生き返った後、婚約者を彼の初恋に譲ることにした第2話
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前世、私と南雲承紀が結婚式を挙げたその日、清水がホテルでリストカットをした。
南雲は式場に私を置き去りにし、清水のもとへ駆けつけた。
清水の死が私たちの間に消えない棘となるかと思いきや、彼女を失った南雲が憔悴しきっている姿を見て――
私の胸も締め付けられるように痛んだ。
二人の関係がこの件で破綻する覚悟を固めかけた時。
南雲は突然私を抱きしめて呟いた。「白鳥、お前だけが残ってくれた」と。
結婚後、南雲は良い夫だった。いつも私の話を聞いていて、家中の雑事も一手に引き受けていた。
それに、どんなに仕事が忙しくても必ず夕食は共にした。秘書は男性しか雇わなかった。「余計な誤解を生むものは排除したい」と。
友人たちは皆、私が「最高の男」に巡り合えたと羨んだ。
私自身も、この人生で南雲と出会えた幸運に感謝していた。
だが結婚10周年記念日、私は南雲に殺された。
「お前が俺たちを引き裂いた」と、彼は私の皮膚を剥ぎ、血の一滴まで絞り尽くした。
だから再びこの世に蘇った今、私はただ彼らから遠ざかり、静かに生きようと決意した。
どれだけ覚悟をしても、颯爽と会社に現れる南雲の姿を見るたび、胸の奥が鈍く疼くのを抑えきれなかった。
彼は清水と並んでビル前に立った。
南雲が清水に向ける眼差しは、優しさが目から溢れるほどだった。
階段を降りてくる私に気付くと、南雲は表情を硬くし、清水を心配そうに見やった。
その姿に、ふと前世の記憶が蘇った。
あの頃も清水を巡って、よく南雲と口論になった。
激しい言い争いの末、彼はいつも失望したような目で私を見た。「菫とは今はただの友人だ。彼女は病弱なんだ。これ以上刺激するな。彼女はまだ俺を忘れてない、お前が顔を出すと彼女の心が乱れるんだ」
そう言い残すと、南雲は必ず私を置いて清水と旅行に出かけた。
20歳の南雲は、まだ感情を巧みに隠せなかった。
ハリネズミのように、柔らかな腹を清水に見せながら、全身の針を私に向けてきた。
私は俯き、足早にその場を離れようとした。
しかし、清水が私を呼び止めた。彼女の顔には、迷いと焦りが浮かんでいた。「白鳥さん!承紀が付き合ってくれるだけです。私のせいでお二人が喧嘩しないで......
今夜のパーティは恋人NGなの。深読みしないで......
承紀、白鳥さんが怒ってるわ。早く宥めてあげて」
南雲は清水に甘えた笑みを浮かべ、気安く言い放った。「彼女は俺に怒るわけないよ、最近はおとなしくなったからな。
それに、俺が彼女を宥めると君が機嫌悪くなるだろう、そんなのは嫌だ」
私は釘付けになった。
その言葉は冷たい刃となって、直接心臓を貫いた。
動かない私に、南雲は嫌悪の色を浮かべた。
「いつまで突っ立ってるんだ?見てるだけでうんざりなんだよ。
そうだ、菫が明日からここで働くことになった。送迎は俺がするから、お前は用がないなら近寄るな。彼女を不快にさせるなよ」
翌日、腫れ上がった目を隠しながら、徹夜で仕上げた企画書を提出した。
同時に辞表も。
部長室を出てデスクに戻ると、入口が騒がしくなった。
振り向くと、あの二人だ。
南雲と清水が同色の服を着て、談笑しながら入ってきた。
南雲の手は清水の腰を守るように添えられた。
その瞳には愛が満ちていた。
一見して、本物の恋人と見まがう光景だった。
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