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サヨナラ、99回私を捨てた人第3話

この話は約1799字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

陽可から送られてきたのは、大輔と海辺で撮ったウェディングフォトや遊園地でのツーショット、あるいは絵画展やSNS映えするカフェを巡る写真ばかりだった。

その一つひとつが、どれも私がやりたいと言って、「面倒だ」と彼に一蹴されたことばかりだった。

どうやら、彼は面倒だと思っていたわけではなく、ただ私が、彼に時間と手間をかけたいと思える相手ではなかっただけなのだ。

陽可からの最後のメッセージには、剥き出しの敵意が込められていた。

【夏海さん。当ててみて。大輔さんの100回目の結婚式、花嫁は誰かしら?】

無視した。少なくとも、私ではないことは確かだ。

式の数日前、リビングで引き出物を小分けにしていた時、玄関のドアロックから、何度か暗証番号が間違ったというエラー音が何度も聞こえた。

立ち上がってドアを開けると、やはりドアの外には大輔が立っていた。

彼は驚いた顔で言った。

「どうして番号を変えたんだ?」

「定期的に変えることにしてるの。防犯のためにね」

さらりと受け流し、私は作業を続けた。

大輔は深く追求せず、机の上の引き出物を見て、一瞬体が固まった。

それからお世辞を言うように私の肩を揉み、「苦労をかけるな。仕事が片付いたら、新婚旅行はたっぷり時間を取るから。最初はスイスに行こう、な?」と微笑んだ。

「スイスなら、もう行ったわ」

大輔は絶句し、数秒後、何かに気づいたように顔を青くした。

「……夏海、すまない」

それは大輔が56回目となる結婚式延期を告げた時だった。繰り返される失望に押しつぶされそうになり、私は航空券を買ってスイスへ飛んだ。

運悪く、あの時は雪崩に巻き込まれ、山の中で一晩中閉じ込められた。

救助された後に知ったのは、その時大輔がずっと病院で陽可に付き添っていたという事実だった。

「いいの。もう気にしてないから」

大輔の心の中に、私の居場所なんて最初からなかったのだと、もう理解している。

けれど彼は急に私を抱きしめ、必死に誓った。

「夏海、今度の式は必ず行うんだ。式が終わったら、残りの人生をかけて償う。二度と悲しませないから」

どうやら、私が悲しんでいたことを、彼は知っていたのだ。

彼のために用意した祝儀の飾りを前に、私が一人で泣いていたことも知っていて、それでも陽可を選び続けてきたのだ。

式の直前、大輔が珍しく打ち合わせに現れたが、新郎の名前を書く書類や席次表からは、うまく彼を遠ざけた。

式の前夜、彼からメッセージが届いた。

【おやすみ、夏海。明日、やっとお前を妻に迎えられる】

私は返信しなかった。陽可がさっき投稿したSNSの投稿を思い出したからだ。

【明日は私の人生で最も大切な日になる!】

この二人が何を企んでいようと、もうどうでもいい。

私の結婚式に、大輔はもうどうでもいい人間なのだから。

当日。ウェディングドレスを纏い、鏡の前に座る私の心は、久々に高揚していた。

過去99回とは違い、今回の新郎は、大輝なのだから。

案の定、大輔から電話が入った。

「夏海、本当に申し訳ない」

聞き飽きた謝罪の声だった。

「急用ができて、どうしても手が離せない。迎えの儀式はカットして、直接会場で合流しよう。式は予定通り挙げるから、いいな?」

合流しようがしまいが、私には関係ない。

私は平静に答えた。

「いいわ」

電話の向こうの大輔は安堵したようで、口調が一瞬で軽やかになった。

「夏海、俺の花嫁。後で会おう!」

電話を切った途端、大輝が部屋に入ってきた。仕立ての良いスーツを完璧に着こなし、その瞳には優しさが満ちていた。

これまで、一度も叶うことのなかったファーストミートが、ついに本番を迎え、部屋は楽しげな笑い声で溢れた。

かつては、大輔が真っ直ぐに私のもとへ歩み寄り、ドレス姿の私を愛おしそうに抱きしめてくれる姿を夢見ていた。「これからはずっと一緒だ」なんて言葉を添えて。

けれど、その夢が叶うことはなかった。

人生なんてそんなものだ。確信するものほど、思い通りにはいかない。

大輝が私を抱きかかえた時、私は彼の肩にそっと寄り添った。

大輔とは、これですべて終わり。

私の手が無意識に大輝のスーツを掴むと、大輝は優しい声で慰めてくれた。

「怖がらなくていい。僕がいるよ」

車が式場へと進む。その道中、巨大な車列が前方から現れ、道の真ん中で鉢合わせになった。

相手の先頭車両のドアが開き、例の男が降りてきた。

正装した大輔だった。

彼はまっすぐ私たちの車へ歩み寄ってきた。

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