あざとい女を選んだ元カレ、私の結婚を知ると絶望第3話
この話は約1764字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
「夏美、俺たちは知り合って25年、付き合って7年になるね。君への気持ちはずっと変わらない。愛してるよ。結婚してくれないか?」
会場はきれいに飾りつけられていた。浩平はゆっくりと私に近づき、片ひざをついて指輪を差し出した。
周りの人たちも、はやしたてはじめた。
「結婚!」
「結婚!」
私は指輪を受け取ると、そのまま浩平の頭に叩きつけた。
「結婚って?そしたらあなたは紬と浮気して、私を裏切るんでしょ!」
浩平は私の手を必死に掴んだ。「そんなことしないよ、夏美。俺が愛してるのは君だけだ。紬さんには、ただ恩返しをしてるだけなんだよ。本当だから信じて。もう怒らないでくれ」
「浩平さん、そんな女にお願いなんかしないで!」
紬が怒った顔で飛び出してきて、私を睨みつけた。
「この気の荒い女!性格も最悪なくせに、浩平さんに好かれてるなんてありがたいと思いなさいよ。これでプロポーズは10回目なんでしょ。あんまり調子に乗らないほうがいいわよ、じゃないと……」
私はシャンパンを彼女の顔にぶっかけた。「私のやることに、あなたが口を出すんじゃないわよ!」
紬のドレスはずぶ濡れになった。
浩平はとっさに自分のジャケットを脱いで、紬の肩にかけた。「夏美、俺に怒ってるなら何をしてもいい。でも、紬さんに八つ当たりするのは違うだろ……」
またお説教。もう、うんざりだ。
私は背を向けて歩き出した。「私たち、もう終わりよ。紬と一緒に、二度と私の前に現れないでちょうだい」
私が階下へ向かうと、紬が追いかけてきた。
彼女は私の腕を掴んだ。「あなたは、私より先に浩平さんに出会っただけじゃない?何を偉そうにしてるの?彼が本当にあなたを愛してるとでも思ってるの?もし一緒に危険な目に遭ったら、彼は絶対に私を助けるわ!」
車が行き交う道路に、紬はなんと私を引きずり込んだ。
ちょうどその時、浩平が駆けつけてきた。でも、彼が助けたのは紬だった。
なんて馬鹿げてるんだろう。
別れを告げた時でさえ、私は浩平の心の中で一番大切なのは自分だと思っていた。ただ、その心の一部を紬に分けてあげているだけだって。
なんだ、私の勝手な思い込みだったのね。
幸い、運転手の反応が早くて急ブレーキをかけてくれた。だから、軽くぶつかっただけで済んだ。
「夏美、大丈夫か?どこか怪我は?」
浩平が慌てて駆け寄ってきて、私を抱き起こした。
まだショックで体が震える中、私は彼の頬を思いっきりひっぱたいた。「命が危ないっていう時に他の女を助けるなんて。浩平、あなたの愛は本当に安っぽいのね!」
浩平の頬は赤く腫れ上がった。でも、彼はただ不安そうに私を見ていた。
「夏美、君を助けたくなかったわけじゃない。ただ、紬さんへの命の恩を返したかったんだ。もし君に何かあったら、俺も一緒に死ぬつもりだった」
私は鼻で笑った。「でも、私はあなたと一緒に死にたいなんて、一度も言ったことないけど?」
紬が悔しそうに何か言おうとしたから、私は彼女の頬にもビンタした。「それであんた、私を殺そうとしたこと、このまま黙ってるとは思わないで」
私は彼らを振り払って、その場を去った。
浩平はいろんな番号から電話をかけて謝ってきたけど、全部着信拒否にした。でも、送られてきたプレゼントは全部もらっておいた。
あれは、私がもらうべきものだから。
ただ、私がウェディングドレスの試着に行ったら、浩平がどこで聞きつけたのか、後をつけてきた。
彼はうっとりと私を見つめた。「夏美、ウェディングドレス姿の君は、想像していた通りにきれいだ。ついに結婚する気になったんだね?」
私は無表情で答えた。「ええ、結婚するわ。でも、相手はあなたじゃない」
浩平は困ったように笑った。「怒ってそんなこと言うなよ。君の心の中には俺しかいないだろ?俺とじゃなきゃ、誰と結婚するっていうんだ?」
浩平の言葉が終わると、試着室から大輝がタキシード姿で現れ、私の腰を自然に抱き寄せた。
大輝は婚姻届受理証明書をひらひらさせた。「俺の妻が結婚するのは、当然俺だろ。ていうか、あんた誰?ずいぶん失礼な口の利き方するんだな」
浩平は大輝の手にある婚姻届受理証明書を見て、その目に不安な色が浮かんだ。
浩平はようやく気づいたのだ。今回は今までとは違う。私が本気で彼を捨てたのだと。
ゴフッと一口血を吐き、浩平の顔は一瞬で真っ青になった。
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