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瑞穂の余生へ第3話

この話は約1663字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

胸の中から密集した痛みが外に向かって広がっていくのを感じた。

視界がぼやけ、突然意識を失った。

再び目を覚ました。

目に入ったのは刺すような照明の光で、空気には鼻を刺す消毒液の匂いが漂っていた。

「瑞穂、目が覚めたのね」

親友の美代が私のそばにいて、私を起き上がらせてくれた。

「体の調子はどう?」

美代の声に、一瞬のためらいがあったことを敏感に感じ取った。

「私、どうしたの?」

美代は複雑な表情で私を見つめ、深いため息をついた。

「妊娠しているのよ」

妊娠した?

神様は本当にいたずらがお好きなようで。

景久の浮気を知り、離婚しようとしている時に、彼の子供を身ごもっているなんて。

「瑞穂、景久と何があったの?」

「路上で倒れてたのよ、私がたまたま会いに行かなかったら、どうなっていたか分からないわ」

私はぼんやりと頭を上げ、ここ数日の出来事が脳裏に浮かんだ。

「彼が浮気したの」

美代は急に立ち上がり、怒りに震えて叫んだ。

「あの野郎! 皮を剥いでやる!」

私は彼女の手を引いた。

「美代、もういいよ。彼とは関わりたくない」

「一旦、家に帰りたい」

7、

私の書類と仕事関係のファイルはまだ彼の別荘にある。

きっぱりと終わらせるなら、徹底的にやらないと。

この子は絶対に産めない。

時間を見たら、景久はまだ会社にいるはずだ。

ちょうどいい、荷物をまとめて引っ越そう。

家に戻ると。

既に誰かが掃除をしていて、綺麗に整えられていた。

景久がプロポーズした時、彼はこの家を購入し、婚家とした。

彼は当時「必ず幸せにする」と言っていた。

この馴染みのある空間をぼんやりと見つめていると、突然、長く伸びる声が耳に届いた。

それは喜びとも苦しみとも取れる、しかし聞き覚えのある女性の悲鳴だった。

上の寝室から聞こえてくる。

心臓の鼓動がはっきりと聞こえ、一拍ごとに大きくなる。

体の中で何かが爆発するような感覚が広がり、巨大な恐怖が私を包み込んだ。

私は硬直したまま、一歩一歩階段を上がっていった。

見慣れたベッドの上には、見覚えのある二つの人影があった。

「ここでやるの、刺激的でしょ?」

遥が景久の腕に絡みつき、媚びるように笑っていた。

「朝藤さん、私を見て。私の方がいい?それともあの人?」

天井のライトが瞬くと、欲望にまみれた景久の顔が照らし出された。

遥は彼の上にまたがり、最後に彼の唇に何度もキスをした。

「私の方が彼女より上手でしょ?」

その瞬間、胃から込み上げてくる激しい吐き気を感じた。

私はドア枠に手をついて嘔吐しそうになった。

気がつくと、部屋は死のような静寂に包まれていた。

顔を上げると、景久の目とちょうど視線が合った。

8、

「瑞穂……」

景久の目には、少しずつ焦りの色が浮かび上がっていくのがはっきりと見えた。

そして、その奥にはかすかな快感さえも見えた。

私は無表情でスマートフォンを取り出し、この場面を撮影した。

「瑞穂、何をする!」

遥は叫びながら起き上がった。

床に落ちていた服を慌てて着込み、私に向かって突進してきた。

「写真を消して!」

彼女の匂いが近づいてくるとともに、胸の中の感情が激しくなり、私は彼女の顔を平手打ちした。

「近寄らないで!」

「さもないと、この写真をばら撒くわよ」

遥は顔を押さえ、怒りに満ちた目で私を睨んでいたが、もう手を出すことはなかった。

「瑞穂、その写真を消してくれ」

景久は暗い瞳でじっと私を見つめていた。

私は冷たく笑った。

「あんたに命令される筋合いはないわ」

「3年前ここで景久が私に言ったこと、覚えてる?」

「『君のことは一生裏切らない』って」

景久の顔は青ざめ、唇が震えていたが、何も言えなかった。

私はその顔を見つめながら、言い知れない悲しみが胸に押し寄せてきた。

人を愛するということは、信仰を生み出すようなものだ。

いつ崩れ落ちてもおかしくない神を崇め続ける。

信仰が崩れ去ったとき、自分に残されるものは、ただの荒れ果てた虚無だけだった。

遥が私に歩み寄ってきた。

「瑞穂さん、ごめんなさい」

「酔っていたの、だからこんなことになるなんて思わなかった」

「ただ…ただ、感情が抑えきれなくて……」

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