流産したその日に、夫は隠し子をSNSに晒した第3話
この話は約1410字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
流産の後遺症で腹痛がひどく、ナースコールのベルを押した時のことも忘れない。
彼は別の病室で、おそるおそる子供を抱き、不器用に調子外れの子守歌を口ずさみながら寝かしつけていた。その眉尻には、私が一度も見たことのない優しさが浮かんでいた。
彼はさらに子供に「逸男(いつお)」という名前をつけた。
それは私がお腹の子につけた名前で、私の無限の期待と愛を込めたものだった。
彼はその名前を、私生児に与えた。
一方、私の子供は墓石一つなく、音もなくこの世から消え去り、まるで最初から存在しなかったかのようだった。
退院の日、塚越家は私に内緒で、本宅で小さな帰宅パーティを開いた。
彼らは小さな赤ちゃんを囲み、あちこちから眺めては、たいそう喜んでいた。
崇雄は終始、仁美親子のそばにいて、飲み物を運び、毛布をかけ、目は水のように優しかった。
彼は時折私を一瞥したが、その眼には、この和やかな雰囲気に早く溶け込めという警告だけが込められていて、それ以外の何もなかった。
心はとっくに麻痺していたとはいえ、この光景を見ると、やはり胸が痛んだ。
私は踵を返し、部屋に荷造りをしに戻ろうとした。
しかし、仁美が子供を抱えて私を遮った。
彼女の顔には、もはや弱々しい怯えはなく、勝利者の嘲笑のようなものが浮かんでいた。
「私が憎いんでしょ、この子が憎いんでしょ……でも、知ってる?」
「逸男は、崇雄さんが精子提供してできた子なんかじゃないのよ」
その言葉に、私の足は突然止まり、血液が一瞬で凍りついたような気がした。
彼女は一歩近づき、声を潜めて言った。
「あの日大雨で、二人とも酔っ払ってたの。わかるでしょ、この子はそういう風に自然に授かったのよ……私たちはまぎれもない実の親だったんだから!
人工授精なんてものはなく、崇雄さんがあなたを落ち着かせ、このアクシデントを受け入れさせるためにでっち上げた嘘に過ぎないの。彼はあなたが騒ぐのを恐れ、塚越家の評判に響くのを恐れてたのよ!」
なるほど。
恩返しだの、ハイテクな技術だの、全部嘘だった!
巨大な嫌悪感と欺かれた怒りが一瞬にして私を飲み込んだ。
私は怒りで全身が震えた。
その時、仁美は突然私の手をつかみ、自分の顔に強く叩きつけた。
「パン!」という虚ろな音がした。
彼女は子供を抱えたまま、「ドスン」と私の前に跪いた。
そして、彼女は声を荒げて泣き叫んだ。
「美咲さん!ごめんなさい!悪いのは全部私です!お願いです!私と子供を見逃してください!
殴るのも罵るのも私だけにしてください、子供に罪はないんです!私にはこの子しかいません、この子に何かあったら、私も生きていけない……」
彼女の拙い演技を見ていると、反応するより先に、崇雄の怒鳴り声が響いた。
「美咲!何をしてるんだ!」
彼は仁美を引き起こして自分の背後に護ると、私を見る眼には、驚き、失望、信じがたい怒りが満ちていた。
私は冷静に彼を見た。
「私は何も、彼女が……」
「パン!」という音が、私の声を遮った。
力いっぱいの平手打ちが、私の顔を強く打った。
世界は完全に静まり返った。
かつて愛していると言い続けた男の、その歪んだ顔を見て、私は急に疲弊感を覚えた。
悲しみは全くない。
あるのは、骨身に徹る恨みと冷たい決意だけだった。
「崇雄」
私の声は異常に平静で、恐ろしいほど落ち着いていた。
「離婚しよう」
崇雄は逆上して怒鳴った。
「また離婚で俺を脅すつもりか!俺が本当にお前から離れられないと思ってるんだな!」
縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)
第4話は公式アプリで
当サイトでの試し読みはここまでです。アプリをインストールし、下のアプリ用コードを入力すると、この作品の第4話からそのまま読み進められます。
R84807- 下のボタンから公式アプリをインストールします(無料)。
- アプリを開き、「コードを入力」にこのコードを入れると、この作品が本棚に入ります。
作品ページへ戻る 当サイトに掲載しているのは試し読みの章だけです。