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遅すぎた後悔と静寂の海第3話

この話は約2227字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

七緒も彼がそれほど深く自分を愛してくれていたとは思いもよらず、すぐに彼に抱きついた。

「ごめんなさい、宥丸。あの時、意地を張ってあなたと別れて海外に行ったりしなければよかった。あなたがそこまで私を愛してくれているって分かっていたら、もっと早く復縁していたのに」

宥丸は彼女の目尻の涙を優しく拭った。「お前のせいじゃない。俺が悪かったんだ。最初からお前を怒らせるべきじゃなかった。でもよかった。俺はずっとお前を待っていたし、お前もこうして戻ってきてくれたんだから」

七緒は泣きじゃくりながら彼の胸にすがりつき、大粒の涙をこぼした。

宥丸がいくらなだめても泣き止まないため、気を紛らわせようと食事に誘った。

彼女が「あなたの作ったご飯が食べたい」と駄々をこねると、手が汚れるのが大嫌いなはずの彼が自ら進んでキッチンに立った。

彼はテーブルいっぱいに料理を並べ、一つ一つ彼女の皿に取り分け、エビの殻まで剥いて口に運んでやった。その瞳からは、彼女への愛おしさが溢れんばかりだった。

「海外の食事が口に合わなくて、こっちのあのレストランの味が恋しいって言っていたからな。俺が直接シェフから作り方を教わったんだ。海外に行くたびに作って持っていって、その店からテイクアウトしたって嘘をついていたのに、どうして俺が作ったって分かったんだ?」

七緒は彼の胸に身をうずめ、愛嬌たっぷりに彼を見つめた。

「私を馬鹿だと思ってるの?飛行機で十数時間もかかる距離なのに、あなたが毎回持ってくる料理はいつも出来立てみたいに温かかったじゃない。

あなたのお手製だってことくらい、とっくに気づいてたわよ。ただ、まだ怒りが収まってなかったから、わざと知らないフリをしてただけ」

食卓で親しげにいちゃつく二人の姿を見て、千穂はようやく理解した。3年前、宥丸がどうして突然料理に夢中になったのかを。

あの頃、彼は毎日何品も料理を作っていた。千穂はシーフードが食べられなかったが、彼がせっかく作ってくれたからと、アレルギーの薬を飲みながら味見に付き合っていた。

あの数ヶ月間、彼女の体に現れた赤い発疹は、引いてはまたぶり返し、一度として完全に消えることはなかった。

すべては、彼の純愛を裏で支えるための犠牲に過ぎなかったのだ。

千穂は音もなく自嘲気味に笑ったが、その瞳には涙が溜まっていた。

温かい涙がスマートフォンの画面にぽたりと落ち、抱き合ってキスをする二人の姿をぼやけさせた。

彼女はただ呆然とそれを見つめていた。果てしない悲哀と苦しみが胸に押し寄せ、彼女を完全に飲み込んでいった。

ズタズタに傷ついたその心は、次第に麻痺し、氷のように冷え切っていった。

ふと我に返ると、イヤホンから七緒の甘い吐息が聞こえてきた。

「昔キスする時は、いつも乱暴で焦っていたのに。4年ぶりに会ったら、どうしてこんなに優しくなったの?」

宥丸は彼女の腰をきつく抱き寄せた。「あの時お前が怒って別れたのは、俺が初めての恋愛で余裕がなくて、手加減もできずにお前を痛がらせてばかりだったからだろう?

この4年間で反省して、俺も一つ学んだんだ。『好き』という感情は衝動を抑えきれないものだが、本当の『愛』なら相手を想って自制するものだってな」

彼自身の口からその言葉を聞き、千穂の手は抑えきれないほど震え出した。

目を閉じると、これまでに彼が自分を求めてきた夜のことが蘇った。彼はいつも乱暴で焦り、彼女の体中を傷だらけにし、黄体嚢胞破裂で何度も病院に運ばれたこともあった。

あの時の彼女は、彼が自分を愛しすぎるあまり、理性を抑えきれないのだと思い込んでいた。

だが今思えば、そこに愛など微塵もなかった。

愛していないからこそ、彼は彼女を気遣うことなく、ただ自分の欲望を発散させていただけだった。

結局のところ、自分はただの身代わりでしかなかった。

憐れみや心痛など、彼が抱くはずもなかったのだ。

涙が袖口を濡らし、頬には乾いた涙の痕がこびりついていた。

どれくらいの時間が経っただろうか。外から車のエンジン音が聞こえ、カメラの映像から二人の姿が消えた。

メッセージアプリの通知音が鳴った。宥丸からのメッセージだった。

【千穂、急遽仕事のトラブルが入って処理に行かなきゃならなくなった。いい子で家で待っててくれ。ご飯を作ってテーブルに置いてあるから、ちゃんと食べてね。お腹を空かせちゃだめだよ】

千穂は血走った真っ赤な目でそのメッセージを見つめ、長い沈黙の後、ようやくふらふらと立ち上がった。

彼女は段ボール箱を取り出し、宥丸に関するすべての物を片付け始めた。

彼がプレゼントしてくれたぬいぐるみ、一緒に撮った写真、彼女が買ったお揃いのペアマグカップやキーホルダー……

一つも残すことなく、テーブルに置かれていた手料理と共に、すべてゴミ箱に放り捨てた。

その後、宥丸は2日間家に帰ってこなかった。

千穂も彼がどこへ行ったのか問い詰めることはせず、一人黙々と家の中で荷物を整理していた。

彼が帰宅し、半分ほど空になってガランとした邸宅を見た時、その顔に驚きの色が浮かんだ。

「千穂、どうして家の中の物がこんなに減ってるんだ?」

千穂はうつむいたまま、適当な言い訳を口にした。

「気に入らなくなったから、全部捨てたの」

宥丸はどこか違和感を覚え、さらに問いただそうとしたが、ふと彼女の耳元に視線を走らせた瞬間、その動きが完全に凍りついた。

「千穂、お前、補聴器をつけていないのに……俺の言葉が聞こえているのか?」

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