還暦の勇気:新しい人生を切り開く第1話
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結婚記念日の日、私は家事をしながら一冊のアルバムを見つけた。
どうやら私の夫は、毎年この時期に初恋の人と一緒に結婚写真を撮り続けていたらしい。
40歳から60歳まで、黒髪から白髪へ、20年間、一度も欠かさずに撮り続けていた。
写真の裏には夫の手書きの言葉も添えられていた。「永遠の愛」と。
どうせ私のことを愛していないのなら、もう彼のために洗濯や料理をする必要もない。
子供を育て、孫の世話までしてきた私の人生。
あっという間に過ぎてしまった半生だが、今からでも変えるのは遅くない。
* * *
今日は私と夫、長谷川俊介の結婚記念日だが、彼はいつもこの日になると家を出て行く。
結婚して四十年以上、彼は一度もロマンチックな記念日を私と過ごしたことがない。
一人で朝食を食べ終え、私は床を拭いている途中で書斎の前を通り過ぎた。ふと目に入ったのは乱れた本棚。
私はため息をつき、モップを置いて中へ入り、整理を始めた。
上の棚に手を伸ばしたとき、一冊の本が落ちてきた。分厚く立派な表紙が私の額を打ちつけ、鋭い痛みが走った。
しばらくしてようやく目の前にあるのが本ではなく、結婚アルバムだと気づいた。
そこには同じ男女の写真が並んでいた。さまざまなウェディングドレスと礼服を身にまとい、親しげに寄り添い、幸せそうな笑みを浮かべている。
男は私がよく知っている俊介。
しかし、女は私ではなかった。
私は傷口を押さえながら、頭がぼんやりし、心が痛むのか、どこが痛むのか、分からなくなった。
最新の写真は去年の今日撮ったもので、二人は白髪になってもなお恋人同士のようだった。
写真の裏には俊介の手書きの言葉があった。
一文字一文字、丁寧に書かれており、その重視ぶりが伝わってくる。
「永遠の愛」
じっくり観察してみると、すべての写真には日付が書かれていた。
40歳から60歳まで、黒髪から白髪へ、20年間、一度も欠かさずに撮り続けていた。
どうやら私の夫は、毎年結婚記念日に妻を置き去りにして、いろいろな言い訳をつけて離れ、初恋の人と結婚写真を撮っていたのだ。
なんて馬鹿げたことなのだろうか。
私は震える手でアルバムを閉じ、昨夜、俊介が出て行く前の態度を思い出した。
彼は「息子が海外出張に行くから、通訳が急に用事ができて、俺が行くしかない」と言っていた。
その時、私は特に疑わなかった。彼は退職前は外国語の教授だったから。
ただ私が一緒に海外の風景を見たいと言ったとき、彼はすぐに顔を曇らせて私を叱りつけた。
「息子は仕事に行くんだ、お前がついて行ってどうするんだ。それに、お前は外国語もわからないし、行っても邪魔になるだけだ」
その言葉は私を傷つけたが、間違いではなかった。
今考えると、息子が普段一番尊敬しているのは俊介だ。彼と一緒に海外に行くのであれば、どうして家に来て直接迎えに来ないのか。
私はすぐに携帯を取り出し、息子に電話をかけた。
「息子よ、お父さんが君と一緒に海外に行くと言っていたけど、体調が心配でね。そちらは大丈夫?」
相手はしばらく黙ってから、何事もなかったかのように答えた。
「大丈夫さ。お父さんは六十を超えていても、体は元気そのものだから」
息子は俊介の嘘に加担していたのだ。
そのことに気づいた瞬間、私の心は氷のように冷たくなり、数言交わしただけで電話を切った。涙が途切れることなく流れ落ちた。
まさか、自分の実の息子までが彼と一緒に私を騙していたなんて。
......
俊介は毎年同じ写真館で結婚写真を撮っていた。
私はタクシーでその写真館に向かった。
何十年も連れ添った夫婦だからこそ、この残酷な現実を自分の目で見なければ、私は完全に心が折れないのだろう。
降りた時、空は少し曇り、風雨が迫っていた。
不安な気持ちで店の入り口に向かう。
ショーウィンドウ越しに、私は中にいる俊介を見つけた。彼は日本風の婚服を着てソファに座っていた。
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