辞めた。

この地価の高い都に残り、素うどん一杯すら分け合う生活だって、喜んで受け入れた。

彼が私に家庭を築いてやると言ったときの、あのまぶしい笑顔を、私は永遠に忘れられない。

地下室に五年も住んで、私はようやく彼と一緒に苦労を乗り越えた。

友人たちはみんな、男は金を持つと悪くなるから気をつけろと言った。

私は、彼だけは例外だと信じていた。

でも今、この汚された寝室を見ていると、結局はみんな同じなのだと、そう信じてしまった。

私はため息をつき、彼の見え透いた欲望を暴かなかった。

「疲れた。もう寝る」

私はクローゼットへ布団を取りに行った。

開けた瞬間、違和感を感じた。

シーツも毛布も、全部目に痛いほどの緑色だった。

私は昔から白しか好まない。

和也は軽い赤緑色覚異常で、身の回りにこの二色を取り入れたことは一度もない。

「春になったし、緑のほうが華やかでいいかと思って」

彼の説明は相変わらずそっけなかった。

彼を相手にせず、私は立ち上がってリビングへ向かった。

ミニマルな内装の中に、場違いな飾り物がいくつも増えていた。ソファにはぬいぐるみが置かれ、壁にはピンクの星が貼られていた。

カーペットまで、今いちばん流行っているキャラクターものに替わっている。

なるほど。出張から戻った私の目を、和也がふさいだわけだ。

でも彼は、こういうごちゃごちゃした飾りが大嫌いだったはずなのに。

スマホが突然震える。

見知らぬ番号からメッセージが届いた。

【根元さん、私は白野社長のアシスタントの真琴です。

さっきの電話、あれはただの罰ゲームなんで、気にしないでくださいね!もし怒らせちゃったなら、ごめんなさい!

実はですね、社長とこの三日がかりで部屋を改造したんですよ。社長が『帰ってきた時に部屋が寒々しいと、息が詰まっちゃう』って言うから。随分明るくなったと思いません?

だからこれ、私からのお詫びだと思ってもらえませんか?根元さんなら絶対気に入ってくれるはずです!】

和也は緊張した面持ちで、私の返事を待っていた。

「真琴も善意で俺を手伝ってくれただけだ。あの子も謝ったんだし、お前もそんなに目くじらを立てるなよ」

爪が掌に食い込み、ちくりと痛んだ。

私が自ら飾りつけた新婚の家は、めちゃくちゃにされた。

誠意のかけらもない一言の謝罪。画面いっぱいに「ありがたく思え」とでも言いたげな挑発がにじんでいた。

それなのに、私に寛大でいろと?

私はすべてを捨てた。

和也は複雑な眼差しで私を見つめている。

そして最後には、意地を張るようにドアを乱暴に叩きつけて出て行った。

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