さようならボス、その遅すぎた愛に興味はないの第1話
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3日後に生まれたばかりの我が子を亡くしてから、私はジュリアンが嫌がるようなことを、一切しなくなった。
彼がどこへ行くのか、尋ねることもやめた。たとえ一晩中帰ってこなくても、私は何事もなかったように眠れるようになった。
街中で銃撃戦に巻き込まれ、流れ弾が手首をかすめたときも、医師から「ご家族に連絡してください」と言われた私は、ただこう答えた。
「私に家族はいません」
すると、一人の看護師が私のことに気づいた。
「マルケッティ夫人ですよね?ご主人のジュリアン様の車列が下に停まっています。お知らせしましょうか?」
私は目を伏せ、静かに首を横に振った。
「結構です。知らせなくていいです」
それから30分ほどして、ジュリアンは結局、自分から病室のドアを開けて入ってきた。
仕立ての良いスーツに身を包み、低い声で尋ねる。
「怪我をしたのに、どうして俺に連絡しなかった」
私は包帯の巻かれた手首に目を落とした。
「ただのかすり傷だよ。それに、ボスには、私なんかに構っている暇はないでしょう」
私の淡々とした口調が、かえって彼を苛立たせたようだった。
彼が何か言おうとした、そのとき。
廊下のほうから、部下たちのひそひそ話が聞こえてきた。
「ミアのこと、聞いたか?ボスは本当にあの女にご執心らしいぞ。カジノで足を捻っただけなのに、防弾車を三台も出して周辺を封鎖したんだってさ......それだけじゃない。自分で抱きかかえて運び出したらしい。あの女の靴は、一度も地面につかなかったそうだぜ」
ジュリアンの顎がわずかに強張った。
そして、探るような視線を私に向けてくる。
まるで私が以前のように怒り狂って、問い詰めるのを待っているかのように。
けれど私は、何も言わなかった。
病院のベッドに寄りかかったまま、身じろぎひとつしない。
ジュリアンは、ようやく私が騒ぎを起こすのをやめたのだと思ったのだろう。
まさか私が、誰にも気づかれないように、彼の人生から永遠に姿を消す準備をしているとは知らずに。
* * *
病院を出て彼の車に乗り込んでから、ジュリアンはようやく低い声で弁解するように口を開いた。
「さっきの連中の戯言を気にするな。ミアは俺の店で踊り子の仕事をしてる。ちょっと厄介なことに巻き込まれたから、ボスとして俺が片をつけただけだ。これは仕事のうちだ」
私は小さく「そう」と返しただけで、それ以上は何も言わず、車窓に寄りかかった。
すると、突然ジュリアンが苛立ったように声を荒らげた。
「信用してくれないのか?セラフィーナ......この半年間、俺は毎晩欠かさず家に帰ってきただろ。それでも足りないというのか?」
流れていく街灯をぼんやり眺めながら、私は淡々と答えた。
「いいえ。こんな怪我、大したことないと思っただけだから。屋敷に帰りましょう」
完璧な答えだった。
けれど、そこには何の感情もなかった。
まるで、あらかじめ録音された返答を再生しているかのように。
ジュリアンは苛立ちを抑えきれず、ハンドルを拳で強く叩いた。
けたたましいクラクションが夜の街に響き渡り、向かいの店の裏口から出てきたばかりの踊り子たちが驚いて振り返る。
そのうちの一人が顔を上げ、こちらを見つめた。
街灯に照らされ、その顔がはっきりと浮かび上がった瞬間、車内の空気が凍りついた。
「ミア......どうしてここに......」
ジュリアンは反射的に私を見た。
以前の私なら、この女と鉢合わせるたび、その場で取り乱していたからだ。
けれど私は、一瞬だけ視線を向けると、まるで何もない空間を見ていたかのように、すぐに目を逸らした。
ジュリアンの指がハンドルの上で強張る。
それでも、彼の視線はミアへと吸い寄せられていった。
真夜中の凍えるような風の中、彼女が身につけているのは安っぽいスパンコールのワンピース一枚だけだった。
