誰にも言えない秘密第3話
この話は約1309字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
私はベッドのヘッドボードにぼうっと寄りかかり、あの秘密に心が乱れていた。
突然、横が沈んだ。
氷室時雨は携帯電話を手に私の隣に座り、当然のように母とビデオ通話を始めた。
ビデオ通話の中で、母は真珠のネックレスのことは何も言わなかった。
むしろ、ほとんど私のことを聞いてきた。
氷室時雨は画面を私に向けて、私が上の空になっているのを見て、軽く肩を叩いた。
「悠、母さんが呼んでるぞ」
我に返り、画面の中で優しく微笑む小島優を見て、何も言えなくなってしまった。
小島優の心配そうな声が聞こえてきて、私はやっと絞り出すように言った。「お母さん、眠いから、明日電話するね。切るね」
小島優はがっかりしたようにああと小さく返事をして、名残惜しそうにビデオ通話を切った。
私は布団の中に潜り込み、身を隠したかった。
しかし氷室時雨は、急に怒り出したかのように私を布団から引きずり出し、険しい表情で怒鳴った。
「月城悠、今日はどうしたんだ?上の空で、母さんの電話まで切るなんて。彼女が君と話したがっていたのが分からないのか?」
「一体どこが悪いんだ?言ってくれれば病院へ行く。一人で抱え込まずに話してくれないか?」
「もしそれで病気になったら、母さんはどうするんだ?」
普段は寡黙な氷室時雨が、こんなにも声を荒げるのは珍しい。
しかし、彼がこうしているのは、私のためではない。
彼はただ、私が何かあったら母が悲しむのを恐れているだけだ。
彼は本当に、私の母が好きなのだ。
私はまつげを伏せ、目の奥の感情を隠した。
「私が病気になっても、あなたは気にするの?」
氷室時雨の呼吸が少し荒くなった。「月城悠、また何を考えているんだ?」
「何でもない、ただ眠いだけ。氷室時雨、邪魔しないで、ゆっくり寝かせて。少し考えたいことがあるの」
彼の卑劣な考えを、母に伝えるべきかどうか、考えたい。
氷室時雨は私が本当に眠いのだと思い、口調を少し和らげた。
「それじゃあ、ゆっくり休むんだな。僕は書斎で少し仕事をする」
氷室時雨が部屋を出ていくと、周りの空気が流動し始めたように感じた。
私は大きく息を吸ったが、眠気はなく、むしろ喉が渇いた。
リビングへ水を飲みに行こうとした。
しかし、書斎の前を通りかかった時、聞き覚えのある女性の声が聞こえてきた。
さっき電話を切ったばかりの小島優の声だった。
「時雨、悠は気が強いから、あまり逆らわない方がいいわ。あのネックレス、やっぱり彼女にあげたらどう?」
氷室時雨は軽く笑いながら言った。「母さん、悠にはちゃんとプレゼントを用意したよ。この真珠のネックレスは母さんに似合うと思って落札したんだ。悠より母さんの方がずっと似合う」
私の足は鉛のように重く、一歩も動けなかった。
しかし、母は氷室時雨の自分に対する特別な感情に全く気づいていないようだった。
ビデオ通話は長い間続き、私の足がしびれ、全身が冷え切ってもまだ終わらなかった。
今日初めて、氷室時雨がこんなにも我慢強い人間だったことに気づいた。
普段私が彼に電話をしても、長くても3分以上話すことはない。
しかし、母と話す時は、いつまでも話が尽きないようだった。
母が眠いと言うまで、氷室時雨は名残惜しそうにビデオ通話を切った。
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