和紙文生き返った後、婚約者を彼の初恋に譲ることにした · 第2話設定≡

生き返った後、婚約者を彼の初恋に譲ることにした第2話

この話は約1338字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

前世、私と南雲承紀が結婚式を挙げたその日、清水がホテルでリストカットをした。

南雲は式場に私を置き去りにし、清水のもとへ駆けつけた。

清水の死が私たちの間に消えない棘となるかと思いきや、彼女を失った南雲が憔悴しきっている姿を見て――

私の胸も締め付けられるように痛んだ。

二人の関係がこの件で破綻する覚悟を固めかけた時。

南雲は突然私を抱きしめて呟いた。「白鳥、お前だけが残ってくれた」と。

結婚後、南雲は良い夫だった。いつも私の話を聞いていて、家中の雑事も一手に引き受けていた。

それに、どんなに仕事が忙しくても必ず夕食は共にした。秘書は男性しか雇わなかった。「余計な誤解を生むものは排除したい」と。

友人たちは皆、私が「最高の男」に巡り合えたと羨んだ。

私自身も、この人生で南雲と出会えた幸運に感謝していた。

だが結婚10周年記念日、私は南雲に殺された。

「お前が俺たちを引き裂いた」と、彼は私の皮膚を剥ぎ、血の一滴まで絞り尽くした。

だから再びこの世に蘇った今、私はただ彼らから遠ざかり、静かに生きようと決意した。

どれだけ覚悟をしても、颯爽と会社に現れる南雲の姿を見るたび、胸の奥が鈍く疼くのを抑えきれなかった。

彼は清水と並んでビル前に立った。

南雲が清水に向ける眼差しは、優しさが目から溢れるほどだった。

階段を降りてくる私に気付くと、南雲は表情を硬くし、清水を心配そうに見やった。

その姿に、ふと前世の記憶が蘇った。

あの頃も清水を巡って、よく南雲と口論になった。

激しい言い争いの末、彼はいつも失望したような目で私を見た。「菫とは今はただの友人だ。彼女は病弱なんだ。これ以上刺激するな。彼女はまだ俺を忘れてない、お前が顔を出すと彼女の心が乱れるんだ」

そう言い残すと、南雲は必ず私を置いて清水と旅行に出かけた。

20歳の南雲は、まだ感情を巧みに隠せなかった。

ハリネズミのように、柔らかな腹を清水に見せながら、全身の針を私に向けてきた。

私は俯き、足早にその場を離れようとした。

しかし、清水が私を呼び止めた。彼女の顔には、迷いと焦りが浮かんでいた。「白鳥さん!承紀が付き合ってくれるだけです。私のせいでお二人が喧嘩しないで......

今夜のパーティは恋人NGなの。深読みしないで......

承紀、白鳥さんが怒ってるわ。早く宥めてあげて」

南雲は清水に甘えた笑みを浮かべ、気安く言い放った。「彼女は俺に怒るわけないよ、最近はおとなしくなったからな。

それに、俺が彼女を宥めると君が機嫌悪くなるだろう、そんなのは嫌だ」

私は釘付けになった。

その言葉は冷たい刃となって、直接心臓を貫いた。

動かない私に、南雲は嫌悪の色を浮かべた。

「いつまで突っ立ってるんだ?見てるだけでうんざりなんだよ。

そうだ、菫が明日からここで働くことになった。送迎は俺がするから、お前は用がないなら近寄るな。彼女を不快にさせるなよ」

翌日、腫れ上がった目を隠しながら、徹夜で仕上げた企画書を提出した。

同時に辞表も。

部長室を出てデスクに戻ると、入口が騒がしくなった。

振り向くと、あの二人だ。

南雲と清水が同色の服を着て、談笑しながら入ってきた。

南雲の手は清水の腰を守るように添えられた。

その瞳には愛が満ちていた。

一見して、本物の恋人と見まがう光景だった。

縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)