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あなたを愛した十年は、もう終わった第1話

この話は約1833字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

江田朗真(えだ ろうま)が再び離婚を切り出した日、私たちは話し合いの末、30日後に離婚することを決めた。

3年前、彼の不倫を知ったとき、私・江田寧々(えだ ねね)は彼の車を壊し、ホテルまで押しかけ、挙げ句の果てには屋上に立って、狂ったように彼を問い詰めた。「あの女はいったい誰なの?」

けれど、彼は最後まで何も答えず、ただ同じ言葉を繰り返すだけだった。「寧々、離婚しよう」

両親には「どうかしてる」と責められ、兄には「もう自分を苦しめるのはやめろ」と懇願された。

親友の水城冴香(みずき さえか)でさえ、何度も涙ぐみながら私を抱きしめて言った。「もう調べるのはやめて。あんな男のために、自分を壊すことなんてないよ」

それでも、私は諦めきれなかった。

* * *

離婚まで残されたこの30日間、私は朗真と一緒に行った思い出の場所を巡り、二人で座った席につき、彼の好きだった料理を注文して、かつて二人でしたことを一つずつ繰り返した。

そして、そのたびに撮った写真や動画を彼に送った。【もう一度だけ昔のことを思い出してくれない?】

けれど、彼から返事が来ることは一度もなかった。

最後の日、私はもう外へは出ず、大学時代に使っていた古いスマホを引っ張り出した。

トーク履歴を遡れば遡るほど、そこには私を愛していた頃の朗真がいた。

どんなにくだらないことを聞いても、彼はいつだって真剣に答えてくれた。私が何気なく雲の写真を一枚送っただけでも、【君と一緒に見たい】と返してくれていた。

そしてついに、私たちが付き合い始めた日まで遡った。

あの夜、彼は窓の外に広がる夜景の写真を送ってきて、もう家に着いたと教えてくれた。

思わず口元がほころんだ。けれど、その写真を開いた瞬間、私は凍りついた。

窓ガラスに映り込んだ景色の隅に、一人の女が彼の肩にもたれかかっていた。

その手首につけていたのは、私が冴香に贈ったお揃いのブレスレットだった。

――そうだったんだ。

彼女が何度も私に諦めるよう勧めていたのは、ずっと私が自分から身を引き、朗真のそばから消えるのを待っていたからだった。

私はしばらく呆然と座り込んだあと、朗真にメッセージを一通送った。

【もうこれ以上待つ必要はない。離婚しよう】

メッセージを送ってから1分もしないうちに、朗真から電話がかかってきた。

この30日間で、彼が私にすぐ反応したのは初めてだった。

画面に浮かぶ彼の名前を見つめても、胸にはもう何の期待も湧かなかった。

電話に出ると、彼は少し黙ったあと、低い声で言った。「寧々、今度は何をするつもりだ?」

思わず笑ってしまった。

ようやく私が離婚に同意したというのに、彼には、それが私がこの結婚を諦めたからではなく、また何か騒ぎを起こそうとしているようにしか思えないらしい。

古いスマホの画面はまだ明るく、あの写真が目の前に映し出されていた。

窓ガラスの反射の中で、冴香は彼の肩にもたれかかり、その手首には、私がこの手で彼女につけてあげたお揃いのブレスレットがあった。

あの日、ブレスレットを贈ったとき、私は笑いながら言った。「この先、私が結婚して家庭を持っても、冴香はずっと私にとって一番大切な親友だからね」

冴香は私を抱きしめ、まるで誓いを立てるかのように真剣な声で言った。「寧々、私は絶対に裏切ったりしないから」

私は長い間、写真に映った二人の姿を見つめ続け、それから朗真に尋ねた。「3年前のあの女って、冴香だったの?」

電話の向こうが静まり返った。

彼の呼吸が次第に重くなっていくのが聞こえた。まるで3年間ずっと逃げ続けてきた彼を、ついに私が逃げ場のないところまで追い詰めたかのようだった。

長い沈黙のあと、彼は低い声で言った。「もう過ぎたことだ」

説明はなかった。

否定もしなかった。

涙がスマホの画面に落ち、そこに映る二人の姿が滲んで一つに溶けていく。

「過ぎたこと?」

笑おうとすると、胸が痛んだ。

「3年前、私はあの女が誰なのか突き止めたくて、毎晩ろくに眠れなかった。自分で手首を強く掴みすぎて、血が滲むほどの痕まで残った。そんな私を冴香は泣きながら抱きしめて、もう調べるなって言った。あなたなんかのために自分を壊す価値はないって」

声が掠れ、もう言葉を続けることさえ難しかった。

「私を心配してたんじゃなかったんだね。ただ、自分のことを突き止められるのが怖かっただけなんだ」

電話の向こうで、朗真は何も言わなかった。

私はもう彼の言葉を聞こうともせず、そのまま電話を切ると、立ち上がって家を出た。

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