あいにく、私はもう別の男の妻です第3話
この話は約996字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
しかし翌朝、私を叩き起こしたのは次々と届くメッセージの嵐だった。
【梓、瀬戸健吾と婚約するの!?】
わけが分からず、友達が送ってきたニュースのリンクを開いた。
【瀬戸・浅倉、名門同士の政略結婚!幼馴染の愛が結実】
見出しを見た瞬間、こめかみが引きつった。
コメント欄には事情を知らないネットユーザーたちの祝福が並んでいる。
【尊すぎる!】
【現実の王子様とお姫様じゃない】
【つまり、私はこの世界のNPCだったってこと?】
すぐにメディアに連絡してこのニュースを削除させようとした時、健吾から電話がかかってきた。
「トレンド入りしたニュース見たか?喜んでるだろう。君が見栄っ張りなのは分かってる。これで機嫌を直せよ」
受話器の向こうから、傲慢極まりない声が聞こえた。
「あなたが流したんですか?」
「何だその言い草は。僕たちの婚約は既定路線だろう」健吾は勝ち誇ったように続けた。「いいか、君と婚約してやるのは僕の慈悲だ。我が瀬戸グループは間もなく海外に進出し、国内のトップに君臨するぞ」
……そんなはずはない!
瀬戸グループの財務状況に問題があることは調査済みだ。そもそも、私は瀬戸グループを「買収」するために帰国したのだから。
私はさりげなく探りを入れた。「そんなに順調だったなんて。でも、父からは最近、瀬戸グループの資金繰りが怪しいと聞いていましたけど?」
「フン」健吾が鼻を鳴らした。「教えてやろう。世界的に有名な投資家とコンタクトが取れたんだ。彼が瀬戸グループへの出資を承諾してくれた」
投資家が見つかった?
もし本当に出資が成功すれば、私の買収計画に支障が出る。
私は心中で警戒しながらも、わざとらしく声を弾ませた。「それは凄いですね。それじゃ瀬戸グループはさらに飛躍するんですね……ところで……その投資家の方、ぜひ一度お会いしたいですわ」
「もちろんだ」健吾は即答した。「婚約のニュースを流したおかげで株価も安定した。先方からも連絡があり、三日後の婚約披露宴に出席してくれるそうだ」
そして、彼は声を潜め、脅すような色を混ぜた。「だから三日後、絶対に来いよ。君の実家のことを考えるなら、協力してくれた方がいいよ。その大物投資家は、君たちが太刀打ちできる相手じゃないんだからな」
脅迫めいた言葉を聞きながら、私の脳裏にある計画が浮かび上がった。
しばらくして、私は落ち着いた声で言った。「……わかりましたわ。三日後、必ず伺います」
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