あなたに二心があると聞いたから、別れに来た第3話
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胸が締めつけられるような痛みが走った。
また、私は指を差されるのだろう。
そんな場面は、もう何度も経験してきた。
桜宮は喜びの涙を浮かべながら、まるで宝物のようにネックレスを抱きしめた。
「よかった……パパがくれたプレゼント、なくしてなかった……
パパ、お姉ちゃんを責めないで。きっと、ちょっと考えが足りなかっただけなの。そんなつもりじゃなかったのよ……」
父は鼻を鳴らし、私を見下すように言った。
「考えが足りなかったからって、人の物を盗んでいいのか?俺はそんなふうにお前を育てた覚えはないぞ。
どうしてこんなふうになったんだ……母さんの形見の中に盗んだ物を隠すなんて、彼女が天国から見ていたら、どれほど失望するか……」
「私、盗んでない。母さんはきっと、私の味方をしてくれる。彼女は真実を知って、私がどれだけ我慢してきたか、ちゃんとわかってるから。
父さんに、母さんのことを語る資格はない」
母が亡くなる直前に、父は約束してくれた。
これからは私を大切にしてくれると。お姫様のように、何よりも大事にしてくれると。
でも今、その約束は簡単に裏切られた。
実の娘である私を、まるでいらない物のように扱っている。
そして、父は紫檀の箱を手に取り、床に力任せに叩きつけた。
母が遺した大切な形見は、音を立てて目の前で砕けた。
私は呆然とその破片を見つめた。
目の前が真っ暗で、光はどこにもなかった。
彼らに愛されないことは、もう慣れていた。
どれだけつらくても、自分を納得させることはできた。
でも、なぜ……
どうして、私の最後の支えまで壊すの?
震える手で、砕けた箱を拾い集めた。
顔を上げると、桜宮が勝ち誇ったような目でこちらを見ていた。
「パパも、お姉ちゃんのためを思って言ってるのよ。でも、盗みは絶対にダメ。これは、人としての基本の問題よ。
パパ、やっぱりお姉ちゃんを外に出さない方がいいと思う。また何か起こしたら……恥をかくとかじゃなくて、お姉ちゃん自身の将来が壊れてしまうかもしれないから」
「その通りだ」
父は私の腕を強く引き寄せた。
「さあ、上に行け。自分の部屋でしっかり反省しろ」
私は玉を見た。
私たちは何年も一緒にいた。彼なら、私がそんなことをする人間じゃないって知っているはずだ。
でも彼は、ただ冷たい目で私を見ていた。
一言も発さず、沈黙のまま。
そしてその手で、変わらず桜宮の傷に薬を塗っていた。
……もう、いい。もう終わりだ。
私はこの家を、もう必要としない。
狭い客室に閉じ込められた。
長い間使われていなかったようで、部屋中に埃が積もっていた。
布団は湿っていて、カビで変色している場所もあり、とても人が寝られる状態ではなかった。
私は壊れた箱を抱えて、何とか元の形に戻そうとした。
でも、どうしても足りない欠片があった。
私の心と同じだった。
一度壊れてしまったものは、もう戻らない。
その夜は、寒くて、そして空腹だった。
翌朝になっても、誰もご飯を運んではこなかった。
ドアには鍵がかけられ、私はこの家から存在を消されたようだった。
ふと外から、玄関の開く音が聞こえた。
そして父の、優しい声。
「桜宮ちゃん、行こう。今日は遊園地だ。小さい頃行けなかった場所、今日は全部連れて行ってやるからな」
遊園地……
かつて、父も私にそう言ってくれたことがある。
けれど忙しい仕事を理由に、その約束は一度も果たされなかった。
きっともう、そんな約束をしたことすら、忘れてしまったのだろう。
実の娘なのに、一度も遊園地に連れて行ってもらったことはなかった。
世間の目から見れば、私は裕福な家庭の令嬢だった。
でも、本当の私は違った。
幼い頃に母を亡くし、父はいつも仕事で家を空けていた。
家には家政婦がいたが、父がいないときは私に構おうとしなかった。
空腹のまま眠った夜も、少なくなかった。
そんなことを思い出しながら、私は、知らぬ間に眠りに落ちていた。
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