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あなたに二心があると聞いたから、別れに来た第3話

この話は約1578字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

胸が締めつけられるような痛みが走った。

また、私は指を差されるのだろう。

そんな場面は、もう何度も経験してきた。

桜宮は喜びの涙を浮かべながら、まるで宝物のようにネックレスを抱きしめた。

「よかった……パパがくれたプレゼント、なくしてなかった……

パパ、お姉ちゃんを責めないで。きっと、ちょっと考えが足りなかっただけなの。そんなつもりじゃなかったのよ……」

父は鼻を鳴らし、私を見下すように言った。

「考えが足りなかったからって、人の物を盗んでいいのか?俺はそんなふうにお前を育てた覚えはないぞ。

どうしてこんなふうになったんだ……母さんの形見の中に盗んだ物を隠すなんて、彼女が天国から見ていたら、どれほど失望するか……」

「私、盗んでない。母さんはきっと、私の味方をしてくれる。彼女は真実を知って、私がどれだけ我慢してきたか、ちゃんとわかってるから。

父さんに、母さんのことを語る資格はない」

母が亡くなる直前に、父は約束してくれた。

これからは私を大切にしてくれると。お姫様のように、何よりも大事にしてくれると。

でも今、その約束は簡単に裏切られた。

実の娘である私を、まるでいらない物のように扱っている。

そして、父は紫檀の箱を手に取り、床に力任せに叩きつけた。

母が遺した大切な形見は、音を立てて目の前で砕けた。

私は呆然とその破片を見つめた。

目の前が真っ暗で、光はどこにもなかった。

彼らに愛されないことは、もう慣れていた。

どれだけつらくても、自分を納得させることはできた。

でも、なぜ……

どうして、私の最後の支えまで壊すの?

震える手で、砕けた箱を拾い集めた。

顔を上げると、桜宮が勝ち誇ったような目でこちらを見ていた。

「パパも、お姉ちゃんのためを思って言ってるのよ。でも、盗みは絶対にダメ。これは、人としての基本の問題よ。

パパ、やっぱりお姉ちゃんを外に出さない方がいいと思う。また何か起こしたら……恥をかくとかじゃなくて、お姉ちゃん自身の将来が壊れてしまうかもしれないから」

「その通りだ」

父は私の腕を強く引き寄せた。

「さあ、上に行け。自分の部屋でしっかり反省しろ」

私は玉を見た。

私たちは何年も一緒にいた。彼なら、私がそんなことをする人間じゃないって知っているはずだ。

でも彼は、ただ冷たい目で私を見ていた。

一言も発さず、沈黙のまま。

そしてその手で、変わらず桜宮の傷に薬を塗っていた。

……もう、いい。もう終わりだ。

私はこの家を、もう必要としない。

狭い客室に閉じ込められた。

長い間使われていなかったようで、部屋中に埃が積もっていた。

布団は湿っていて、カビで変色している場所もあり、とても人が寝られる状態ではなかった。

私は壊れた箱を抱えて、何とか元の形に戻そうとした。

でも、どうしても足りない欠片があった。

私の心と同じだった。

一度壊れてしまったものは、もう戻らない。

その夜は、寒くて、そして空腹だった。

翌朝になっても、誰もご飯を運んではこなかった。

ドアには鍵がかけられ、私はこの家から存在を消されたようだった。

ふと外から、玄関の開く音が聞こえた。

そして父の、優しい声。

「桜宮ちゃん、行こう。今日は遊園地だ。小さい頃行けなかった場所、今日は全部連れて行ってやるからな」

遊園地……

かつて、父も私にそう言ってくれたことがある。

けれど忙しい仕事を理由に、その約束は一度も果たされなかった。

きっともう、そんな約束をしたことすら、忘れてしまったのだろう。

実の娘なのに、一度も遊園地に連れて行ってもらったことはなかった。

世間の目から見れば、私は裕福な家庭の令嬢だった。

でも、本当の私は違った。

幼い頃に母を亡くし、父はいつも仕事で家を空けていた。

家には家政婦がいたが、父がいないときは私に構おうとしなかった。

空腹のまま眠った夜も、少なくなかった。

そんなことを思い出しながら、私は、知らぬ間に眠りに落ちていた。

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