さようなら、愛の檻第3話
この話は約1465字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
あの家を不動産会社に出した。
彼らが住んでいた家は、なんだか縁起が悪い気がした。
すぐに新しい家を見つけた。職場からも近い、駅にも近い便利なマンションで、ずっと前から目をつけていた場所だ。
ここ数日、果歩が雇った私立探偵が、西村とその愛人の親密な写真を次々に送ってきた。
その愛人、夏川千歌は私も知っている。芸能界で有名な「18歳のネットアイドル」だ。美人なだけでなく、ゴシップやスキャンダルの話題作りが得意なタイプだ。
西村は彼女の芸能事務所ではただのマネージャーにすぎない。
一体どうして、彼女が西村なんかと関係を持つのか、全く理解できない。
写真の中の夏川の腹は少し膨らんでおり、どうやら妊娠数ヶ月が経過しているようだ。
二人のイチャつく写真を何枚か印刷した。将来、何かの役に立つかもしれないからだ。
3日目のことだった。
私は鍵を使って、彼らが住む家のドアを開けた。
家の中の三人が食事をしていた。
ああ、良彦は退学処分を受けたんだっけ。
良彦は私に気づくと、まるで野良犬のような鋭い目で私を睨みつけた。
私は家の中の様子を一瞥し、部屋の隅々に置かれた彼らの荷物を確認すると、後ろに控えていた引っ越し業者の作業員に合図を送った。
良彦の母、橘静乃は突然パニックに陥り、ドアの前に立ちふさがって作業員を中に入れさせまいとした。
「お前たち、うちに何しに来たんだ!そのテレビを持っていくな、買ったばかりなんだぞ!」
「あなたの家ですって?私の記憶が正しければ、この家の名義にあなたたちの名前なんて入っていないはずよ。
早く荷物を運び出して。今まで使っていたものに対して賠償を求めるつもりはないから」
良彦の父である西村明人は典型的な亭主関白な男で、声を荒げながら罵り始めた。
「正樹は自分の女房一人も抑えられないのか?だったら、俺が代わりに躾けてやる!」
そう言って手を出そうとする気配を見せたが、私の隣にいた警備員が前に出てきた。身長188センチ、腹筋バキバキで体格もがっしり。
明人はこの状況を見てすっかり萎縮してしまった。
本気だと察した彼は、橘を連れて私に跪き始めた。
「澪ちゃん、頼むよ。俺たちを追い出したら、行くところがなくなっちまう!」
「そう?田舎にある古い家がまだ残っているじゃない。ちょうど広々としていてあなたたちにはぴったりだわ」
橘は一瞬固まり、策が尽きたと分かると、甲高い声で泣き叫び始めた。
「澪、本当に冷たい人だね!甥っ子を見捨てるだけじゃ足りず、今度は家族全員を追い出すなんて!」
近所の住民たちもこの声を聞きつけ、通りがかりの人々が指をさして話し始めた。これで彼らに優位を取られるわけにはいかない。
私は少し感情を込め、目に涙を浮かべた。
「私が甥を見捨てたですって?1ヶ月に50万以上もかかる学費をポンと払ったのに、学校で他の子をいじめたから通わせないことにしたんですよ、お嫂さん。
それに、この家は私の両親が生前に残してくれたんです。奪うつもりなんですか?
これが私の唯一の思い出のものなんです、お嫂さん」
その瞬間、周囲の雰囲気が一変し、橘と明人を非難し始めた。
なんと、良彦は親孝行らしく、その群衆に殴りかかろうとした。
その混乱の中で、偶然ある子供を怪我させてしまった。
これに驚いた子供の祖母は急いで病院に連れて行き、警察に通報して良彦を逮捕させるつもりだった。
橘は家のことどころではなくなり、警察に良彦を連れて行かないように懇願し始めた。
最終的に警察の妨害罪で1日拘留されることになった。
明人は一言も言えず、妻と子供を置いてそそくさとその場を去った。
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