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離婚後、夫は後悔した第3話

この話は約1345字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

弥言は帰ってきた。

散らかった荷物と開いたままのスーツケースを見て、彼はため息をついた。

「同じことで8年も揉めて、疲れないのか?」

彼が言っているのは、私が愛華に嫉妬しているということだろう。

でも私が知りたいのは、愛華がどうして彼を帰したのか。

その答えはすぐにわかった。

「愛華が、お前はまた怒ってるに決まってるって。俺に帰ってお前を宥めろってさ。

凛、いつになったらわかるんだ?愛華は妹みたいな存在だって」

彼はしゃがみ込むようにして、私を抱きしめた。

「魚が食べたいなら、明日魚料理の店に連れていく。

百合が嫌いなら、もう買うなって愛華に言うさ。

もう怒るな、な?」

その誠実そうな目を見て、私はふっと笑った。

弥言、忘れたの?

私たちが出会ってから愛華が出国するまでのわずか2年、私は彼女のせいで、3度もアレルギーを起こした。

初対面の時、彼女は百合をプレゼントとしてくれた。

私は困って断ろうとした。

だが弥言が先に受け取り、私の腕に押し込んできた。

「愛華の気持ちなんだ。とりあえず受け取ってから置けばいい」

その一瞬で、私は全身に蕁麻疹が出て病院に運ばれた。

それでも私は誰も責めなかった。

それを知ると、愛華は可哀想に涙をこぼした。

弥言は彼女を慰めるために花火大会へ連れ出したが、私は病室に一人残された。

後になって弥言の友人から聞いた。

愛華は、私の好きな花をちゃんと聞いていた。

弥言の友人は、百合以外なら何でもいいと答えたという。

それを知った弥言は言った。

愛華はおおざっぱだから、百合だけがいいと聞き間違えたはずだ。

その後の二度も、彼女は別の言い訳をし、弥言は全部信じた。

これは四度目だ。

そして、もう二度とこんなことは起きない。

沈黙して向き合っていると、弥言が急に私の服に気づき、目を輝かせた。

「その服、久しぶりだな」

私が俯くと、これが私の婚約式の服だと気づいた。

私の母が手縫いしてくれたものだ。

荷造りの時、結婚後に弥言が買ってくれた服ばかりが目に入り、どれも持ち出したくなかった。

結婚前の服はこれだけであることを、すっかり忘れていた。

婚約の夜に、弥言はこのドレスを脱ぎ、そのまま私を彼にすべて預けるように優しく宥めた。

弥言の瞳に欲望の色がにじみ、呼吸が荒くなった。

「最近忙しくて、お前をちゃんと抱いてやれてないな」

彼がゆっくりと身を寄せ、熱い息が私の耳の後ろにかかった。

身体が勝手に強張り、私は氷のような声で言った。

「やめて。愛華、帰国したばかりで体調悪いんでしょ。あなたが一緒にいてあげなきゃ」

弥言は眉をひそめ、何か言おうとしたその時、電話が鳴った。

彼は複雑な顔で出ると、慌ただしく立ち去る前に、愛華のために弁解した。

「そんなに狭量になるなよ。

家で大人しく待ってろ。すぐ戻る」

ドアが閉まった瞬間、私は力なくその場に崩れ落ちた。そして、彼に触れられた場所を、手の甲で必死に擦った。

だが、どんなに擦っても、汚れが落ちない気がした。

私は、平静に離れられると思っていたが、結局自分の耐えられる強さを過信していた。

手を動かす速度はどんどん速くなり、たった1時間で荷物はすべて整った。

私が見渡せば、部屋はほとんど何も変わらない。

ひとりの痕跡なんて、こんなにも簡単に消えるのか。

離婚協議書を置いて、私は完全にこの家を出た。

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