致命的なカラコン第3話
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彼女は言い終えると、まっすぐ鏡の前に駆け寄り、自分の目を広げてカラコンを装着した。
さっき外れたのは昨夜つけていた2枚目のカラコンだった。1枚目は、今もなお彼女の眼球にぴったりと張り付いているに違いない。
装着を終えると、妹は何事もなかったかのように家を出て行った。
私は彼女の背中を見送りながら、彼女が無意識に目元を触ったのを見た。
正直、私には理解できない。これほど目がつらそうなのに、それでもなおカラコンを装着し続けた彼女の心理が。
妹が出て行った後、私はすぐに不動産仲介会社へ連絡した。
私の貯金について、妹には「投資で失敗してだまされた」と説明しているが、この嘘が長続きしないことはわかっている。
どうせいずれ治療費に消えるのなら、その前に不動産を購入してしまったほうが賢明だと考えた。
私は仲介会社に具体的な希望条件を一つ一つ伝えた。担当者は即答で引き受けてくれた。
「3日以内に条件に合う物件をご連絡します」
電話を切ると、私は銀行に向かい、全財産を別の口座に移した上で、新しいパスワードを設定した。
かつての私は、妹が自由に使えるよう、自分の口座を彼女のスマートフォンに紐づけ、パスワードも教えていた。
だが今、そんな甘さは完全に捨て去った。
「良い姉」を演じるのをやめたのだ。
前世の私は、死ぬ間際まで納得できなかった。
なぜ、あれほど妹のために尽くしたのに、最後は裏切られたのか。
今の妹はもはや「美しくなりたい」を超越している。美しさへの異常なまでの執着を抱いているのだ。
午後、妹が帰宅した。彼女の目の周りは化粧が崩れ、目元の肌が露わになっていた。
おそらく目の不快感のせいで何度もこすったのだろう。
疲れ切った表情で私の隣に腰を下ろした妹は、ぽつりと言った。「姉ちゃん、目がすごくつらい……」
私は顔を覗き込み、優しく尋ねた。
「どこがつらいの?
ひょっとして、二重じゃないからカラコンをつけるとつらいんじゃない?」
私の言葉を聞いた瞬間、妹の表情が曇り、声を荒げた。
「全部あんたが金をだまし取られたせいでしょ!そうでなければ、私、もう二重になってたはずなのに!」
私は肩をすくめ、冷静に言い返した。「今だってお金を借りればできるじゃない」
そう言い残し、私は自分の部屋へ戻った。
妹の性格を知る私には確信があった。彼女は必ず二重手術を受けるだろう。
今年で19歳になった彼女は、手術可能な年齢に達しているだけでなく、ローンを組むこともできる年頃だ。
そして何より、美しさに対する彼女の執念が、私の挑発を受け流すはずがなかった。
翌朝、妹はすっぴんのままダイニングに現れた。
私は意地悪な気持ちを隠さず、からかうように言った。「へえ、今日は化粧しないんだ?」
彼女は鼻で笑い、そっけなく言い返した。「私のことには口を挟まないで」
私は周りを見回しながら軽く言い返した。「お父さんとお母さんは出稼ぎで、家にいるのは私たちだけ。私が面倒を見なければ誰が見るの?」
イライラしていた妹は、この一言でついに怒りを爆発させた。
彼女はテーブルを拳で叩きつけ、叫んだ。
「面倒を見るって言うなら、金をよこせよ!
金がないくせに、何を偉そうに言うんだ!」
私も立ち上がり、声を荒げた。「いいよ!私には手に負えないなら、さっさと出て行け!」
私の言葉を受け、妹は激昂し、テーブルをひっくり返した。
「本当にあんたと一緒に住みたいと思ってるわけじゃない!
手術が終わったらすぐに出ていくから!」
彼女はそのまま立ち去り、部屋に閉じこもって荷物をまとめ始めた。
私はその様子を見て、思わず笑いそうになった。
世間では「二人目がいると兄弟姉妹の絆が深まり、幸せになる」とよく言うが、私の経験はその逆だ。
二人目がいることで生活の質は大きく下がる。それに、妹の目にはお金しかないんだ。
辛くないわけがない。だって、前世では、お金も愛情も尽くした末に、あんな惨めな死を迎えたんだから。
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