寒さに耐えるように両腕をぎゅっと抱きしめ、鼻先は赤くなっている。
ジュリアンはすでにドアノブに手をかけていた。
その目に浮かんだ剥き出しの心配を、見間違えるはずもなかった。
私は自分の立場をわきまえていた。
だから彼が気兼ねなく出ていけるよう、自分からドアを開けた。
「用事があるなら、私はタクシーで帰れるから」
言い終わるのも待たず、私はドアを閉め、そのまま横断歩道へ向かって歩き出した。
するとジュリアンが追いかけてきて、私の手首を掴んだ。
「俺とミアの関係はもう終わっている。こんな寒空の下にいるなんて思わなかっただけだ。何でも悪いほうに考えるのは、もうやめてくれないか?」
私は彼を見上げた。
「私は気にしないよ。若い女の子がこんな場所で一人で生きていくのは大変でしょうから......彼女、ジュリアンの店で働いているでしょう?気にかけてあげるのは当然じゃない」
ジュリアンは私の顔をじっと見つめた。
そこには、恨みも嫉妬も、ほんのわずかさえ見つからなかった。
何もかもが、彼にとってはおかしかった。
昔の私は、命そのものを彼に預けていた。
彼のスーツの袖口に、たった一本でも見慣れない巻き毛を見つければ、夜が明けるまで問い詰めずにはいられなかった。
だけど今の私は、彼が望んだ通りの人間になっていた。
静かで、品があって、何もかもをわきまえている。
なのに、ジュリアンの胸は締めつけられていた。
まるで濡れたスポンジを詰め込まれたかのように息苦しく、呼吸さえままならない。
私は掴まれた手を引き抜き、そのまま背を向けて歩き出した。
通りの角まで来たところで足を止め、振り返る。
すると車のそばでは、ジュリアンがすでに上着を脱ぎ、ミアの肩にかけていた。
そして彼女の頬を両手で包み、顔を寄せると、深く口づけていた。
私は少しも驚かなかった。
むしろ、こうなることくらい最初から分かっていた。
初めて彼の不倫現場を目にしたときのように、気が狂ったように駆け寄って、「ジュリアン・マルケッティ!あなた、良心ってものがないの?17の時からずっと一緒にいたじゃない!ボロアパートで身を寄せ合っていた頃から、こんな豪邸に住めるようになるまでずっと寄り添ってきたのに......それなのに、別の女を好きになったっていうの?」なんて喚き散らすつもりなど、もうなかった。
あのとき、ジュリアンは私が血を流した鼻を拭ってやりながら、冷たく鼻で笑った。
「良心だと?お前にそんなものがあるなら、どうして17の時に俺のベッドに潜り込んだりした。身寄りもないお前を孤児院から引き取って、10年も面倒を見てやったのは誰だと思ってるんだ。感謝して、俺の前で跪いて礼を言うのが筋だろ」
その言葉は、鋭いナイフのようだった。
私たちが路地裏で肩を寄せ合い、10年もの年月を生き抜いてきた日々を、血と苦しみだけが残るまで、容赦なく切り裂いた。
そのとき、スマホが震えた。
過去の記憶から引き戻され、私は画面を見た。
「セラフィーナ様。ご両親から受け継がれた信託財産と所有権関係の書類の手続きが完了いたしました。サン・セラーノにある本邸へお越しいただき、正式な引き渡しを行うには、いつ頃がご都合よろしいでしょうか?」
私は袖を引っ張り、手首に残る薄くなった傷跡を隠した。
「10日後でお願いします。急ぎで進めている離婚手続きも、10日後には成立する予定です」
電話の向こうで、相手が一瞬言葉を失った。
「これまで、ジュリアン様との間にもいろいろおありだったと思います。ですが、ご両親の遺したものを受け継ぐからといって、ポートヘイヴンとの縁をすべて断つ必要は......」
私は通りに並ぶ、地下クラブの色鮮やかな看板を眺めた。
そして、ひどく静かな声で答えた。
「もう、彼を愛していません」
少しだけ間を置いて、私は続けた。
「この街を出て、二度と振り返らずに生きていきたいので」
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